温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

秋の宮温泉郷 湯ノ又温泉

2011年01月18日 | 秋田県
※残念ながら2011年に廃業してしまいました。2012年5月現在、建物は完全に解体され、更地になってしまったそうです。

秋の宮温泉郷の外れ、細い林道の先にひっそり佇む一軒宿です。秋の宮温泉とは一線を画す温泉ですが、かといって完全に別エリアという訳でも無いので、ここでは秋の宮温泉「郷」という括りにさせていただきます。


湯沢方面から国道108号を鬼首方面へ南下し、秋の宮温泉郷の中心部を通り過ぎると、左へ登る道が分岐しており、そこには湯ノ又温泉の看板が立っています。看板に従い分岐から登り坂を進みます。しばらくは走りやすい舗装路です。ここから目的地まで約2.5km。


やがて二又に分かれる地点に。
ここにも看板が立っており、それに従って右へ進みます。ここからは車一台しか通れない狭隘な林道です。

 
途中には「湯の又大滝」と称する瀑布が。(失礼ながら)大滝というほど大したものじゃありませんが、ベンチが置かれているので滝を観賞しながら休憩できますね。この時は藪がすごくて、それどころじゃありませんが…。


大滝からすぐのところに、またもや分岐が。ここは右の坂を下りていきます。ちなみに、直進すると高松岳の登山道になります(もちろん車は通行不可)。


お宿が見えてきました。この坂は急で狭いクランクになっていて、軽自動車なら楽勝ですが、普通乗用車だと1回は切り返さないと曲がれないでしょう。ちなみに私の愛車マツダ・アクセラ(最小回転半径5.2m)の場合は1~2回切り返し、そして悲しい哉、底を軽くガリっと擦っちゃいました。


湯の又沢の細い谷底にお宿が建てられています。宿の正面が駐車場ですが、地形的な制約によりスペースが狭く、多客時は難儀しそうな予感。


湯治宿の雰囲気が漂う年季の入った木造建築です。上述のように沢の細い谷に立地しているため、建物は谷の崖に這うように細長く奥へ奥へと伸びています。廊下からは沢のせせらぎが間近で見られました。浴室は廊下を進んだ一番奥です。


各客室の襖上の欄間に掲げられた旧字体の木の番号札がいい味出してますね。


浴室は男女別の内湯がひとつずつ。脱衣所は至ってシンプル。しっかり清掃されていて綺麗でした。


浴槽は二つ設けられ、手前側は扇形、奥が四角い形状。いずれもちょっとした岩風呂になっており、はじめは単なるオブジェとして岩が置かれているのかと思いきや、実は…


奥の浴槽は、一応使い勝手がよいようにコンクリートで固められているものの、どうやら元々そこにあった岩を穿って作られたものらしく、主に側面の岩が底に当たる辺りや、女湯と隔てる壁面底など、浴槽のあちこちからお湯が沸いているのです。プクプクと泡が上がったり、いきなり岩の間隙から熱いお湯が出てきたりと、不規則にいろんな所から湧いてくるのがいかにも自然湧出って感じがします。

なお手前の扇形浴槽には、奥の浴槽から流れてきたお湯が張られています。浴室内にはカランがなく、また浴槽の温度がちょっとぬるめなので、掛け湯として利用するといいんでしょうね。

足元湧出ですからお湯は新鮮そのもの。無色透明で綿埃のような褐色の湯の華がちらほら浮遊しています。ほぼ無味で、微かにタマゴみたいな硫化水素臭が感じられました。分析表上では単純泉ですが、溶存物質は721.7mg/kgもあり、陽イオンはナトリウムが圧倒的に多く、陰イオンは炭酸水素イオンが95.96ミリバル%と断トツでして、純重曹泉と言っても過言ではないお湯です。従いまして、肌触りがツルツルスベスベ非常に気持ちよく、特に湯上りが素晴らしい爽快感でした。

さてお風呂から上がって、タオルでお湯を拭いがてら、室内に掲示されている温泉の湯使いに関する記述を読んでいたら、源泉温度が高いため加水されており、しかも塩素系薬品で消毒していると書かれているではありませんか。お湯からは塩素っぽい知覚は感じられなかったので、塩素系云々は多分浴槽を空にして清掃する際に薬品を使っているよ、ということなのかもしれませんが、では加水は? 浴槽に湯口らしき穴は見当たりませんでした。いかにも足元での自然湧出という状況でした。私の目は相当ひどい節穴なので、加水されている状況を見逃しているだけかもしれませんね。でも女将曰く「ここは常にお湯が底から湧き続けているので掃除が楽だ」とのことなので、やっぱり足元湧出なんでしょうし…。

ついでに女将から聞いた話を紹介しますと、岩手宮城内陸地震の際にはお湯が濁って、その後湧出量が増えたんだそうです。やっぱり地震の発生に際して、温泉は繊細に反応するんですね。


単純温泉 53.4℃ pH6.9 20L/min(自然湧出) 溶存物質721.7mg/kg 成分総計769.8mg/kg
(昭和61年10月30日試験の数値ですので現在はどう変化しているのやら)

秋田県湯沢市秋の宮湯の又  地図
0183-56-2806

日帰り入浴9:00~16:00
500円
備品類なし

私の好み:★★★

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1 コメント

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残念ながら (K-I)
2011-09-06 01:11:30
湯の又温泉は最近(2011年春から夏にかけての時期に)廃業してしまったんだそうです。素晴らしいお湯だったのに…。
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