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カンフー・パンダ3 【感想】

2016-09-08 09:00:00 | 映画


Netflixにて。
日本では鉄板ヒットが多い洋画アニメシリーズのなかで、どうしてもヒットしてくれない「カンフーパンダ」が、3作目にして劇場公開スルー。シリーズのファンである自分は非常に残念だったが、まさかのNetflix配信ということで喜び勇んで自宅鑑賞した。

物語は龍の戦士となったパンダの「ポー」が、「気」を操る新たな強敵に立ち向かうというもの。
前作からの大きな変化は、ポーが生き別れた本当の父親と再会し、自身の生まれ故郷に帰るという点だ。そこは「パンダの里(?)」であり、丸っこいパンダたちで溢れ返り、パンダ萌え必至な舞台設定になっている。

冒頭から目を奪われるのは映像の彩度と画質の圧倒的な高さだ。浮き出るような毛皮の描写や、本シリーズならではの蛍光色を多用した色彩が実に鮮やかだ。4K端末の力もあったかもしれないが、今年観たアニメーション作品のなかで文句なしに1番綺麗な映像だった。カンフーを扱ったアクションコメディでありながら、万華鏡のような映像美も本シリーズの魅力であり、3作目にしてさらなる高みに達した感じがする。ドリームワークスのアニメもディズニーに負けちゃいない。

「カンフーが調和をもたらす」というテーマは本作でも健在。自身の過去と向き合い受け入れることで「龍の戦士」へと覚醒した前作から、本作ではさらなる進化をみせる。カンフーという「武術」に加え、「気功」の領域まで足を踏み入れる。「気」はその力を他人に与えることができるが、同時に奪うこともできるという発想がユニークだ。本作の敵役は、その気功の力に気づき、他人から奪うことで力を増していく。それに対抗するのは「与える」気の力であり、ポーのさらなる覚醒の大きな足掛かりになる。

「自分らしくあれ」という本作で新たに打ち出したメッセージは、「ありのままの~♪」から続く昨今の流行であるが、登場するキャラクター個々のオリジナリティの肯定と強化が、クライマックスのアクション描写に巧く活かされていて非常に楽しい。冷静にみるとやや出来過ぎな展開だが、ファンタジーアニメの中では違和感のない仕上がりだ。

絶体絶命の危機を大逆転で勝利する展開はこれまでと同じ。しかし、その大逆転に至るまでの経緯が「気」という曖昧な要素を用いたため大雑把に映ってしまった。その結果、前作のような強いカタルシスは感じられず。まーそれでも十分に面白い映画であり、コメディに密着したハイスピードアクションは見応えたっぷりだ。

日本での劇場未公開により、日本のいつものタレント声優は誰も出演していないようだ(オリジナルの声優陣は相変わらず豪華だけど)。アメリカ本国ではシリーズ最低数字ながらそれでも1.4億ドルのヒットで、お隣の中国はそれを上回り1.5億ドルのヒットを記録(スゴい!)。全世界興収では5億ドルを超えているので、また続編が作られると予想する。ポーの進化の過程は、ドラゴンボールの「スーパーサイヤ人」のバージョンアップに近いものがあり、続編によってマンネリになることを心配する。

【65点】
コメント
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