旅の空の下より さらさへ
路地裏で言葉を交わした、いつもの昼さがり。
「またね」と、閉めた扉の木目をじっと見つめ、
それが最後とは思わず、また日常へ戻ってから、はるか数千年。
おそらくその当時、憧れであったペルシャを、
時を経て二人でまた再会し、旅しようとは…
大好きだった薔薇の花を求め、薔薇の山へ出かけてみれば、
一足早く咲いてしまった、薔薇の山。
かくれんぼするように、顔を覗かせる芳しい薔薇が、一輪、二輪…
『王書』、『薔薇園』細密の美しい本を、盗み見て、夢見たペルシャ。
噴水の香は薔薇。しぶきの向こうに糸杉の緑。
さらさ、私たちはこの薔薇の地に立って、最初になんと言ったと思う?
「ここには生まれたことが無い」
面白いでしょう?妙な実感と共に、旅をしています。
碧
まだ暑さの残る夕暮れ時、どこからともなく漂ってくる芳しい薔薇の香に導かれ、薄暗い回廊を通り抜け辿り着いたのはモスクの中庭。そこから碧と私の「ペルシャの旅」は始まりました。
砂漠の真ん中に位置するオアシス都市カーシャーン。そこには、乾いた土色の世界と、かつての瀟洒な邸宅の跡が残り、薔薇の可憐な花がひっそりとその姿を覗かせていました。
早朝訪れた山奥の薔薇畑(ガムサル)では、朝露に濡れたゴレ・ムハンマディ(薔薇)の芳香に酔い、「満開の時、満月の夜に訪れることが出来ていたら!」と二人で夢想。
既に初夏の陽気に包まれたけだるい昼下がり、薔薇色に彩られた村(アブヤーネ)の小さな路地裏で、いつかのように私たちは別れを告げ、碧はひとりで古代ペルシャの夢の跡へと旅立って行きました。
碧はきっとそこで、天に聳える古代の柱を見上げ、痛いくらいの碧空に抱かれながら、遠い日本でギリシャに恋焦がれるさらさのことを思い浮かべたことでしょう。
アレキサンダー大王により歴史の終焉を迎えた彼の地には、時がいつの日からか止まってしまったかのように、今もギリシャの記憶が刻まれています。
いつか3人で同じ想いを抱え、碧い空の下、旅が出来たら・・・
そんな想いがどこまでも広がっていきます。
薔薇の香と歴史の足跡、さらさにもきっと届きますように・・・
mitra
写真は薔薇水屋のショーウィンドウ。(撮影:碧)
碧とmitraの旅もそろそろ終焉へ。
共通の想いを抱え、今回初めて共に旅したふたり。
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