温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

中巨摩地区広域事務組合老人福祉センター

2011年12月08日 | 山梨県
 
中巨摩地区広域事務組合老人福祉センター。
長ったらしい名前ですが、どうやら老人のための施設であろうことは察しがつきます。広域○○組合という名称は日本全国どこでも大抵の場合、ゴミ処理・下水処理・火葬・消防など町村が単独で行うと効率が悪い事業を近所の自治体が一緒になって行う組合組織を指しますが、中巨摩地区広域事務組合は中央・南アルプス・甲斐の3市と昭和・富士川・市川三郷の3町によって組織され、案の定、ゴミ処理と屎尿処理が組合事業の主目的であり、これに付帯して老人福祉センターと勤労青年センター(体育館)を運営しているんだそうでして、組合の敷地内には高い煙突が聳えるゴミ処理場、老人福祉センター、勤労青年センターの3軒が仲良く並んで立地しています。このうち、老人福祉センターには焼却余熱を利用した温泉入浴施設があり、老人ではなくても利用できるので、B級施設が大好きな私は行ってみることにしました。道路沿いに立っている「源泉掛け流し温泉」の看板が誇らしげですね。



掛け流し看板の裏側に源泉井や給湯関係と思しき施設を発見。


 
玄関の窓口で直接料金を支払います。その際、どの市町村から来たのかを係員に申告し、広域組合を構成する自治体の住民ならば200円(老人は100円)で入浴することができます。私は正直に「神奈川県からです」と答えましたが、それを聞いた作業着姿の係員さんは「か、神奈川県ですか」と苦笑しながら台帳に記録していました。明らかに地元向けの施設ですから、わざわざ他県から訪れる人なんて稀有なんでしょうね。



ロビーでは爺様達が囲碁の対局にご熱心。また受付右手の大宴会場ではカラオケの大音響が館内に轟いており、ものすごい数の老人たちが宴会場に蝟集していました。ハコモノ施設はしばしば行政の無駄遣いの典型としてやり玉に挙げられますが、少なくともこの施設の場合はとても有効に活用されているようでした。まさにお年寄りの憩いの場であります。



大音響のカラオケが漏れてくる宴会場の前を通り過ぎて、通路奥の浴室へ。温泉はこの施設にとって目玉のはずですが、意外にも地味な入口に拍子抜け。


 
浴室も大混雑。思いのほか狭い脱衣所は棚しかないシンプルな造りですが、キャパシティ以上の客を収容していたため、荷物を置くスペースの確保に難儀しました。ここっていつも混んでいるのでしょうか。
洗い場のシャワー付き混合栓は7基用意されており、うちシャワー付きが4基あるのですが、隣同士がかなり接近しすぎているため、実質的に同時使用できるのはこの半分程度です。
浴槽はタイル貼りで4~5人サイズとこちらもコンパクト。この浴槽に爺様達が膝を抱えながら5人ギッシリ浸かっていました。底からはジャグジーが、奥側側面からはジェットが2本、それぞれ作動しており、かなり騒々しいお風呂です。湯口から加温された温泉が投入され、脱衣所側の切り欠けから排湯されています。その量は決して多くなく、平時はしずしずと、人が入ると勢いよく溢れ出ていきます。この内湯では加水や循環は行われていないものの、塩素系消毒剤は使用されているそうです。


 
私のお目当ては内湯ではなくてこの露天風呂。
岩風呂風の造りで底はタイル貼り。全体的に湯船が浅く、岩の組み方も微妙で寄りかかりにくく、全身浴するにはちょっと利用しにくいような気がしましたが、諸々の欠点を帳消しにしたくなるほど素晴らしいのが、お湯の質と量であります。湯口は打たせ湯のようになっていて、ドバドバ大量にお湯が落とされ、底から湯面スレスレに突き出たパイプによって排水されています。そして湯口の下は、落下の勢いとお湯そのものに含まれる気泡の相乗効果により、お湯が白く濁って見えるほど大量の泡に占拠されています。この湯口の打たせ湯を楽しみたいため、常連の爺様たちは近くに陣取りながら虎視眈々とその場所が空くのを狙っていました。
なお男女仕切りの塀の上には格納式のテントが取り付けられており、雨天時にはこれが伸びて雨粒を凌ぐことができるのでしょう。

お湯はジャスミンティーを濃く淹れたような色を帯び、底が見える程度の透明度を有しています。モール臭+鉱物油のような匂い+金気臭+微タマゴ臭、金気味+ほろ苦み+微タマゴ味。とにかく半端じゃない泡付きが特徴的で、お湯に浸かるとあっという間に全身泡だらけになります。そして重曹泉的なツルスベの浴感も心地よく、32℃くらいのかなりぬるいお湯なので、どうしても長湯したくなるお湯です。このため回転が悪くなり多くの客が露天に溜まってしまう傾向にあるようでした。またそのぬるさゆえ、湯上りは急激な肌寒さに襲われるため、どんなにヨボヨボのお年寄りでも、身を縮めながらウサギのようにピョンピョン飛び跳ねて内湯へ急いで駆け込んでいました。ちなみに露天は加温加水循環消毒が一切ない完全掛け流しで、知覚面でも内湯より露天風呂のお湯の方がはるかに優れていました。

お風呂の使い勝手はいまひとつですが、お湯の質は素晴らしく、甲府盆地のお湯の特徴を良いとこ取りして凝縮したような感じでした。


単純温泉 34.8℃ pH7.20 290L/min(掘削自噴) 溶存物質0.839g/kg 成分総計0.941g/kg
Na:110.5mg(50.06mval%), Mg:24.2mg(22.79mval%), Ca:35.0mg(20.05mval%), HCO3:516.6mg(97.58mval%), 遊離CO2:102.1mg

JR身延線・東花輪駅より徒歩15分
山梨県中央市一町畑1189  地図
055-274-0610
ホームページ 

9:30~15:30
500円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類あり

温泉施設整備のため2011年12月いっぱい休業

私の好み:★★★

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 分倍河原駅の補片と甲府駅の... | トップ | 草津温泉 (甲府市) »

コメントを投稿