温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

伊豆長岡温泉 長岡南浴場

2011年10月06日 | 静岡県
 
歓楽的要素の強い伊豆長岡温泉にも共同浴場が何軒かあり、長岡南浴場はその中心部に位置している共同浴場の一つですが、以前は温泉街の路地裏にひっそりたたずむボロボロの建物だったので、その鄙びた雰囲気がファンの心を惹きつけていました。しかしながら数年前にそのボロ湯屋は完全に取り壊され、2009年に以前とは全く異なる姿へと生まれ替わりました。私は全面リニューアルしたことは聞いていましたが、実際に更新後の様子を見たことが無かったので、某日行ってみることにしました。
現地へ足を運んでビックリ。場所こそ同じですが、雰囲気が全然違うんですもん…。かつての湯屋は周囲の建物の隙間を進んだ先に隠れるように建っており、観光客を寄せ付けないような路地裏ならではの独特な風情が吹き溜まっていたのですが、リニューアル後はその通路の足元に誘導照明が設けられ、路地裏というより、シックで小洒落たアプローチと表現したくなるような空間構成となっており、湯屋もまるで旅館の離れのような綺麗な平屋で、明らかに観光客ウェルカムなコンセプトが伝わってきました。昔の面影は微塵もありません。


 
玄関を入ると番台というより受付と表現すべきカウンターが正面に据えられ、その台の上に置かれた小さな券売機で料金を支払い、券を受付のおじさんに渡すと、引き換えにロッカーキーが手渡されます。ロッカーキーを受付で管理することによって、入場者数のリミットを設けているのでしょう。
全体的にこじんまりとした造りですが、さすがにオープンして2年程度しか経過していないために、どこもかしこも綺麗。脱衣所はロッカーが木目、洗面台の照明に間接照明を用いているなど、シックで落ち着いた内装になっています。共同浴場というより旅館のお風呂みたいです。


浴室もかつての昭和の銭湯風情とは全く異なる、旅館のようなごくごく普通の現代風なお風呂に変貌していました。装飾のない実用本位な点が、旅館ではなく共同浴場らしいところでしょうか。窓があるものの、周囲の建物に配慮してか、窓の外を羽目板が鎧戸状に組まれて囲っており、風は入ってくるものの、景色は全く見られません。

 
男湯の場合は浴室左側に洗い場のカランが並んでいます。シャワー付き混合栓が4基です。その手前の浴室入口脇には、小さな掛け湯槽もあります。

 
浴室右側を占めている浴槽は2分割されており、手前側は2人サイズの高温槽、奥は3~4人サイズの主浴槽となっています。なお上画像の左は主浴槽、右は高温槽です。館内表示によれば主浴槽は40℃、高温槽は43℃となっていましたが、私の湯上り時に受付のおじさんが見回りに来て、その際に計測したところ、主浴槽は42℃、高温槽は44℃とちょっと熱めな湯加減になっていました。ちょうどこの時、ヨボヨボの爺さんが湯あみしようとしていたところだったので、受付のおじさんは慌てて加水して温度を下げていました。同じく館内表示によれば加水加温循環消毒なしとされていますが、ケース・バイ・ケースで加水されているようですね。
浴槽内に吸引口らしきのもは見当たらず、お湯は縁の切り欠けからちゃんとオーバーフローしていきます。無色透明、弱く芒硝の味と匂いが感じられます。高温槽の方が知覚が明瞭で、芒硝泉らしいキリっとした浴感も楽しめました。pH9.0という数値が示す通りアルカリ泉ですが、いわゆるアルカリ泉に期待したくなるツルツルスベスベ感は少なく、寧ろ硫酸塩の影響なのか、若干引っかかる感じの方が勝っていました。


湯口にはうっすらと白い硫酸塩の析出が線状に現れています。湯口は両浴槽に設けられているのですが、いずれの湯口からも、触ると思わず手を引っ込めたくなる程熱いお湯が出ているので、加水されていない状態であれば、両浴槽の湯加減の違いは、湯船の表面積の違いで生まれているのかもしれません。

日曜18~19時に利用したところ、湯上り時に上述のような爺さんが入ってきた以外は、約1時間弱の間、ひたすら独占できました。温泉地の共同浴場は夕方5~6時とその前後が非常に混雑し、そこをハズせば殆どガラガラであることが多いのですが、この浴場もその方程式が通用するようです。
以前の南浴場とは全く別物となり、鄙びた昭和風情や地域密着的な雰囲気は一掃されてしまいましたが、お湯は源泉掛け流しですし、ロッカーやドライヤーが用意されているので、旅行者にとっては実に使い勝手の良い浴場に生まれ変わったと言ってよいでしょう。私は現在の新しい浴場の方が好きです。


混合泉(第一貯湯槽・第二貯湯槽) アルカリ性単純温泉
第一貯湯槽59.9℃ pH9.0 溶存物質0.595g/kg 成分総計0.595g/kg
 Na:157.2mg, Cl:120.5mg, SO4:178.4mg,
第二貯湯槽62.3℃ pH9.0 溶存物質0.610g/kg 成分総計0.610g/kg  
 Na:163.5mg, Cl:116.6mg, SO4:196.4mg,
加水加温循環消毒なし

伊豆箱根鉄道駿豆線・伊豆長岡駅よりバスで温泉駅下車(所要6分・170円)、徒歩1分
(バスターミナル前のセブンイレブンの駐車場を斜めに突っ切れば1分かからないでしょう)
(専用駐車場なし)
静岡県伊豆の国市長岡1082-2  地図
055-947-2260
伊豆の国市の紹介ページ

15:00~21:00 水曜定休
300円
ロッカー・ドライヤーあり、石鹸とタオルのセット販売あり(シャンプーなし)

私の好み:★★★

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