日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

石原、小沢がカギを握る「第三極」の古臭さ

2012-12-03 | その他あれこれ
さていよいよ明日から選挙戦が本番に突入します。注目は、台風の目であるところの第三極と言われる新政党得票の行方です。日本の浮動票が大きな割合を占める選挙では、政党のイメージが得票に大きく影響しますが、実績に乏しい新政党ではなおさらです。

政党のイメージ戦略における大きな柱は「人」と「政策」です。しかし、いかに「政策」重視と政党が叫ぼうとも、浮動票層にとって政党選択は何より第一印象が大切。「あの人がいるからイイ」あるいは「イヤだ」と、その第一印象を左右し「政策」に先んじて政党のイメージを決定づけるのが「人」なのです。確固たる支持基盤を持たない第三極政党にとっては「人」イメージが雌雄を決する選挙であると言ってもいいでしょう。

今回第三極に分類される中でも特に注目の政党は、日本維新の会、みんなの党、日本未来の党の三党でしょう。総選挙に向けた彼らのイメージ戦略における「人」を巡る思惑たっぷりの動きを振り返ってみると、おもしろいことが浮き彫りになってきます。

メディアの力を有効に使った党首の好感度をあげる事で、とりあえずの支持を集めることに成功したのが橋下大阪市長率いる日本維新の会です。自身のタレント弁護士としての知名度を活かし大阪の改革をぶち上げた後、国政への殴り込みを宣言。今回の“台風の目”となるべく支持を伸ばした維新の会でしたが、選挙が近くなるにつれて経験不足や人材不足をつつかれるようになり、橋下氏は自身以上の「人」を求めて石原慎太郎氏との合流を決めました。

石原氏の国民的人気俳優の兄であるという一族人気、政界での実績と歯に衣着せぬ物言いで尖閣問題でも多くの国民の支持を得るなどした知名度にあやかろうとしたものの、結果は必ずしも思惑通りに運んでいるとは思えません。日に日に「政策」面での不一致を端に発したほころびが見え始めたところに、代表に据えた石原氏の過激発言が物議をかもすシーンも多く見受けられます。使い方を間違えれば毒にもなりうる「人」の扱いが果たしてうまくいくのか、注目です。

一方、第三極という言葉生みの親と言われる老舗第三極みんなの党。みんなの党は、渡辺代表以上の「人」がなく、イメージ向上を狙って当初は橋下氏の人気にあやかろうと維新へのラブコールをおくります。しかし、維新の石原氏との合流を機に維新とは距離を置く戦略をとりました。“危険人物”石原氏との合流によるイメージダウン警戒から「政策」重視のイメージ戦略へ転換したと見ています。維新と組んだなら、共倒れもあると尻込みしたのか。石原氏影響力を認めた上での「人」イメージ戦略のもうひとつの結論がここからは見て取ることができるでしょう。

次に、脱原発を掲げ大同合併した日本未来の党。表向きは「人」で人気上昇をはかれない新政党たちが選んだ「政策」重視の合流と映りますが実際はどうか。実はここでも「人」がからんでいて、それは旧国民の生活が第一代表の小沢一郎氏です。メディアが作り上げた小沢氏の「人」としてのマイナスイメージは選挙に向けては致命的であり、このマイナス「人」イメージ挽回の切り札が「脱原発+女性代表」を全面に立たせた大同合併であったわけでしょう。

嘉田代表が国民的な人気者であるかと言えばそうではなく、あくまで反原発を女性のソフトなイメージで印象付けようというための用意周到な戦略であったのでしょう。合流を決意した各政党が、マイナス「人」イメージが強い小沢氏が代表を務めるなら実現しなかったであろうこの大同合併に合意した理由は、間違いなく嘉田氏を前面に立てた「人」イメージの改善です。この「脱原発+女性代表」でどこまでメディアが作り上げた小沢氏のダーティなイメージを払拭できるのかは、第三極イメージ戦における石原氏の影響力と並ぶ今回の注目点です。

こうして見てくると良いにつけ悪いにつけ、今回の選挙得票において第三極を巡るイメージ戦のカギを握っているのは実は石原氏と小沢氏という“旧勢力”であるということに他なりません。政界に新風を吹き込むべき第三極の得票のカギを握っているのがいまだに“旧勢力”であるという事実には、日本の政治的低迷感の理由を見る思いがしませんか。

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