温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

五所川原市金木中央老人福祉センター 川倉の湯っこ

2016年10月09日 | 青森県
 
青森県旧金木町(現五所川原市)の川倉といえば、下北半島の恐山以上におどろおどろしい霊場である川倉賽の河原で有名ですから、温泉を紹介する拙ブログよりも、稲川淳二や一龍斎貞水といった方々と親和性が高いような場所ですが、そんな霊場のすぐそばに、今回記事で取り上げる市営の福祉施設「金木中央老人福祉センター」が位置しています。老人福祉施設のそばに霊場があるということは、病院の前に斎場があるようなものかもしれませんが、そんな屁理屈はともかく、この老人福祉センターは温泉浴場「川倉の湯っこ」を内包しており、老人のみならず外来者でも利用することができるので、煩悩で穢れた我が身を清めるべく湯浴みしてみることにしました。この一角には福祉関係の建物が3棟ほど固まっており、付近には温泉に関する案内もほとんどないため、初見で訪れるとどの建物に温泉があるのか判然としないのですが、その中で最も霊場と近い位置にある建物の窓に小さく「川倉の湯っこ」と張り出されていたので、これでようやく安心して入館することができました。


 
玄関前の受付脇に置かれている券売機で料金を支払います。料金は五所川原市民と市外で異なっており、わかりやすいように券売機のボタンは色分けされていました(市民は黄色、市外は白いボタンです)。玄関に置かれた木彫りの鷲に睨まれつつ、券を受付に差し出して館内へと入ります。


 
最近改修されたらしく、館内は綺麗で整然としており、お年寄りが集えるよう広い座敷も設けられているのですが、老人福祉が主目的の施設ですから温泉風情は微塵も感じられません。あたかも病院のような無機質の廊下を進んで浴場へと向かうのですが、その雰囲気ゆえ、大きな持病の一つや二つは抱えていないと利用しちゃいけないんじゃないかという気後れすら覚えます。



廊下を進んで行くと俄然視界が広がって、休憩用のソファーが置かれたホールとなります。その奥に掛かっている紺と紅の暖簾を目にして、ようやくここが病院でないことが確認できました。



脱衣室も公衆浴場とは思えないほど綺麗で清潔感があります。それもそのはず、私が利用した時には、スタッフのおばちゃんがこまめに清掃しており、頻繁にコロコロを転がしていました。室内にはドライヤーやロッカーが備え付けられているほか、ベンチが複数置かれ、天井でシーリングファンが回るなど、脱衣室に求められるような備品はひと通り揃っています。



お風呂は男女別の内湯が一室のみ。いままで通ってきた館内の様子から容易に推測できるかと思いますが、浴室も至って実用的で装飾性はありません。でもメンテナンスが行き届いているためタイルなどはピカピカに輝いており、綺麗に維持されているために利用客も自ら積極的に桶や腰掛を片付けていました。地方の公衆浴場ではしばしばマナー面で目を覆いたくなるような場面に遭遇することがありますが、こちらのお風呂ではキメの細かいお手入れを行うことによって、利用客もすすんで綺麗に使いたくなるような心理となり、良い循環が生まれているようでした。割れ窓理論はお風呂のマナーにも通じるようです。


 
浴場の中央に浴槽がひとつ据えられ、その周りを洗い場が囲んでいます。洗い場には計16基のシャワー付きカラン、そして立って使うシャワーが1基設置されているほか、出入口の脇には加水されたぬるい温泉が張られた上がり湯槽が設けられていました。この上がり湯槽は、溢れ出すお湯の成分がこびりつくのか(あるいは配管の赤錆が原因なのか)、タイル張りの側面が薄っすらと赤く染まっていました。


 
浴槽は縁が黒御影石で槽内は白いタイル張り。(目測で)4m×3mというかなり大きなサイズで、14〜15人は同時に入れそうなキャパがあります。上述の上がり湯でも薄くて赤いこびりつきが見られましたが、この浴槽でも同様であり、たとえば湯口直下の槽内や、オーバーフローが流れる洗い場の床などが、赤く色付いていました。
お湯は無色透明でごくわずかに塩味を有し、芒硝感もあったような無かったような…。匂いはほぼ無臭であり、塩素系薬剤を使用しているとのことですが、「言われてみればそんな臭いもあったかな」程度であまり気になりませんでした。源泉では35℃しかないため、加温した上で供給されており、湯船は体感で43℃とやや熱めの湯加減に設定されていました。利用客はお年寄りばかりなので、みなさん熱いお風呂をリクエストするのでしょう。浴感に関しては弱いサラスベで、掴みどころに欠ける印象の薄いタイプなのですが、日々の汗を流すお風呂としてはむしろこうしたクセのないお湯の方が使い勝手が良いかと思われます。クセがないとはいえ、れっきとした温泉であることに違いなく、湯上がりはいつまでもホコホコと温浴効果が続きました。施設やお湯の両面で使い勝手が良く、且つしっかり体を温めてくれる実力派の温泉でした。なお、ここで湯浴みをしたからと言って、その後なにかの霊に取り憑かれたなどといったことは一切ございませんのでご安心を(^^)


川倉源泉
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 35.1℃ pH8.6 湧出量測定不可(動力揚湯) 溶存物質1.330g/kg 成分総計1.330g/kg 
Na+:451.6mg(96.85mval%),
Cl-:478.6mg(65.44mval%), SO4--:226.6mg(22.88mval%), HCO3-:113.6mg(9.01mval%),
H2SiO3:24.9mg,
(平成17年2月18日)
加温あり(源泉の温度が低いため)
消毒あり(衛生管理のため塩素系薬剤を使用)
循環ろ過なし

津軽鉄道・芦野公園駅より徒歩25分(1.8km)
青森県五所川原市金木町川倉七夕野426-11  地図
0173-53-3864

9:30~20:00 月曜定休
300円
ロッカー・ドライヤーあり

私の好み:★★


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。 (YOOMI)
2016-10-10 13:03:25
こんにちは!
青森シリーズ、拝見しております。さらすべで優しい塩化物泉・・・加熱後も良さそうですが個人的には35℃の非加熱でも味わいたいです^^

追伸:先日、K-Iさんのブログに記載のアドレスにメールさせていただきました。ご確認いただけますでしょうか?
返信する
Unknown (K-I)
2016-10-10 16:34:47
YOOMIさん、こんにちは。
私も非加温のお湯に入ってみたいです。1人サイズでよいので、非加温槽があるといいですね。

メールの件ですが、届いていないか、もしくは私が誤って削除してしまったかもしれません。お手数をかけて大変申し訳ないのですが、改めて再送願えませんでしょうか。誠に恐縮でございます。
syriver2@hotmail.com
返信する
Unknown (YOOMI)
2016-10-10 20:48:55
K-Iさん

こんばんは!いま、記載いただいたメールをお送りしました。(前回お送りしたのと同じメールアドレスです。)もし届いてない場合は、教えていただけますでしょうか?
お手数をおかけしました★
返信する
申し訳ございません (K-I)
2016-10-10 22:24:47
>YOOMIさん
こんばんは。先ほど確認致しましたが、なぜか届いておりません(涙)。サーバが余計な邪魔をしているのでしょうか…・。
何度もお手数をおかけして本当に申し訳ないのですが、改めて↓のアドレスへお送り願えませんでしょうか。
syriver2@aol.com
返信する
Unknown (YOOMI)
2016-10-11 00:02:12
あ、やっぱり届いてませんでしたか。
aolに再送しました^^
返信する
届いていました (K-I)
2016-10-11 09:51:32
>YOOMIさん
何度も申し訳ございませんでした。
なぜかものすごい時間差を経て、今朝ほどaolの方へメールが届いておりました。この度は何度もお手数をおかけして大変申し訳ございませんでした。後程、返信させていただきます。
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