grave(グラーブ)
苔むした丸屋根の白い建物に入っていくと、タイルが美しい建物がある。
中庭にはオレンジの木があり、たわわに実るオレンジの果実が、木漏れ日の結晶のようである。
しんと静まり返り、ひんやりとした室内。
薔薇、薔薇、薔薇、花々、蔦、真っ白い棺に彫られた、美しい花々が、時を止めている。
タイルには、さえずる小鳥が、今にも飛び出しそうに描かれている。
アイアンの格子の向こうは、強い日差しで真っ白になって、何も見えない。
ステンドグラスのランプシェードに、窓からの日差しがあたり、摂関の真っ白な花に色を添える。
市場の真ん中とは思えない、墓所。
人々の生活のなかに眠る。
ここもまた、イスラームとはいえ、またちょっと違う文化を感じる。[a]