天界に散華きらきら蝉の昼 誓子
別所を、 怒濤のような蝉時雨が見舞った。 暑さに負けずハウスガイドをする。 おびただしい脱け殻がメタセコイアの枝先や 幹に連なるように留まっている。 そんななかを、 流汗淋漓を気にもせず、 せっせと 「ぬけがら」を集める人あり。 大きなゴミ袋に、かなり貯まっていた。 すわ 佃煮… 唐揚げ…
せみの種類と分布を調べるのだそうだ。 あな 恥ずかしや~
空蝉の一太刀浴びし背中かな 朱鳥
背中の痛々しい傷口を、 厳粛な気持ちで眺めた。 手の平の空蝉は、 短い命の誕生を意味していた。 なんと切なく、 はかないことだろうか。
彼にもへその緒はあるか、 殻の中に白い紐のようなものがくしゃくしゃとまとまっている。
殻とからだを固定していたのか。
これほどじっくり見ることはなかった…
裏に返すと人の指紋のように、 腹の襞や起伏、 手足そのままの形が、 そっくりのこっている。 種類によって襞の間隔など異なるのだろうか。 目の部分だけが透明で、 電球のようにきらきらと光る。 その異様さに身震いした。 眼の痕だけが生々しく、 空蝉は訴えるように迫ってきた。
騒音だと思えた蝉の声も、 なにやら愛しく、 精いっぱいの謳歌が身にしみた。 じっと聴いていると、 自分の頭のなかが鳴っているような感じなのだ。
梅雨が明ける頃 まず小形の「にいにい蝉」 がお出ましになり、 次に大きな「油蝉」 がジージーとつよく唱いはじめ、 みんみん蝉も伴奏してくる。 最近では別所に「熊蝉」 も加わったらしい。
シャーシャーと喧しいというが、 まだ聞いていない。
室内 気温35℃ 無風 来訪者 5名
夏雲の湧きてさだまる心あり 汀女
日本風の、ちまちまとした入り混じりなしの見事なメタコセイアのみなのですね。
お気に入りの風景なのがよくわかりました。
降り注ぐ大合唱も聞こえます。
折も折、TVのダーウインが・・・で、アメリカでの17年蝉の大量発生を伝えていました。17年の土中から一斉に地上に出て羽化し、10日間の命を燃焼させて土に返る姿に、「つくづくと一年をくらすほどだにも、こよなうのどけしや。飽かず惜しと思はば、千年を過すとも、一夜の夢の心地こそせめ」を思いました。
庭でも這い出た穴や、抜け殻をよく見かけます。「空蝉」の言葉のもつロマンとはかけ離れたすさまじい姿は、朱鳥の句の通りで、「一太刀浴びし」と見ますね。
関東地区も暑さ殊のほかに厳しい様子、虫めづる姫君にも、どうぞお大事に。
(も)森の蜘蛛の水滴ネットは涼を呼んでスイテキでした。(し)書院の美では応挙に暇(伊藤)なく朝顔などを見せてクレマチス。(お)おぉ、極め付きは真夏の雪景色、橋の端のモミジも真っ白でした。(な)夏休みも半ばを過ぎ、忘れ物はどんどん忘れましょう。(は)花の薄紅色が、葉の濃緑をお得意の青を合わせた配色で引き締められ、みごとです。(う)空蝉は確かに髯(?)まで抜けますね。涼しげなメタセコイアの並木にはゼンゼン合いませんが。(ゆ)言うはなおしも、次回のブログは完成したユリの絵が飾られるのでしょう。タイトルは、ずばり「ユリ」。
お寒い駄洒落で少しは涼しくなりましたザンショ。
井の中暮らしは、 広大無辺に憧れて、身も心も解放されます。TVは途中から見ました。種の保存に役立っている、素数のはなしも面白かったですね。
かげろふの夕べを待ち… 四十路はとうに過ぎましたが まだ見たり聞いたりしたいので しばらく存命の喜びにひたります。 一太刀… なんと鮮烈! こういう見方ができるなんてと、ほれぼれしました。
きょうは夏の雲に見とれました。 陽はますます高く、熱くかがやいて。どうぞ、お体をお厭いくださいませ。
夏の宿題にお預かりしておきます。
蝉も鬚を持つとは露知らず。 怖がって余りよく見てこなかったのです。 虫めずる日まで、後(ユリ)も逢はむと…
厳しい暑さは当分続きます、 R.Hさまも、ご両親さまも どうぞお大事になさいませ。 またのお越しを!