から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

ハートストーン 【感想】

2018-01-30 08:00:00 | 映画


新作DVDレンタルにて。
アイスランドの漁村を舞台に2人の少年の性の目覚めを描く。
行き場のない田舎町の陰鬱として空気と、北欧の澄んだ陽光が印象的な風景。主人公の少年の年齢は明かされていないが、12,13歳といったところか。絵に描いたような悪ガキで、近くの港で釣り上げた魚を「醜い」の理由で足でぐちゃぐちゃにして喜んでいると思えば、廃棄されている自動車を見つけるなり鉄棒で思いっきり破壊して楽しむ。待ちぼうけを喰らう時間は、ひたすら地面に唾を吐きためる。話す言葉も生意気なことばかりで、まるで可愛げがない。不良というより、常識や思いやりといった感覚が欠如している無知の状態といえ、成長過程の生々しさを感じる。思春期にはまだ早い段階とみえ、肉体的に大人になることへの憧れだけが先行する。異性との性行為についても、自信の性的欲求よりも「経験」を済ますことの達成感を目指しているようだ。心(あるいは欲求)と体が、同期していない子どもがいるなか、もう1つ、自身の「性」の在り方について目覚める少年が登場する。閉鎖的な田舎町にあって、ことさら偏見の目に晒される同性愛という概念だ。「気持ち悪い」という想いと、それでも抗えない自身の感情がせめぎ合う。自身の中で折り合いがつかず、苦悩し、絶望にまで至る痛みが、ストレートな自分にも伝わるほど。2つの性の目覚めを、キャラクターの体温すら感じさせる距離で密着した監督の演出手腕が素晴らしい。多様性の理解を深める映画でもあった。
【65点】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする