pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

にんじん@新橋演舞場1階3列下手

2017-08-03 19:56:34 | 観劇/コンサート

原作:ジュール・ルナール
演出:栗山民也

出演:大竹 しのぶ キムラ 緑子 今井 清隆 真琴 つばさ 中山 優馬 秋元 才加 中山 義紘 宇梶 剛士 阿部 裕 照井 裕隆 高谷 あゆみほか

<あらすじ>

 ここは、フランスの片田舎の小さな村。まっ青な空、濃い緑の森、そして澄み切った小川の流れるこの村では、今日も村人たちが楽しそうに歌っています。でもその中にたった一人、仲間はずれの男の子がいました。それが、にんじん(大竹しのぶ)
 にんじんのような真っ赤な髪、そばかすだらけの顔、だから父親のルピック氏(宇梶剛士)や母親のルピック夫人(キムラ緑子)までが、“にんじん”と呼ぶのです。にんじんだって、フランソワと言う名前があるのに…………。
 にんじんには、婚約者マルソー(中山義紘)との結婚式を控えて夢中の姉エルネスティーヌ(秋元才加)、甘やかされてわがままに育った兄フェリックス(中山優馬)がいますが、二人ともにんじんには無関心です。それぞれが勝手気ままの家庭に、新しくルピック家に女中としてやってきたアネット(真琴つばさ)もあきれる始末。
 誰にも愛してもらえないにんじん。みんなにどうでもいいと思われているにんじん。だから、どうしてもひねくれてしまうにんじん…………。そんなにんじんの数少ない友達の名づけ親(今井清隆)は、にんじんを優しくなぐさめます。
ある夜、ルピック夫人の銀貨が一枚なくなるという事件がおこります。夫人はにんじんを泥棒ときめつけ、はげしく責め立てるのですが―――。


今年7月に還暦を迎えられたばかりの大竹しのぶさんが、まさかのにんじん!38年前22歳の時に演じられ印象深かったので。。とのことですが、その気合いにまずびっくり!ポスター写真も元気いっぱい

フェードルの舞台があまりに素晴らしかったのと、久しぶりに今井清隆さんの深い歌声を聴きたいなあと思ったのがチケットとった動機でしたが、再び思いました。大竹しのぶおそるべし。

夏休みで子ども向けのミュージカルっぽいポスターですが、内容は大人がじっくり考えさせられるものでした。観劇していた子どもたち、理解したかなあ。。

子どもの頃にこの作品を読んだ時には、お母さんが本当に意地悪で、みんなに冷たくされるにんじんが気の毒でならなかった記憶があります。

。。が、今回この作品、なんと今日的な問題を孕んでいるのかとびっくりしました。冷え切って直接言葉を交わさない夫婦、親の顔色を見てばかりの子ども、弟に思いやりを持てない兄姉、子どもの愛し方が分からない親、全然楽しくない夕食。原作には、おねしょをしたにんじんの尿を入れたスープを無理やり飲ませるといった場面もあります。最近わが子の口に唐辛子を突っ込んで窒息死させた親のニュースがありました。家庭という密室での虐待。そういう問題って、今に始まったことではないんだなと、暗い気持ちになりました。

何故この家庭がこんな風になってしまったのかということは台詞の端にちらっとあるだけなので、キムラ緑子さんの心の闇がいまいちわかりずらかったのですが、そこがわかるともう少し感情移入できたかなあ。それにしても緑子さん、こういう役多いですね。

なんと大竹さんより4カ月ほど若い今井清隆さんがにんじんの名づけ親。父と同年配そして23歳の中山優馬くんが還暦のしのぶさんの兄

でも、でもですよ。そこが大竹しのぶさんのミラクル見えるんですよ。14歳に 何故愛されないのか、行き場がないのか、歌いながらポロポロと頬を伝う涙。兄の犯した罪を着せられ姉の結婚式にも出してもらえず、頼りに思っていた父にも突き放され、一度は死を選ぼうとしながらも絶望の淵から立ち上がり「自分で決めた『ひとりぼっちの道』」を行く姿には、もう涙が止まりませんでした。本当にすごいよ大竹しのぶ。

がんばれにんじん!

にんじんの本当の名はフランソワ。その名をつけてくれた名付け親の今井清隆さんと、新しく来たお手伝いのアネット、真琴つばささんの温かさが救いでした今井さん、ハイジのおじいさんみたいで、素晴らしい包容力もっと歌ってほしかった~アンサンブルには阿部裕さん、照井くん、高谷さんといった東宝ミュージカルお馴染みの顔があって、嬉しくなりました。照井くんが踊りまくってます

大竹さん、この後は「欲望という名の電車」や「ピアフ」さらに新しいミュージカルも続いています。なんか、目が離せなくなってきた感じです。まだまだ大きくなりそう!



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