ピッコロ便り

ピッコロシアター、県立ピッコロ劇団、ピッコロ演劇学校・ピッコロ舞台技術学校など、劇場のトピックをご紹介します。

動く彫刻

2011年09月11日 | 演劇学校・舞台技術学校
9月10日(土)、11日(日)の2日間、マイム俳優のいいむろなおき先生による「動く彫刻」の授業が行われました。
身体の動きや力を効率よく使って日常を再現する・・・そのためには「体の立体感」「重心」「動作のリズム」の3つがとても大切であるという事を先生は繰返しおっしゃっていました。
授業を受けた演劇学校生たちは先生から大きな刺激をいただいたようで、出された課題に対し、試行錯誤しながらも、いろいろなアイディアを出しながら、挑んでいました。
その演劇学校生に交じって、劇場にインターンシップに来ている大手前大学の学生さんたちも授業に参加し、感想を寄せてくれました。
 
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「マイム初体験でしたが、面白く教えていただいたので、楽しかったです。『押す』『引く』などの日常的な動作も、改めて考えながらやってみると難しかったです 小林」
 
「授業も先生も面白かったです。マイムをならいたくなりました。 鈴木」
 
「日常の何気ない動きをわかりやすく伝えることがマイムの基本で、それ自然に表現することがとても難しかったです。筋力も必要で、普段運動をあまりしない私にとっては、少しツラかったです。 藤原」
 
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身体の動きの素晴らしさだけでなく、話術も巧みないいむろ先生。
 
11月30日(水) 18時30分から、ピッコロシアターの大ホールで開催される文化セミナー<78>にご出演いただくことが決まりました。
こちらの公演は、マイム俳優のいいむろなおきさんと大蔵流狂言方の善竹隆司さんとのトーク&実演ライブ。入場無料ですが、要申込みとなります。10月1日(土)からお申し込みを開始しますので、お見逃しなきように…。
 
演劇学校担当:小梶

「ピッコロ舞台技術学校」県芸術文化センターで特別授業開講

2011年09月10日 | 演劇学校・舞台技術学校
9月6日に兵庫県立芸術文化センターで特別授業<照明>を行いました。
今回は、『照明プランに必要なもの』と題し、舞台技術部の池田拓司さんにご講義いただきました。
受講した、〈照明コース〉の学校生に感想を聞きました。
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いつもの慣れ親しんだピッコロシアターの舞台空間とは異なる雰囲気の中、照明プランのイメージづくりから、それを形にしていくまでの流れ、そして形になったあかりを見せていただけた、非常に充実した内容の授業でした。
ただそれ以上に、劇場の多くのスタッフの方々が、今回の僕らの授業のために、段取りや機材の仕込みも含め、綿密な準備をしていてくださったことにとても驚き、嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。これから照明を本格的に学ぼうと考えている自分にとって、有意義な時間を過ごすことができました。
芸術文化センターのスタッフの方々、貴重な機会を与えていただき、本当にありがとうございました!   上田 香介
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今日の授業では普段の授業で見る機会のない照明機器や、オーケストラボックスなども見ることができて非常によかったです。また、コンサートver.とライブver.という形で演出の見比べができたのもよかったです。 ありがとうございました。  久保 和也
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まずホールの大きさに驚いた。そして授業では、現場でのコミュニケーションの重要性、同じ内容でも規模や場所による考え方の違い、段取りについてなどが強く残っている。
また、ピッコロシアターに無い機材が有ったり、奈落もかなりの広さがあり、やはり違うという印象を受けた。  平谷 貴行
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違いがわかるように照明プラン2案が準備されていたこと、また、それは多くの裏方を支えてくださった皆さんの連携プレーで成り立っていたこと等々、本当にありがとうございました。第2回美術、第3回音響も楽しみにしております。   横野 真理
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とても丁寧にご講義いただき、内容の濃い授業でした。
今後も10月に〈美術コース〉、11月には〈音響コース〉の授業があります。
こちらもとても楽しみです。
舞台技術学校担当 中西

ピッコロ Side Story(2) 大蔵流狂言方 善竹隆司さん・隆平さん

2011年09月06日 | piccolo side story

「狂言をご覧になる若い人が増えてきて嬉しい」と話すのは、大蔵流狂言方の善竹隆司さん(38)と隆平さん(33)兄弟。9月10日に大ホールで開催する「ピッコロ狂言会」にむけて、先日、新聞社の取材に答えた。

「ピッコロシアターは、『青少年創造劇場』なので、色んなジャンルの公演をされています。その中に狂言もある。能楽堂にはまだ馴染みがなくても、慣れ親しんだ劇場で気軽に狂言を楽しんでもらえたら」と抱負を語る隆司さん。

ピッコロでは、1981年から「狂言名作シリーズ」として、善竹忠一郎さんの善竹会による狂言会を開催してきた。2004年からは、長男の隆司さんの『狂言てなぁに?』という解説もつけ、初心者や子どもにも親しみやすい内容になった。今年は、狂言「千鳥」「宗論(しゅうろん)」を上演する。

(左)「宗論」より 善竹隆司さん (右)「千鳥」より 善竹隆平さん

善竹兄弟の魅力は、名前の「竹」の如く、真っ直ぐさとしなやかさだと私は思っている。そんな兄弟自らが企画し、大阪能楽会館で開催される「善竹兄弟狂言会」は、今年9回目。東京でも公演されるなど若い人にも人気が定着してきた。その成果が認められ、今年8月、隆司さん・隆平さんに「平成23年度大阪文化祭賞」が贈られた。今後ますますの活躍が期待される。

(左から)隆平さん、隆司さん

実は、隆司さんは、公立文化施設としては国内で初めて開設された「ピッコロ舞台技術学校」の第1期生でもある。兵庫県立宝塚北高校の演劇科卒業後、能楽の修行の世界に身をおきながら、1992年度の1年間を舞台音響コースで学んだ。

当時の思い出を、ピッコロシアターの機関紙「into」19号に寄せている。

『(中略)第一線で活躍されている講師の方々の現場でのお話や、手作りで効果音を作り上げる手法など、とても興味深い授業でした。(中略)

私の勤める狂言は、能舞台で上演し、効果も全て役者自身が擬音で表現します。しかし、この学校で舞台技術の基本的な考え方を学べたのは、能楽堂を離れて狂言を上演する時に、非常に有意義であり私の糧となっております』

音に対する感覚を磨いたことが、音を使わない狂言の表現に生かされているとしたら、興味深い。

そしてこの学校で、隆司さんは高校時代の同級生・三戸俊徳さん(37)と偶然再会する。高校時代、二人は放送部に所属し、三戸さんが部長、隆司さんが副部長だったとか。三戸さんは、宝塚北高校普通科を卒業後、大学1年生の時、「ピッコロ舞台技術学校」に入学。大学卒業後、(財)宝塚市文化振興財団に入り、現在、宝塚のソリオホール館長を勤める。実は私とも旧知の仲で、“情報交換”と称しては杯を交わすことも。仕事でも、何度かピンチを救ってもらった頼りになる存在だ。


「ピッコロ舞台技術学校」でさらに親交を深めた二人は、それぞれのフィールドで活動しながら、やがて仕事でもタッグを組み新しい試みに挑戦する。

2008年、宝塚ゆかりの漫画家・手塚治虫生誕80周年記念企画として「宝塚発~手塚漫画×善竹狂言『勘当息子』」をソリオホールで上演したのだ。手塚の名作「ブラック・ジャック」から新作狂言を生み出すという画期的な企画で、メディアにも大きく取り上げられ話題となった。

隆司さん演じる老いた母と、隆平さん演じる黒医師(ブラック・ジャック)。親子の情愛がしみじみと伝わる感動的な舞台であった。この企画は好評を博し、翌年にも新作狂言「老人と木」が上演された。

『勘当息子』より (右)善竹隆平さん (中央)善竹隆司さん(左)善竹大二郎さん

(提供=財団法人宝塚市文化振興財団)

隆司さん、三戸さんらの第1期生から数えて、「ピッコロ舞台技術学校」は今年、第19期生を迎えた。卒業生はのべ580名。

ピッコロで学び、色々な分野で活動する人を見るのは嬉しい。様々な人のつながり。それこそが劇場の大きな財産だと思う。

ピッコロ実技教室「ちゃっと!狂言」で講師を勤める善竹隆司さん(右)と隆平さん(左)

                                        (業務部 古川知可子)