日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

祝ソフトボール悲願の金メダル~星野ジャパンに足りないモノを見た

2008-08-21 | ニュース雑感
日本女子ソフトバールチームが、3大会連続優勝の宿敵アメリカを破って悲願の金メダルを獲得しました。

素晴らしく感動的なゲームでした。これまで3大会日本は4位→2位→3位。どうしてもアメリカに勝てず、今大会でもアメリカには予選、決勝トーナメントで2連敗中でした。その宿敵相手に息の詰まるような接戦を演じ、勝ち抜いて見事金メダルに輝いたのです。しかも今回がソフトボール最後のオリンピックでした。まさにラストチャンスをキッチリものにしたという訳です。

私はと言えば、どうせアメリカには勝てっこないと決めつけて、何点差で収まるのかといった感じの冷やかし半分でのテレビ観戦でしたが、エース上野投手を中心とした鬼気迫る雰囲気の中、徐々に徐々に引き込まれ、最後は本当に思わず目頭が熱くなるほどの感動を味わせてもらいました。度重なるピンチをしのぎ、少ないチャンスをものにできたのは、まさに素晴らしいチームワークとチームが醸し出す勝利への執念という「気迫」以外の何モノでもなかったように思います。

その中心にいたのがエース上野選手。昨日、午前アメリカ戦、夜オーストラリア戦に連続完投し、合計300球を超す熱投がオーストラリア戦での奇跡のサヨナラゲームを呼び込んだのでした。しかも連投で、今日もマウンドへ。聞けば試合前には連投の影響で、利き手の指のマメを潰すと言うアクシデントにも見舞われていたとか。それでも“絶対に勝つ!”という「気迫」溢れる姿勢が、より一層のチームワームを作り出したのでした。

「気迫」に力づけられたチームワークは、信じられパワーを生み出すものです。国と国との“闘い”である短期決戦の国際試合では、それがあってはじめて、不可能をも可能たらしめる力を与えてくれるものなのです。一昨年のワールド・ベースボール・クラシックでの、崖っぷちに立たされた日本チームの「気迫」が呼んだチームワークでの、韓国戦勝利を皮切りとした奇跡の逆転優勝を思わず思い出しました。あの時、チームの「気迫」の発火点となったのはイチロー選手でした。今回と同じ、中心選手の「気迫」がチームに乗り移ることで、不可能を可能に変えた瞬間だったのです。

さて、次なる焦点は野球の星野ジャパンがこのソフトボールチームに続けるかです。明日準決勝で韓国と戦い、勝てば決勝でキューバ・アメリカの勝者と決勝です。

私の見る限り、星野ジャパンは今ひとつこの「気迫」が足りないと思っています。ソフトボールチームやワールド・ベースボール・クラシック時の日本チームのような危機感がない。大一番を前にしていながら、今日の上野選手やあの時のイチロー選手にあたるような「気迫」の中心となる存在が出てこないのです。目立っているのは監督星野仙一の「気迫」ばかり。現場での監督の出過ぎた「気迫」はかえってマイナスではないでしょうか。試合をするのはあくまで選手。監督が先頭を切って「気迫」を表しすぎては、選手の影が薄くなってしまうのです。私はここを最大の問題点として見ています。

キャプテン宮本は人柄はいいものの、それ以上でもそれ以下でもない。エース、ダルビッシュは「気迫」あふれるピッチングが身上ながら、まだまだチームを引っ張っていくには若すぎます。一流選手が集まっていながら、どこか常に物足りなさを感じさせてしまう星野ジャパン。短期決戦の国際試合という特異な状況では、監督が一番“熱い”うちは、なかなか通用しないのではないかと思うのです。

やはり北京がオリンピック最後となる野球。イチロー選手がいない今回、金メダルへの執念による「気迫」の発火点となりうる新たなキーマン選手の出現はあるのか。中心選手の「気迫」発火による星野ジャパンの健闘を祈ります。