らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

心頭は「達する? 発する?」

2024-05-17 | 雑学

一昨日、非常識な夫婦を取り上げましたが、この中で農家の奥さんが「怒り心頭に発する」と書きました。
小生、最初は「怒り心頭に達する」と書きかけたので、改めて辞書を開いてみたところ、「発する」が正しいことが確認できました。
この慣用句については間違われる人が多いようなので、今日のテーマに取り上げることにしました。

「心頭は『発する?』 それとも 『達する?』」
「怒り心頭に達する」とは、激しく怒っている様子を表現する慣用句ですが、「達する」は誤用とされています。
では、本来はどのような表現なのでしょうか?

「辞書では」
まず、明鏡ことわざ成句使い方辞典では、「怒り心頭に達する」とするのは誤りと記されています。
「使い方」・・激しく怒る。激怒する。「無礼な振る舞いにーー」
       「心頭」はこころ、「に」は「~において」、「発する」は、外へあらわれ出る意。心中の怒りが抑えられなくなることをいう。
「誤用」・・・「に」を到達点を表す助詞と解し、怒りが心に到達するの意と考えて、「怒り心頭に達する」とするのは誤り。
       例として「怒り心頭に達して家を飛び出す」を誤りとしています。

辞書が示すように、「達する」ではなく、「怒り心頭に『発する』」とするのが本来の用法とされています。
「頭に来る」という表現との類推で「心頭に達する」の方がしっくりするという人が多いかもしれませんが、これは誤用です。

「国語に関する世論調査」
文化庁の平成24年度の「国語に関する世論調査」に、この慣用句の使用についての質問がありました。
それによると、本来の表現である「怒り心頭に発する」を使うと答えた人は23.6%だったのに対し、「達する」を使うと答えた人は67.1%もいました。

「心頭」の「頭」は人間の「あたま」の意味ではなく、「ほとり。そば。あたり」(新明解漢和辞典、三省堂)を表し、「心頭」で「胸のあたり、心の中」の意味になります。
頭(あたま)が理性や知性の場所であるといわれる一方で、心は感情や感性の場所です。
従って、怒りは心に「達する」ものではなく、心から「発する(起きる・生じる)」ものであり、「心の中から怒りが生じる」状態が激しい怒りを表現しているのです。

「調査結果」
慣用句の使い方の調査で、「激しく怒ること」をどのように表現するかを質問したところ下記のとおりでした。
            平成24年度      平成17年度
(a) 怒り心頭に達する    67.1%          74.2%
(b) 怒り心頭に発する    23.6%          14.0%(本来の表現)
(a) と (b) の両方使う     1.3%         1.8%
(a) と (b) のどちらも使わない 5.0%          ー
分からない         3.0%         10.0%

調査では、全ての年代で本来の言い方ではない(a)「怒り心頭に達する」を使うと答えた人の割合が、本来の言い方である(b)「怒り心頭に発する」を大きく上回っていました。

「心頭」は「達する」ではなく、「発する」が正しい表現です。
間違いやすい慣用句なので、使用時は注意したいですね。

コメント (1)
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