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マグニフィセント・セブン 【感想】

2017-02-03 09:00:00 | 映画


血湧き肉踊る西部劇。アナログな武器による決戦シーンが熱い。早打ちのシーンでは、自分も拳銃をクルクル回したくなった。ドラマパートが削がれており、良くも悪くもアクションに振り切っている印象。豪華俳優陣による「今」の西部劇と見れば及第点。夕日をバックに荒野を乗馬で駆ける、西部劇のお約束のシルエットが美しい。久々のデンゼル・ワシントンとイーサン・ホークの共演が感慨深い。

極悪非道なギャングによって乗っ取られた町を、7人の勇者が救うという話。

まず冒頭から登場するヘイリー・ベネットがジャニファー・ローレンスと酷似していて驚く。というか、ジャニファー・ローレンスだと思って見ていて、エンドクレジットで彼女じゃないことを知る。彼女の旦那役はマット・ボマーだったが、扱いが雑でかわいそ過ぎて思わず吹き出してしまった(それだけかい!)。

描かれるのは勧善懲悪の世界。正義の味方が勝ち、悪党が負ける展開は「荒野の七人」のリメイクという前情報で既に折り込み済みだ。エンタメ映画として、痛快なアクション劇にどう仕立てるかに比重を置いた作り。物語の引き金となるギャングの親玉は「ワル」の前提から始まっていて、終始、観る者の憎悪を膨らませる。親玉を演じたピーター・サースガードが相変わらず巧い。正義の見方の7人は、集結する課程は描かれるものの、それぞれの動機にはほとんど踏み込まず、早々に悪者をやっつける要員に配置される。

デンゼル・ワシントン演じるリーダーを除いてだが、登場キャラの背景やドラマが省かれているのは一長一短といえそうだ。アクションに集中させるため、無駄な贅肉をそぎ落としたと感じる一方で、町を救う7人が私欲を捨て正義に目覚める課程は、もう少し丁寧に描いて欲しかったところだ。文字通り、7人は命をかけた戦いに身を投じるわけなので、「正義の味方」という設定上のレールに乗せられるだけでは物足りない。

7人が団結力を育むような場面で、他愛なく交わされるジョークがさっぱり面白くないなど、いまいち感情移入できない部分がいくつかある。しかし、クライマックスで描かれる、悪党軍団との一騎打ちのシーンは、西部劇を越えた戦争映画のようであり、想像を越える迫力だった。おそらく「荒野の七人」の当時では、テクニックや物量の部分で描けなかったアクションシーンが本作では映像化できているように思う。銃撃戦だけでなく、弓矢、斧などによるアクションも面白い。ガトリングガンのクダリは完全なファンタジーだが、これくらいの演出であれば許容範囲だ。

監督はアントワン・フークア。彼の最高傑作であり、本作主演のデンゼル・ワシントンを主演オスカーに導いた映画は「トレーニングデイ」だ。それ以来となる、デンゼルとイーサン・ホークとの共演は時の流れを感じさせるものだった。当時、まだピチピチの男子だったイーサン・ホークはすっかり枯れ(良い意味で)、デンゼル・ワシントンは60を越えたとは思えぬ若々しさをキープ(そうでもないか)。16歳も年齢が離れていた2人は、いつしか同世代に見えるベテラン俳優になっていた。

デンゼル・ワシントンに次ぐ主役級キャラとして登場するのはクリス・プラットだ。演じるプレイボーイ風なガンマンは、ガーディアンズ~のピーター・クイルによく似ている。前は端役に近い脇役ばかりだったのに、本当に出世したな~としみじみする。韓国スターのイビョン・ホンも、アジア代表としてがんばってくれた。

【65点】
コメント
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