瀬波温泉の海岸沿いに建つ大規模旅館「大観荘」が運営する日帰り入浴施設兼そば処です。客室が14室あって宿泊もできるみたいです。
施設名の磐舟とはこの辺りの地名である岩船の旧称のことを指しているものと推測されます。日本史が好きな方なら「日本書記」の中で越の国の城柵として登場する磐舟柵や渟足(沼垂)柵などをご存知かと思います。場所は「大観荘」の斜め前の丘側。県道沿いなのでかなりわかりやすい立地です。
付近には大観荘源泉や磐舟源泉の櫓がそびえ立ち、シューシューと勢いよく湯気を上げていました。「磐舟」ではこれらの源泉を混合して使っているそうです。
和風旅館のような玄関を入り、帳場で料金を支払います。玄関は県道沿いですが湯屋は丘の上に位置しているので、そこから長い階段を登ってゆくことになります。
階段を登りきると小さな休憩スペースがあり、その左右に男女の浴室がわかれています。
瀬波を代表する旅館が運営しているだけあって、脱衣所は綺麗で使い勝手良好です(とはいえアメニティが充実しているわけではなく、至って普通なつくり&備品)。
内湯は日本海を見下ろす展望風呂です。海岸までの間に県道や民家などを挟んでしまいますが、しっかりとした眺望が得られました。洗い場のカランはシャワー付き混合栓が4基のみで、ちょっと少ないかもしれませんが、基本的に観光客向けの施設で地元の人の利用は少なく、著しく混雑するようなことが無いため、この程度の数で大丈夫なのかもしれません。
浴槽のお湯は加水の上で掛け流し。窓側の溝へ溢れ出て排湯されるようになっていました。
こちらのお風呂の売りはやはりこの露天でしょうね。内湯同様に日本海を展望しながら爽快な湯浴みが楽しめるわけですが、この辺りの海岸は海に沈む夕陽がとっても美しく、訪問時はまさに真っ赤に燃え滾った太陽が大海原に沈まんとしていた時だったため、この夕陽を眺めながら温泉に入ろうとする私のような魂胆のお客さんで、この露天風呂は大混雑でした。
画像は夕焼けタイムが過ぎ去った後に撮ったもので、太陽が沈みきって辺りが急に暗くなると、お客さんも一斉に浴室から出て行って、露天風呂は私以外誰もいない状態になってしまったのであります。お風呂自体はどこにでもあるタイル貼りなので、あまり風情はありませんが、でも屋根など上を覆うものが無く、とっても開放的なので、夜の帳が下りた後でも、宵の明星をはじめ、広い夜空に輝く星々がとっても綺麗に眺められました。波の音を耳にし、お湯に浸かりながら星空を見上げるのも、なかなかオツなもんです。
お湯は無色透明ながら微かに灰色っぽく霞んでいるようにも見えます。クレゾール的な油臭とヨードに似たような匂いが混ざって漂い、しょっぱい味と焦げたゴムのような苦味・渋みが感じられます。濃い食塩泉によくあるツルツルスベスベ浴感がとっても気持ち良いです。湯中には綿埃のような湯の華がたくさん浮遊し、一部は固まって底に沈殿していました(あまり事情を知らない人はゴミと勘違いしてしまうかも)。
湯上り後はお蕎麦をいただいてみました。食堂は長い階段の途中(2階)です。
注文したのはざる蕎麦&お刺身、そして烏賊ソーメン。サーモンは美味かったけど、この魚介類は多分地の物じゃないでしょうね(ホッキなんて遠隔地の冷凍物に決まってる)。烏賊も真っ白で東京で食べるのと大して変わらないじゃん…。かつて青森県で浜に揚がったばかりのイカを毎日のように食っていた私は、イカにはとっても煩いのであります。ま、休日なので仕入れの面である程度は仕方ないわけでして、その他は特筆するような点は無いものの、蕎麦は観光客相手の店にしてはなかなか美味しいものでした。
瀬波には他に「湯元龍泉」という有名な日帰り入浴施設があり、大きな露天風呂を用意して多くのお客さんを受け入れるキャパシティを有していますが、対する「磐舟」は小規模ながら日本海の眺望と源泉掛け流しで差別化を図っているようです。どちらが良いかは悩ましいところ。こうした競争が活発化するのは、客としては喜ばしいものですね。
ただ、両者とも新潟県の温泉施設にしては料金設定がちょっと高く、それに見合っただけの満足感が得られるかは微妙だと思います。
大観1号・大観2号・ラピス2号井・噴湯(元湯)・元湯2号、以上5源泉を混合
ナトリウム-塩化物温泉 81.5℃ 溶存物質3870mg/kg 成分総計3870mg/kg
新潟県村上市瀬波温泉3-2-30 地図
0254-50-7488
ホームページ
10:00~22:00(受付21:00まで)
700円
貴重品ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★
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