日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

下降一途の株価・景気指数~企業資金支援策の見直しを急げ!

2009-03-10 | その他あれこれ
昨日バブル経済崩壊後の安値を記録した日経平均株価は、3日続落。連日でバブル経済崩壊後の安値を更新し、1982年10月6日以来27年ぶりの安値水準になりました。27年前といえば私は大学生ですからね。本当に大変なことな訳です。とりもなおさず、国内外の景気悪化を受けた継続的な売りに押されたという以外要因はありません。

さらに本日は追い討ちをかけるかのように、内閣府が発表した1月の景気動向指数で、現状を示す一致指数が89.6と前月より2.6ポイント低下しました。これで同指数は6カ月連続の低下。02年12月(89.3)以来の低水準に落ち込みました。下げ幅は、データが比較できる80年1月以降では昨年8月(2.9ポイント)と11月(2.8ポイント)に次ぐ過去3番目の大きさで、企業活動の急激な落ち込みを反映していると言えるでしょう。

企業の業績の悪化を食い止めるものは、まずは何をおいても資金繰りの安定に他なりません。そう金融機関から民間企業への資金供給の円滑化なくして、企業の業績回復などあり得ないのです。資金の安定供給がなければ、現在の売上激減、円高地獄を乗り切る前向きな対応などできるはずもないのですから。前にも書きましたが、中小企業はいくら保証協会の保証枠が増えたところで、審査をする窓口は民間金融機関です。仮に保証協会の保証があろうとも、銀行は貸出延滞時の管理コストや倒産時の債権保全策行使(保証協会代位弁済請求)コストなどを当然考える訳で、協会保証がつくから審査が緩くなるかと言えば、そんなに甘い世界ではないのです。

それと、直接金融による資金調達が可能な大企業と保証協会保証の対象となる中小企業の間に位置する「中堅企業」は、状況的に最も悲惨です。自己調達は難しい、保証協会保証は対象外といった状況で、まさに四面楚歌状態なのですから。「中堅企業」は大企業の主力一次下請企業や、業界によっては業界そのものの屋台骨を支える有力企業などが多数存在しています。この「中堅企業」群の救済策も、実は景気回復に向けて大変重要なポイントであると思うのです。

保証枠が増えても依然窓口の渋い審査に苦しまされている中小企業と、上記のような四面楚歌状態の中堅企業を支援するために、公的金融の景気対策直接融資枠の拡大をするべきであると、改めて申し上げます。好景気の時代には「民業圧迫」として民間の邪魔ばかりをしてきた公的金融機関は、今こそ国民経済の本当の役に立つべき時に来ていると思うのです。公的金融であればこそ可能な、不況下における平常心での審査と資金供給スタンスにより民業の補完をすべき時なのです(貸し倒れろと言っているのではありません)。これこそ本来の公的金融の役割であるはずですから。

先日日経新聞の一面に、「郵貯マネーで金融機関の資本増強」という記事が出ていました。ゆうちょ銀行が劣後ローンの出し手となって、民間の金融の安定化に一肌脱ごうというものです。「今後は国内大手企業への資金拠出も積極化させる」とあり、国が100%株主である現時点では実質“国営”ゆうちょ銀行の、まさに民業補完的施策として大いに評価できると思います。この例にならって、ぜひとも日本政策投資銀行はじめ郵貯とセットで活動をしてきた国営の旧財政投融資運用機関を、民業補完、景気回復に向けた資金供給源として活用する策を検討してもらいたいと思うのです。

それはさておき…
やり方はともかく、政治家のみなさん、誰が辞めるの辞めないのをこんな時にいつまでもダラダラやっている場合ではないと思いませんか。辞めるが相当と国民から退場を勧告されている政治家の方には一刻も早く辞めていただき、また本当の景気対策となる「政策」を打ち出せす政局ばかりに気をとられている人や政党にも退場していただき、残った“有能な方々”で実のある政策論争をたたかわせつつ、景気回復、いや“景気底打ち”に向けた具体的な策を一刻も早く打ち出してもらいたいものです。