サンタナはラテン・ロックという独自の路線を築いて、約40年の長きにわたって第一線で活躍しています。その基礎を作ったとも言えるのが初期の3作品。中でも、代表曲「ブラック・マジック・ウーマン」を含むセカンド・アルバムは、全米6週1位の実績をもつ70年代のマスターピースであると思います。
No.35 「天の守護神/サンタナ」
サンタナは、リード・ギターでリーダーのカルロス・サンタナを中心とした大所帯バンドで、69年のウッドストック・フェスティバルでの熱狂的なステージで一躍注目を集めました。セカンド・アルバム「天の守護神」は70年秋のリリースで、メキシコ出身のカルロスが醸し出す独自のリズム感や泣きのギター哀愁感は、ビートルズ解散にはじまった70年代という新しい時代の到来を象徴する音楽でもありました。
このアルバムからは、先のA2「ブラック・マジック・ウーマン」とラテンリズムが心地よいA3「僕のリズムを聞いてくれ」が大ヒット。この2曲は、いまだにステージでは欠かせない、サンタナのテーマ的ナンバーとなっています。実はこの両曲はともにカバー曲で、特に「ブラック…」は、オリジナルはフリートウッド・マックのブルース・ナンバーだったものを、ラテン・フレイバーを加えてより魅力的にアレンジしたものなのです。
他にもこのアルバムには、ロック色の濃い佳曲B4「ホープ・ユー・アー・フィーリング・ベター」、その後の大ヒット作「哀愁のヨーロッパ」の原型とも言えるB3「君に捧げるサンバ」、ジャズとラテンの見事な融合とも言えるA4「ネシャブールの出来事」など、質の高い楽曲がこれでもかといった感じで収められています。すなわち、その後の長きにわたるサンタナの音楽バリエーションの基礎を確立した重要作でもあるのです。
サンタナは、カルロス以外は常に流動的なメンバーたちで構成され、全く同じメンバーで複数のアルバムを制作されることはないという、ある種ユニット的活動のバンドでもあります。70年代から一貫してこのスタイルを続け、90年代に入ってからは、クラプトンやスティーブン・タイラーをはじとした大物ゲストをもユニットに加えることで、より一層様々な音楽に独自のラテンの味付けを施し、現在に至るまで第一線での活躍を続けているのです。99年の「スムーズ」の記録的な大ヒットとグラミー賞の主要部門独占という“大事件”は、まさにこの70年「天の守護神」で完成された独自のラテン・ロック・スタイルでの一貫した活動があってこそ、なし得た快挙だったのです。
余談ではありますが、初期の中心メンバーであった、グレック・グローリー(Key)とニール・ショーン(G)が結成したバンドがあのジャーニーです。ジャーニーは、まったくラテンの匂いがしない、“ダサイ”ぐらい正統派のアメリカン・ロック・バンドです。この事実は、長年変わらぬサンタナ人気の秘密である独自のラテン・フレイバーが、まさにメキシカンであるカルロスその人の個性に違いないことを物語ってもいるのです。
このアルバムで完全に開花したカルロス・サンタナの個性は、70年代に生み落とされ現在に引き継がれた「音楽界の至宝」であると言っていいと思います。
No.35 「天の守護神/サンタナ」
サンタナは、リード・ギターでリーダーのカルロス・サンタナを中心とした大所帯バンドで、69年のウッドストック・フェスティバルでの熱狂的なステージで一躍注目を集めました。セカンド・アルバム「天の守護神」は70年秋のリリースで、メキシコ出身のカルロスが醸し出す独自のリズム感や泣きのギター哀愁感は、ビートルズ解散にはじまった70年代という新しい時代の到来を象徴する音楽でもありました。
このアルバムからは、先のA2「ブラック・マジック・ウーマン」とラテンリズムが心地よいA3「僕のリズムを聞いてくれ」が大ヒット。この2曲は、いまだにステージでは欠かせない、サンタナのテーマ的ナンバーとなっています。実はこの両曲はともにカバー曲で、特に「ブラック…」は、オリジナルはフリートウッド・マックのブルース・ナンバーだったものを、ラテン・フレイバーを加えてより魅力的にアレンジしたものなのです。
他にもこのアルバムには、ロック色の濃い佳曲B4「ホープ・ユー・アー・フィーリング・ベター」、その後の大ヒット作「哀愁のヨーロッパ」の原型とも言えるB3「君に捧げるサンバ」、ジャズとラテンの見事な融合とも言えるA4「ネシャブールの出来事」など、質の高い楽曲がこれでもかといった感じで収められています。すなわち、その後の長きにわたるサンタナの音楽バリエーションの基礎を確立した重要作でもあるのです。
サンタナは、カルロス以外は常に流動的なメンバーたちで構成され、全く同じメンバーで複数のアルバムを制作されることはないという、ある種ユニット的活動のバンドでもあります。70年代から一貫してこのスタイルを続け、90年代に入ってからは、クラプトンやスティーブン・タイラーをはじとした大物ゲストをもユニットに加えることで、より一層様々な音楽に独自のラテンの味付けを施し、現在に至るまで第一線での活躍を続けているのです。99年の「スムーズ」の記録的な大ヒットとグラミー賞の主要部門独占という“大事件”は、まさにこの70年「天の守護神」で完成された独自のラテン・ロック・スタイルでの一貫した活動があってこそ、なし得た快挙だったのです。
余談ではありますが、初期の中心メンバーであった、グレック・グローリー(Key)とニール・ショーン(G)が結成したバンドがあのジャーニーです。ジャーニーは、まったくラテンの匂いがしない、“ダサイ”ぐらい正統派のアメリカン・ロック・バンドです。この事実は、長年変わらぬサンタナ人気の秘密である独自のラテン・フレイバーが、まさにメキシカンであるカルロスその人の個性に違いないことを物語ってもいるのです。
このアルバムで完全に開花したカルロス・サンタナの個性は、70年代に生み落とされ現在に引き継がれた「音楽界の至宝」であると言っていいと思います。