最近ではすっかりお馴染みとなった「賞味期限」と言う言葉ですが、その意味するところは、劣化が比較的遅い食料品を包装状態のまま所定の環境に置いた状態で、製造者が安全性や味・風味等の全ての品質が維持されると保証する期限を示す日時であることは、どなたもよくご存知のところです。
では「賞味」について、その本来の意味をご存知でしょうか?
広辞苑では、「賞味」について、食物をほめ味わうこと。と説明しています。
そして、「賞」には、(1)ほうびのこと。 賞金。賞品。懸賞。受賞。
(2)ほめたたえる。 賞賛。賞味。激賞。
の意味があります。
この事からもお分かりのように、「賞味」には「ほめる」という意味が含まれているのです。
皆さまは「賞味いたしました」とか「ご賞味ください」などと手紙やはがきにお書きになった事はありませんか?
これらの表現は、相手からいただいた物を自分が評価するような尊大さや、自分の贈った物を「美味しいと思って、ほめ味わってください」と相手に乞うような押しつけがましさを感じるという点で問題があるようです。
食べ物屋や食品メーカーがパンフレットに「ご賞味ください」と書いているのは、「美味しいものですから、よく味わって食べてください」という宣伝文句なので問題ありませんが、一般人が粗品と書いた菓子折りなどを他人様に贈り、「ご賞味ください」と葉書に書いたら、「美味しいものですから、よく味わって食べてください」という意味となり、おかしいですよね。
では、このような時にはどのように書くのでしょうか?
こういうときは、葉書に「ご笑味ください」と書くのがマナーです。
「粗末なものでお口には合わないと存じます。お笑いください。」と謙遜して言うわけです。
そして、頂いた方は、礼状に「ありがたく賞味いたしました。」と書くわけです。美味しいと思って味わいましたということです。
「ほめる」という行為は、自分が評価を下しているという印象を与えてしまうこともあるため注意を要します。
特に目上の人をほめる時は、失礼なこともあるので気をつけたいですね。