売らんかなの反対


 アルジェのエミール・アブデルカデル広場。ご存知の通りEmir Abd-el-kaderはアルジェリアで初めてフランス侵略軍に抵抗した英雄です。

 この広場の周りはお土産屋がいくつかあります。

 アルジェリアで好きなことのひとつは、お土産屋のおやじさんの落ち着いた態度ですね。

 世界各地のお土産屋さんは往々にして、売らんかなという態度を露わにすることが正しいことだ、道徳的にさえ正しいことだ――自分の商売に一生懸命になることはいいことにきまっているじゃないか――と思っているように思うんですが、こういうのわたしは嫌なんです。

 静かに選ばせてくれればいくつか買ったと思うのに、店主、店員がへんにつきまとってきたおかげで何も買わずに帰っちゃった、ということがこれまでずいぶんあったように思います。

 アルジェリア商人の平静さというのは、たぶん社会主義時代の感覚の名残なのだと思いますが、けっしてそれは商売不熱心ということではないと思いますよ。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )