らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

中国地方の旅(その21)兵庫県香美町・余部鉄橋

2010-05-01 | 旅行
中国地方の旅シリーズも21回目となり、日本海側から近畿地方に入りました。
タイトルは「中国地方の旅」シリーズですが、今日からの4日間は兵庫県の山陰方面から京都府の丹後、舞鶴をご紹介したいと思います。
近畿地方最初の今日は兵庫県香美町の余部橋梁(あまるべきょうりょう:余部鉄橋)をご紹介します。

余部鉄橋(あまるべてっきょう)は、兵庫県の日本海側に位置する香美町余部に、JR西日本の山陰本線、鎧駅と余部駅間に架けられている鉄橋です。
1909年(明治 42年)12月に着工し、1912年(明治45年)3月1日に開通しました。
長さは310.59m、高さ41.45m、11基の橋脚、23連の橋桁を持つトレッスル橋で、総工費331,535円の巨費を投じて造られたそうです。(現在の金額換算は下記参照)
 * トレッスル橋とは、末広がりに組まれた橋脚垂直要素(縦材)を多数、短いスパン(橋脚などの支点間の距離)で使用して、橋桁を支える形式の橋梁です。
   一般的に鉄道橋としての用例が多いようです。

・橋脚( トレッスル橋)が美しい余部橋梁(鉄橋)です。3基のクレーンは橋梁架け替え工事に使用しているものです。


余部鉄橋の独特な構造と鮮やかな朱色がもたらす風景は、鉄道ファンだけでなく、山陰地方を訪れる観光客にも人気があるそうです。

・見事に組まれた トレッスル橋です。


「余部鉄橋列車転落事故」
ご記憶の方も多いことと思いますが、余部鉄橋では過去に痛ましい転落事故が発生しました。
この事故は1986年(昭和61年)12月28日、香住駅より浜坂駅へ回送中のお座敷列車「みやび」が日本海からの突風にあおられて、橋梁中央部付近より機関車と客車の台車の一部を残して7両が転落したものです。
転落した客車は橋梁の真下にあった水産加工工場を直撃し、従業員だった主婦5名と乗務中の車掌1名の計6名が死亡し、客室内にいた日本食堂の車内販売従業員1名と水産加工工場の従業員5名が重傷を負いました。

・使用中の橋梁(鉄橋)の山手側に新橋梁の架け替え工事が進んでいます。


餘部駅は住宅地より40m以上の高い場所に設置されており、電車に乗るためには駅までの細い道を歩いて上らなければなりません。
高齢者の方にはきついでしょうね。

・JR西日本の山陰本線餘部駅から列車が通過したところです。


「橋梁(鉄橋)架け替え」
余部鉄橋の架け替えは昭和40年代から検討されたようですが、財政的理由で決定までには至らなかったそうです。
しかし、老朽化が激しくなったことや、列車転落事故後の風速規制が強化されたことによって運休や遅延がたびたび発生し、沿線地域の通勤・通学や経済活動に大きな影響が出ていることから架け替えが決定されたようです。

新しい橋は、今年の4月の時点では2本の橋が平行して並んでおりほぼ完成しています。
架け替え工事は、この後、レールの敷設などを経て今年の8月に完成予定であり、8月12日から供用開始となる予定だそうです。
 (参考)
  新橋梁の総事業費は約30億円、橋梁形式はエクストラドーズドPC橋(コンクリート橋)です。
  また、橋梁規模は橋の長さ310m、幅員7.5m、高さ41.5m、橋脚4基、橋台2基となっているそうです。

・ほぼ完成した2本の新しい橋です。駅への通路から撮影しました。


香住町余部の海岸にカッパドキアに似た奇岩を見つけました。
本場のトルコのカッパドキアとは比較になりませんが、この岩も日本海からの強い風雨によって風化されて出来たのでしょう。
トルコのカッパドキアと続けてご紹介します。

・リアス式海岸に見つけたカッパドキアに似た奇岩です。


・こちらは本場トルコのカッパドキアの奇岩群です。


(参考)
 なお、明治45年の巨額の工事費331,535円が現在の金額でどのくらいになるか調べてみました。
 明治40年頃と現在の貨幣価値との明確な比較はできませんが、当時のアンパンと公務員給与で計算しました。
 ・「アンパンの価格」
  当時アンパン1個は1銭だったようです。現在のアンパンが1個100円とすれば、明治の1円は現在の1万円になります。
 ・「国家公務員の初任給」
  当時の公務員の初任給は14円、平成19年度の国家公務員の大卒初任給を18万円とすれば、明治の1円は現在の12,857円になります。

 これらのことから、当時の余部鉄橋の工事費を現在の金額に換算すると、
  ・アンパンで比較した場合    331,535円×10,000円=33億1535万円
  ・公務員給料で比較した場合  331,535円×12,857円=42億6250万円
   ということになります。
   現在架け替え中の新橋梁の総事業費が30億円と言われているので、昔も今も工事費は余り変わらないようですね。