rivière(リヴィエール)
チュニジアでは河というより、海のイメージが強い。
そして、河という大河ではなく、川があったという感じであろう。
川で思い出すのは、ナツメヤシの林の中を縦横無尽に流れている水路である。
これは、ポンプでくみ上げた水を、どくどくと流しているので、まさしく川のようであった。
危険なので、絶対に私の真似はして欲しくないが、7Km以上も広がるナツメヤシの畑(林)に迷い込んだ私は、時にこの水路を渡れず、右往左往。生ったまま干からびたざくろなどを見上げているうちに、どこから来たのか判らなくなってしまう。ちょろちょろとした水の流れと、沼のようになっているところ、そして幅2メートル、深さ50センチくらいの川のようなところに囲まれ、聞く人もいない。いっそ泳いで渡りたい…と思うこともあったのが懐かしい。
豊富な地下水と温水ではぐくまれる迷宮のナツメヤシ畑。
海から離れた内陸は、乾ききって荒涼としている。
生きているものなどなにもないような気がする、砂と岩の世界。
己も干からびそうになり、アンモナイトの化石を売る少年をみると、かつては海の底であったのかと、信じられない思いがする。
息を切らし、汗も乾き、べたっとしてくるころ、懐かしい音がしてくる。
水の音とかえるの声。
どこから沸いてくるのか。
小さなかえるとたわむれる、夢のような水辺のひと時。
チュニジアの川は美しいオアシス。[a]