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86. 夜訪れるもの (アッ・ターリク)【1】

2008年03月08日 | ジュズ・アンマ解説

 この章は、死んだ人間を審判の日に生き返らせることが出来る神のお力に私たちの注意を向けさせます。その日、アッラーは人々の行いを清算します。そしてこの章は、イスラームの呼びかけに呼応しない人たちにいずれ悪い結末が訪れるであろうと、警告しています。

 アッラーはまず天と諸星にかけて、という誓いの言葉でこの章を始めます。

 「天と,夜訪れるものによって(誓う)。夜訪れる者が何であるかを,あなたに理解させるものは何か。(それは)きらめき輝く星。

 何かによって誓うことは、そのことが偉大で、重要である証拠であり、そして神のお力を証明することでもあります。

 星がターリク(夜訪れるもの)と呼ばれるのは、夜に出始めるからです。そして夜中にあなたを訪問する人がいれば、その人もターリクと言えます。何かを必要としているために、夜中になって戸をたたきに来た人の話の意味が広がって、ターリクという単語は、夜に出現するものすべてに当てはめられるようになりました。

 「夜訪れる者が何であるかを,あなたに理解させるものは何か。」、誓われる事実の内容が強調され、主の創造の偉大さに留意するよう呼びかけます。

 「(それは)きらめき輝く星。」、サーキブ(きらめき輝く星)は、光を放ち、暗闇を絶つもののことをいいます。

 誓われた事柄は:「誰も自分の上に守護者(天使)をもたない者はない。」この天使(ハーフィズ)は、魂の行いをすべて記憶し、行われる善行と悪行を数え上げています。

 アッラーがサーキブを星の特徴の一つに選ばれたのは、ハーフィズ(天使)の仕事と似せるためでした。天使はアッラーにより、人間の心や良心に貫通して監視することを任され、星もその光で暗闇を貫通します。

 アッラーは人間を意味もなく創造したのではありませんし、人間をアッラーの監視の遠くへ追いやり、放置したわけでもありません。人間の行いは数えられており、動きの一つ一つが記録され、保存されています。人々の目に隠され、遠くに置き去りにされたような行いも「守護者」である天使によって記録されるのです。クルアーンの他の部分にもこのことの言及があります:「かれがまだ一言も言わないのに,かれの傍の看守は(記録の)準備を整えている。」(カーフ章18節)

 ハーフィズには、後援者、世話人という意味もあります。アッラーは、人間に能力以上の出来事や危険から守るよう、天使に言い付けています。クルアーンはこのことについても言及しています:「各人には,前からも後ろからも,次から次に(天使)が付いていて,アッラーの御命令により監視している。」(雷電章11節)

 ここでアッラーは、人間の行いが後々に審判の日に清算されるために数えられていることをはっきりさせました。次にアッラーは、再生の日が来ることと、来世に生きた状態で戻ることに疑いを持っている人たちに訓戒を示そうとしました。まず、彼らに彼ら自身の創造の初期段階と、彼らの創造の基礎について思い出させようとします:  「人間は,何から創られたかを考察させなさい。かれは噴出する水から創られ,(それは)肋骨と腰の間から出てくる。本当にかれは,かれを(新たな生命に)引き戻すことが可能である。

 人間よ、自分自身が何から創られているか考えてみるがいい。実に人間は、「噴出する水から創られ」:これは男性の精液を指しています。

 この噴出する水は、「肋骨と腰の間から出てくる。」:男性の肋骨と腰のことを指しています。

 男性の精液はとてつもなく多数の精子から出来ています。それらの一つが卵子と出会い、人間の素になる物体に変化していきます。

 人間のこの形から創造した神のお力で、死んだ体を清算のために蘇らせることは不可能ではありません。「本当にかれは,かれを(新たな生命に)引き戻すことが可能である。」、つまり、アッラーにとって、死んだ人間を生きた状態に戻すのは可能なことである、という意味です。

  審判の日:「隠されたことが暴露される日」、隠されたさまざまな意図や信条、行いが試練を受けます。「(人間には)力もなく,誰の助けもない。」、この日、人間には自分を守るための力を持つことも、自分を助けてくれる人もいません。

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