日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

鳩山総務相の選挙対策“郵政二匹目のどじょう”を許すな!

2009-03-04 | ニュース雑感
東京中央郵便局の建て替え工事中止を求めている鳩山邦夫総務相が4日、突然現場を再視察したそうです。

総務相は2日にも旧局舎を視察し、「重要文化財の取り壊しはけしからん」と建物の建て替え工事に“待った”をかけたものの、陳情に訪れた市民団体から再開発工事が進められていると聞かされ、本日の再視察に踏み切ったとのこと。一方の日本郵政の西川善文社長は3日の記者会見で、「計画は総務省と2年かけ協議して来た。問題提起を受け、困惑している」と語り「国の重要文化財の指定は望んでいない」と高層ビル化の変更はしないとの考えを示し、真っ向から衝突する形となっています。

この問題、どう見ても鳩山大臣の主張がおかしいように思います。東京中央郵便局の建物は現実に「重要文化財」にも何も指定されていない訳で、それを一部の勝手な価値観に乗せられ(すすんで乗って?)「文化的価値のある建物を無断で壊すとはけしからん!」と言っている訳ですから。西川社長もこれでは参るはずです。ただ今は「かんぽの宿問題」が発覚して、ここ1カ月ばかり大臣から正論で一方的に攻められたこともあり、面と向かっては反論しにくい状況です。結果2日の大臣視察の段階では沈黙を守り、3日に改めて大臣不在の席で別途会見し意思表明をしたのでしょう。

ところが、またもや大臣の“横ヤリ”。鳩山大臣は、先の「かんぽの宿問題」で世論を味方につけた「郵政タタキ」の余勢を駆っての攻勢です。今の郵政相手なら思うがままに何を言ってもいいとばかりに、勝手な論理展開でも反論しにくい立場の“前科者”相手に、選挙に向けた“人気稼ぎスタンド・プレー”を仕掛けているとしか思えません。言ってみれば、株主の立場を利用し安易な発想で“二匹目のどじょう”を狙った、鳩山大臣らしい軽薄な言動という感じです。民営化日本郵政の目玉プロジェクトに対して、勝手ないちゃもんをつけて“業務妨害”をしている以外の何モノでもないでしょう。

日本郵政は東京中央郵便局を取り壊し、38階建てのビルを建設、2012年からテナントとして稼動を開始する予定で、テナント料として年間約100億円の収益を見込んでいます。言ってみれば、民営化郵政の浮沈のカギを握るともいえる一大プロジェクトなのです。当然、旧郵政時代からの「国財」を特定民間企業に不当な売り渡しをしようとした先の「かんぽの宿問題」とは性格も内容も全く異にする、正当な一企業の事業計画です。西川社長は胸を張って、大臣に対し「業務妨害である」と面と向かって反論することで、国民およびメディアの信を問うべきではないかと思います。