日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

スッチー怒る!~元“半官”企業JAL のあきれた企業風土

2007-11-27 | ニュース雑感
JALがまたやってくれました。
組合と会社が一体となっての不当な個人情報の収集管理していた件で、客室乗務員をはじめとした多数の社員たちから訴えを起こされました。

150項目にわたる管理情報の中には、「バツイチ」「悪党」「酒癖最悪」「ブサイク」「役立たず」・・・、などのおよそ人事管理情報とは言い難い、中傷や悪口の類がズラリ。日本航空という会社の、企業文化の低俗さが図らずも明らかになってしまいました。

問題発覚は今年の2月、日航の社員処分発表が5月。それがなぜ今訴訟騒ぎに?といった感じですが、 これは事件に対する会社側の問題認識の甘さに腹を据えかねた社員たちが立ち上がった、と言えるお話なのです。

会社側は、問題の資料は組合が収集管理していたものとして、会社ぐるみでの関与を否定しています。でも本当にそうでしょうか?
150項目にもわたる個人情報や、誹謗中傷の類にまで至るプライバシー情報を、なぜ組合が収集する必要があったのでしょう。そんな詳細な個人情報を手に入れても、組合活動の中では使う機会などなかったのではないでしょうか。

あくまで想像の域を出ませんが、会社の人事が御用組合を使って、万が一バレたときに人事部がやったとなってはマズいことを、やらせたのではないかなと思っています。御用組合の裏人事部機能というのは、それこそ昭和の大企業ではごくごくあたりまえにまかり通っていたことですから。日本航空のように、社内にいくつもの労働組合を抱え、相互の力関係が微妙な企業では、過去大いに可能性のあったことでしょう。

その辺の事の真実も知りたいところではありますが、結果組合主導であろうが会社主導であろうが、一番の問題はそのような前時代的意識が蔓延している、日本航空社内の企業風土だと思います。

企業コンサルにおいて、「一事が万事」は、問題点洗い出しの際の基本的な判断基準です。古い企業風土の企業では、「企業風土は古いけど今様のコンプライアンス体制がしっかりしている」なんてことはまずあり得なくて、当然のようにコンプライアンス違反事例が起きるものなのです。

私は、社員から起こされた今回の訴訟は、単に人事情報管理上の会社の関与の有無が問われている問題ではないと思います。会社側には、これは日本航空と言う“元半官”企業の企業風土および体質に向けて提示された「レッドカード」であると受け止めた上での、真摯な対応が求められているのではないでしょうか。

日本航空の再生計画も、なかなか思うに任せぬ現状を考えるに、同社の古い企業風土の改革なくして、真の再生はありえないと痛切に感じています。


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