レンタルの「スラムドッグ・ミリオネア」を
見る。知らなかったのだが、監督のダニー・
ボイルという人は、「シャロウ.グレイブ」
「トレインスポッティング」「普通じゃない」
を撮った監督だったのだ。この三作はなか
なか面白い作品で、「トレインスポッティ
ング」はあまりに有名なので今更なのだが、
他の二作品もB級的な香りがする、小気味
の良い娯楽作で、見ても損のないものだっ
た。脚本がしっかりしているのが、その共
通するところだ。
で、今回の「スラムドッグ・ミリオネア」だ
が、インドの現実を盛り込みながら娯楽作品
として上手くまとめているのは確かで、ア
カデミー賞受賞という事実からも、その分
かりやすさもあり多くの人に受け入れられ
たということは間違いない。しかし個人的
には、決して年間マイベストテンに入るよ
うな映画ではなかった。むしろ過去のB級
的な映画のほうが好きだし、映画としても
良かったと思う。この手の監督の良さが生
きるのは大作ではなく、予算の限りのある
B級映画である(と敢えて断言)。大作とな
ると、どうしても冒険がなくなり、結果、
万人受けする類型的な娯楽作品になるのは
不可避のようだ。興行的に考えたら、それ
こそが映画の成功なのだから当たり前とい
えば当たり前なのだが。
というわけで、「スラムドッグ・ミリオネ
ア」、暇つぶしに見るには最適だが、決し
て、良い映画として記憶に残るようなもの
ではなかった。
追記
この映画も決して大作ではなく、低予算映
画ということらしい。ということは、問題
はあくまでも監督の姿勢ということか。ア
カデミー賞に対する色気がこれを撮らせた
と考えた方が良さそうだ。