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ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

アストレとセラドン

2010年01月23日 | 映画


エリック・ロメールの「我が至上の愛.ア
ストレとセラドン」を見る。「グレースと
公爵」と同じく、彼の多くの作品が現代劇
ではあるがこれは史劇。しかも、「グレー
スと公爵」のような歴史的事実に基づいた
ものではなく、同じく彼の作品「聖杯伝説」
のような寓話的神話的な世界の話である。
だから、他の作品に見られるような、饒舌な
会話による下世話なやりとりに思わずクスっ
という場面はない。最後まで牧歌的な空気
に包まれ、一つの純愛物語として完結する。
ちょっとストローブ=ユイレの「アンティ
ゴネー」を思い出した。

愛の物語を、ずっと追い求めてきたロメー
ルの終着点がこの映画か、と思うと特別な
感慨が湧いてくるが、好きかと問われれば、
他の作品のほうが遥かに好きと言わざるえ
ない。ロメールの過去の作品の集大成とい
うより純化させたものがこの作品なのか、と
いう気もするし、一つの遺言と考えられな
くもないし、その辺のところは、アルトマ
ンが「今宵、フィッツジェラルド劇場で」を
残したのに近いものがある。いずれにしろ
遺作なので、このDVDは大事にしたい。ゲ
ロゲロ少年Yは、確か公開時に見に行きいた
く感激していたが、一体どこに感激したのか
もう一度聞いてみないといけない。
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