イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

改善カンコク

2017-11-25 21:15:31 | テレビ番組

 日中、TVの“国産”番組を見ると大相撲横綱の暴行問題ばっかり(しかし所詮、上も下も“酒の上の失態”やらかしたってだけの話をよくまあこれだけ膨らませるもんです)だからというわけでもないんですが、先月から、久々の個人的韓ドラブームが再来して、ふと日中のチャンネルをザッピングしてみると、そこらじゅうで新旧の韓国ドラマ花ざかりなんですな。特に民放BSは、朝から、夕方深い時間まで、ほとんど韓ドラとTVショッピングと言ってもいいくらい。国産の時代劇や2サスの再放送もありますが、多勢に無勢。

 試しに、24日(金)の『TV Bros.』のTV番組表から拾ってみたら、地上波BS合わせて25本、韓ドラやってました。25本ですよ。WOWWOW、CSなど有料チャンネルを入れたらもっとあるでしょう。

 平日でなければ、BS11には週末土・日だけの韓ドラ枠が二つあるし、日曜夜9:00~にはNHKBプレでも一本、土曜朝にも再放送で一枠あるはずです。

 これ凄くないですか。というより、怖くないですか。BS限定ならドラマ枠の過半が外国製、それも韓国製いつからこんな按配になったんでしょう。たまたま興味持ったから調べてみたんですけど、興味持たなかったら知らずにいるところでした。

 月河が物心ついて、大人の見ている番組をチラチラ見て、意味が分かって興がれるようになった昭和40年代前半頃は、NHKも含めて、アメリカ製の、日本語吹替所謂“アテレコ”のTVドラマや劇場洋画がかなりの枠を取っていた記憶がありますが、まだUHFもない頃でチャンネル数が少なかったにせよ、“朝から夕方までどこかしらで必ずやってる”ほどの占有率ではなかった。春夏冬休みや風邪で休んだ日の記憶だと、平日はたいてい、昔ながらの、昼“メロ”というほうがぴったりくるベタな昼ドラ、それとワイドショーが主体だったと思います。さもなきゃちょっと前の、夜やってた番組の再放送。何しろ子供だったもんで夜9:00以降はTVはダメという決め事があった時期、この時間帯にチャンバラとか、血糊も有りお色気もありの系統が正々堂々と(?)垣間見られたのは有難かった。

 ともあれ、日本人が日本で制作した、日本人が日本語でしゃべる番組が、TVをつければいつでも放送されていた。それが当たり前でした。洋ものドラマや劇場映画も吹替で、ジョン・ウェインもアラン・ラッドも、ゲイリー・クーパーもグレイス・ケリーもオードリー・ヘップバーンも日本語で台詞言って、言い争ったり啖呵切ったり、甘く口説いたりしていました。いま放送されている韓ドラって普通に字幕放送で、画面から目を離せば韓国語の会話がぎゃんぎゃん叫んだり号泣したりしているだけのテレビになるのです。日本のテレビ局なのに。

 なんかヘンだなぁと思うだけで、いいとか悪いとかの問題ではありません。面白くて日本の視聴者の趣味嗜好に合っていると思ったらどこの国の何国語のドラマでもソフトでも放送して構わないし、こちらも面白いと思えば視聴するし、つまらなかったり不快だったりすれば見ないだけです。

 ただ、ここ数年、日本のドラマ界は目立って低調なのです。ヒット作がなかなか出ないし、人気漫画原作や旬のアイドルを起用したりで鳴り物入りでスタートした作品でも、地上波プライムタイム・ゴールデンタイムのいちばん敷居の低い枠で視聴率が10パーセント行かない事が多い。制作費・宣伝費がかさむわりに数字が取れないから、連続もの、単発ともに、ドラマ枠自体どんどん減ってきていて、かなり有名どころベテランクラスのドラマ俳優さんたちがぽっと出の雛壇芸人に混じってバラエティで面白い事を言わされていたり、TVショッピングでサプリや健康器具のデモンストレーションをしていたりは珍しくなくなりました。

 なぜ低調になってしまったか。原因はいろいろ言われていますが、視聴者がドラマというソフト形態に倦んできた以上に、制作側がドラマの作り方を見失ってしまったということはないでしょうか。数字が取れないもの、数字のわりにコストがかかるものを避け、暴力やセクシーなど放送コードに抵触しそうな要素を避け、スポンサーに気を遣い、長い付き合いの芸能事務所の顔を立て、昔に実績あった老トル作家に頭を下げ、バラエティでブレイクしたてのお笑い芸人を引っ張ってきたり大手所属のアイドルをはめこんだり、あっちを曲げこっちを縮めて無理くり絞り出しているうちに、本当に視聴者が待望し喜ぶドラマってどうやって着想しどう作るんだったかわからなくなっているのではないでしょうか。そして、そういう志の低い作品ばかり見せられているうちに、視聴者も「ドラマなんて所詮こんなものだ」と期待しなくなっていくし、ドラマに夢もリスペクトも持たなくなっていく。これではクォリティも数字も無限デフレスパイラルから脱出できません。

 ドラマの居場所がどんどん狭くなってきているこんな状況で、韓国ドラマが一日25本って、どこか間違ってないですかね。その枠の半分か三分の一でも、自前の、国産ドラマ制作実験&育成枠に使えないものでしょうか。新人脚本家にチャンスを与えて、長尺の連続モノの書き方を覚えてもらえば、次の次の次ぐらいに地上波プライムでの放送に耐えるホンが出来るかもしれないし、そのまた次の次ぐらいには大河ドラマやテレビ小説を半年一年任せることができるかもしれない。ブレイク前の俳優さんを多数起用すればギャラ人件費も安く済みます。「そんな無名役者ばっかりじゃ数字が取れないよ」という向きもあるかもしれませんが、韓国ドラマの俳優さんは大多数の日本人視聴者は知らないわけで、本国では有名でも日本では無名と一緒でしょう。ストーリーにひかれて二作、三作と続けて視聴していると、あ、あの俳優さんが前見た時と全然キャラ違う役どころで出てる!ということが何度かあって、だんだん俳優さん単体にも興味がわいてファンになって、次の出演作を待望するようになる。役者さんだってファンが増えてくれば演技にも熱が入って、出演作を重ねるごとに風格も華もついてくる。こういう流れを国産ドラマで普通に作れるはずです。

 韓ドラの番組BBSはどれもそこそこ賑わっていて、ストーリーや個々のキャスティング、時代背景やセット小道具などにも興味津々でツッコみが入ったり展開についてのシロウト予想が繰り広げられたりしています。“TVのドラマ”の、いろいろな切り口を楽しみたいお客さんは、数字の字ヅラほどには激減していません。作り手が熱意もって発想して形にしてくれないから、諦めて離れているだけです。「出来上がった韓国ドラマ買ってきて枠に嵌め込むほうが労力も予算も安上がり」なんて思わないで、日本人が日本人の客のためにモノを作る気概を、もう一度取り戻してもらいたいものです。

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