弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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流行語大賞で学ぶ商標法2016 (第3回)

2016年11月22日 08時07分17秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
朝方まで振っていた雨が上がり青空の見える湘南地方です。

さて、「流行語」シリーズ第3回。
今日はこちら。ちょっと長文になっちゃいました。


(3)コンテンツタイトルの保護は幅広く…?(「シン・ゴジラ」「君の名は。」「おそ松さん」)

今年はアニメ、映画関係から3点がノミネートされています。
(「シン・ゴジラ」「君の名は。」そして「おそ松さん」)
このうち見たのは「君の名は。」だけだなぁ。
そこから新海誠作品を改めてさかのぼって見たんだったっけ。。。

この3点のうち、「シン・ゴジラ」「おそ松さん」は出願されています。
「君の名は。」は、類似商標も含めて出願がないです。
グッズ販売を展開しているかそうでないかの差かな…と思ったら、
「君の名は。」も結構グッズやってるんですね。

「シン・ゴジラ」グッズまとめ
「おそ松さん」グッズまとめ
「君の名は。」グッズまとめ

コンテンツタイトルを冠したグッズの販売において、タイトル名を付す行為が「商標の使用」にあたるのかという点については、
本来的にはそれが“特定の作品の内容を表すに過ぎない表示”なのか“出所表示”なのかによって結論は変わって来るものです。

識別標識としての機能、という観点で見た場合には、
コンテンツのタイトルをグッズに付する行為は、本来的には「商標の使用」とは言えません。
「シン・ゴジラ」の文字が付されたマグカップを買う人は、その文字に対して出所の正当性や品質の保証を期待して買うのではなく、
もともとのコンテンツが好きだから買うのでしょう。

しかし一方で、現に行われているいわゆる“IPビジネス”の実情からすれば、
もはやこうしたグッズ販売についても「商標の使用」と言う他はない状況です。
「シン・ゴジラ」の正規のロゴが付されているマグカップは、それが“バッタモノ”ではないということを表示し、
だからこそ顧客吸引力を有しているといえるからです。

この「顧客吸引力」は、本来的に法が予定している(或いは「教科書的な意味」での)それではなかったものだと考えます。
ですが需要者(ファン)は、そのマーク自体に帰属意識や愛着を感じ、買い求めます。
マークそれ自体が需要を創出している、マークに化体しているのは商品やメーカーに対する信頼感ではなく
マークと結びついているコンテンツに対する需要者自身の思い入れや愛着だったりするのですが、
それでもそれが目印となって購買行動を惹き起こす、というわけです。

さてさて、そんなコンテンツビジネスを行っている各作品ですが、態様は三者三様といったところです。



「シン・ゴジラ」は、さすが東宝さんというべきか、セオリーに沿った権利取得です。
出願日は2015年11月、映画の公開が2016年7月ですから、審査期間を考えてまずまず余裕のあるタイミングで出願しています。
実際2016年の4月には登録になっていますので、プロモーション期間にも十分間に合っています。



「おそ松さん」は、少し複雑な状況になっています。
リストの一番上に来ている「商願2015-122814」は、この表では出願人が「株式会社フジオ・プロダクション」になっていますが、
もともとの出願人は別でした(株式会社ぴえろ=グッズ制作の会社さんの模様)。
しかし4条1項11号の拒絶(=先行登録商標と類似)がかかり、出願人名義変更を行っています。
おそらくリスト5番が類似として挙げられたため、出願人を一致させたものと考えられます。

ただそれより、リスト2番が何やら不穏な感じです。。関係者…??
3番は「本人」の出願なのでしょうが、放送が2015年秋だったことを考えれば
2016年6月の出願は後手に回った印象です。



「君の名は。」は、一切出願がされていません。あれ、こっちも東宝さん、ですよね。
理由は定かでないです。NHK、或いは(昔の)「君の名は」配給元である松竹さんに配慮したのでしょうか?


商標登録を受ける意味は、
・他者に勝手に使用させない、という面
・自分が安心して使用できる状況を作る、という面
の両方があります。
グッズ関係は、フォントの画像なども入手しやすく、特に模倣品が出やすいものです。
展開可能性のある区分を幅広く保護することが海賊品を予防し、安心して事業を展開するためのカギとなるものと思います。
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