[劇作・脚本]ジェームズ・グラハム(台本)
[作詞・作曲]ゲイリー・バーロウ&エリオット・ケネディ
[演出・翻訳]小山ゆうな
[翻訳]高橋亜子(訳詞)
[出演]山崎育三郎 / 濱田めぐみ / 武田真治 / 夢咲ねね / 杜けあき / 遠山裕介 / 廣川三憲 / 星智也 / 家塚敦子 / 石川剛 / 伊藤かの子 / 榎本成志 / 大久保芽依 / 工藤彩 / 塩川ちひろ / 永松樹 / 福島玖宇也 / MAOTO / ルイス魅麗セーラ / 他
[あらすじ]
19世紀後半のイギリス。新作戯曲が書けずに行き詰まっていた劇作家ジェームズ・バリ(山崎育三郎)は、公園で、未亡人シルヴィア(濱田めぐみ)と4人の子ども達ジョージ、ジャック、ピーター、マイケルと出逢う。
妻のメアリー(夢咲ねね)からも問い詰められ悩んでいたバリだったが、彼らと遊ぶうちに純粋で正直な気持ちを思い出し、「演劇」も「遊び」も同じ「PLAY」なのだと気がつき、物語をどんどん生み出していく。
しかし、当時のイギリスでは、演劇は上流階級だけのもので、バリが「子供も楽しめるファンタジー作品を上演したい」と提案すると、劇場主のフローマン(武田真治)と劇団員たちは猛反対。
一方、父を亡くしてから純粋な心を閉ざし”大人”になろうとしていた三男のピーターは、バリと交流を深めるうちに、夢や希望を捨てることが大人になることではないのだと悟る。バリとシルヴィアは、シルヴィアの母のデュ・モーリエ夫人(杜けあき)に反対されながらも交流を深め、お互いを理解し心を開く関係になっていく。こうしてバリは、シルヴィアと子供たちと一緒に空想した世界を基に『ピーターパン』の物語を作りあげていく。
最初は反対していた劇団員たちも、次第に子供の頃の純粋な気持ちを思い出し、バリの描く世界に引き込まれていく。順風満帆かに思えたが、シルヴィアの体調が悪化し、バリと兄弟たちは新たな試練に直面することになる。そして迎えた新作舞台『ピーターパン』の公演初日。
『ピーターパン』という永遠の物語を生み出した一人の作家と、彼を囲む人々の、美しく、優しく、切ない、感動の物語。
先週の朝日新聞劇評を読み、なんだかすごく観たくなってしまいましたが、東京での公演日もあとわずかだったので、なんとかリセールチケットをみつけてGET!ぴあさんありがとう
「エドモン」もそうでしたが、この作品もまた劇作家の苦悩の物語。こういうの好き。
何といっても山崎育三郎くんに濱田めぐみさんという超絶歌唱力の持ち主の競演です。面白くないわきゃない。という想いで幕開きを待ちましたが、いや、それだけではなかったです子供たちがうまい!育三郎バリと3男ピーターのデュエットでも、子役ちゃんの歌声が負けてないのがまたすごい子役おそるべし。子供で泣かせるのは好きじゃない私ですが、泣いちゃいましたよ。うまくて。ちっちゃいのからややおっきいのまでシルヴィアさんの4人の息子これが健気なんだわ。父を失い大人びてしまった3男ピーターをはじめ、長男、次男、4男。やんちゃで子供らしくわちゃわちゃ遊んで豊かな想像力を広げる。そんな様を見て、自分の中の自由な心を取り戻す大人たち。
文学座の星智也さんもいるじゃありませんか!この方の存在感半端なし。背もひときわ高く、良いお声。まさか「犬」やるとは。この舞台には本物の犬も登場しますが、(今日はセントバーナード君)このリアルワンちゃんが、智也さんの犬の着ぐるみに反応して(たぶん)予想外の動きをしてしまったらしく、とある場面で「おまえ、どこでそんな演技覚えたの?」と言われながら舞台袖にはけてました((笑))このワンちゃん、かわいい
バリが取り戻す子どもの心を「フック船長」が体現するところいいなあ。「精神の自由の解放」という言葉が思い浮かびました。解き放たれる大人たちの楽しそうなこと。「大人らしい振る舞いをしなければ」という抑圧が大きかったんでしょうね。
ラスト近く、4人の子供たちの母シルヴィアが病に侵され外出ができなくなった時、訪ねて来たバリを祖母が追い返そうとしましたが、長男が「ここは僕たちの家です。入って母に会ってください。」ときっぱり言います。ここ、かっこよかった。子供たちもそれぞれに心の成長があったことを示す場面で、ぐっときてしまいました。父を失い、母までも失いつつある子供たちが辛さを乗り越えようとしている姿に涙が。。。
再演があったらまたぜひ観たい作品です。
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