から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

金ドラ「バイプレイヤーズ」が面白い件。(「山田孝之カンヌ」も面白し)

2017-02-17 09:00:00 | 日記


一昔前の金ドラといえばTBSの22時放送枠のドラマだったが、今は何といってもテレビ東京の「ドラマ24」の枠である。企画のユニークさと、手掛ける作家のチャレンジ精神を尊重した作品作りで多くの傑作ドラマを生み出してきた。個人的な歴代ベストは2010年の「モテキ」だ。以降、映画界にも進出した大根仁監督のファンになった。

んで、2017年の1クール目のドラマとしてスタートした「バイプレイヤーズ」が面白いので感想を残しておく。先週でもう5話目が終了したので、ちょうど折り返しに入ったところか。

タイトルの「バイプレイヤーズ」の意味は「脇役たち」だ。昨今の映画やTVドラマ界で「脇役」として活躍している、6人のオッサン俳優たちが、役作りのために一軒の別荘に合宿するという話。俳優らがそれぞれ本人を演じているというのがポイントで、フェイクドキュメンタリーのような作りだ。

6人の出演陣がめちゃくちゃ豪華で目を引く。遠藤憲一、大杉連、田口トモロヲ、寺嶋進、松重豊、光石研、という、いずれも現役バリバリの名脇役俳優ばかり。よくここまで凄いキャスティングが実現できたものだと感動する。

俳優本人が自分自身を演じるというドラマだが、描かれるそれぞれの個性は脚本家によって盛られたもの。彼らがこれまでの積み重ねてきたキャリアはリアルなものとして活かされているのが嬉しい。「俺なんてゴジラに殺されちゃったもん」(大杉連)、「「重版出来」以来(の共演)だね~」(松重豊)など、それぞれのキャリアをいじるシーンもあって、思わずニンマリする。

毎話、6人が一堂に介する合宿での朝食シーンをスタートとして、その後、それぞれがドラマの現場(仕事)に赴く。共演NG、スキャンダル、演技のコダワリ、わがままな監督等、俳優業界ではあるあるなネタ、あるいは都市伝説のようなネタを取り上げてコメディに仕立てる。ドラマ撮影の裏側を覗き見しているような感覚もあって興味深い。脚本自体はその設定の強みを活かしてソコソコ面白い程度であるが、出演陣がもれなく巧いので芝居に引き付けられてしまう。毎話、ゲスト出演する俳優も何気に豪華であることも見逃せない。1話目では、6人と合宿するはずだった役所広司が本人役として出演していた。同郷である光石研との九州弁での会話が新鮮だった。

そしてそしてドラマ本編の他にお楽しみがある。ドラマのエンディングで、本作の撮影を振り返り、6人が酒を飲みながらアフタートークを交わすのだ。その自然な会話シーンに萌える。普段、バラエティに出ていない俳優も多いため、「普段はこんな話し方をするんだ~」などとしみじみ。「五郎さん」こと松重さんは結構しゃべる人だったんだな。引き続きこのままのテンポで進んで欲しいと思う。

ちなみに、「バイプレイヤーズ」の後に放送している「山田孝之のカンヌ映画祭」もかなり面白い。以前に放送されていた「山田孝之の東京都北区赤羽」の兄弟ドラマといったところか。山田孝之が映画人としてハクをつけるため、映画を作ってカンヌで賞をとろうとする様子を追いかける。役者本人が本人を演じるという設定は「バイプレイヤーズ」と変わらないが、「カンヌ~」のほうがよりドキュメンタリー色が濃い。賞を取るための映画作りという、明らかに勘違いな目的に対して真剣に取り組もうとする山田孝之。彼自身は俳優ではなく映画のプロデューサーとして手を上げ、監督に山下敦弘、主演に芦田愛菜をキャスティングする。彼らの映画作りに巻き込まれる形で登場する、映画関係者、カンヌ関係者の演技か素か、わからないリアクションが堪らない。前回、カンヌと最も関係が深い日本人監督、河瀬直美が登場。「賞を取るための映画ってどうなの?」と正論で一蹴し、たじろぐ山田孝之に「あなたなら演技でカンヌをとれるわ。私とやれば。」と迫る。まさかの急展開に今後も目が離せなくなった。



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イーグル・ジャンプ 【感想】

2017-02-17 08:00:00 | 映画


新作DVDレンタルにて。劇場未公開作。
イギリス初のオリンピックスキージャンパーとなったエディ・エドワーズを描く。「参加することに意義がある」というオリンピック精神は、栄光は勝者のみに与えられるのではなく、挑戦する者全てに与えられるというメッセージと受け止められた。そんなことを強く感じさせる本作は、多くの苦難を乗り越えるスポーツ映画の美談とは少し毛色が違う。主人公は小さい頃からオリンピック狂であり、どんな競技でも良いからオリンピックに出たいと願っていた。彼がスキージャンプという競技を選んだのも、自身の現状の力でオリンピックに出場できる唯一の選択肢だったからだ。勝つための出場ではなく参加するための出場は、自己満足のためと言っても良い。あまりカッコよくない動機であるが、1年という短すぎるキャリアでオリンピックの出場を果たすことは大きな挑戦であることに変わりはなく、力づくで夢の実現を手繰り寄せる主人公の姿に引き込まれる。しかも、致死率の高いリスキーな競技であることも当然無視することはできず、「そこまでしてオリンピックに出たいか!」と主人公の情熱に感動すら覚えるようになる。特典映像で本作の製作背景が語られていたが、当時エディ本人は嘲笑の的にも見えたらしい。しかし、本作からは彼の挑戦と努力に対して強いリスペクトを感じた。主人公演じたタロン・エガートンと、彼の師匠を演じたヒュー・ジャックマンがとても好演。クライマックスの「マトリックス」が盛り過ぎたのが傷。エディがオリンピックに出場した当時、「鳥人」と呼ばれ最強のスキージャンパーであったマッチ・ニッカネンの「ベストなパフォーマンスができれば、ビリでも良い」のセリフが印象的だった。
【65点】
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