温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

塩原・古町温泉 旅館 上会津屋

2021年04月20日 | 栃木県



(2020年4月訪問)
前回記事に引き続き栃木県の温泉をめぐります。
栃木県屈指の温泉街である塩原温泉郷へとやってまいりました。今回訪ねるのは、塩原温泉郷の中心部と表現しても差し支えない古町温泉です。当地では国道に沿っていくつもの温泉旅館が軒を連ねていますが、その中でも歴史あるお宿「上会津屋」を訪ね、日帰り入浴を


帳場で日帰り入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。江戸時代から続く老舗旅館なので入浴のみの利用は難しいのかと覚悟していたのですが、とても家庭的な温かい雰囲気にホッと安心。


帳場で湯銭を払った後は、向かいにあるこちらの暖簾をくぐり・・・


廊下を進んでお風呂へ向かいます。途中にはかつての宿帳など昔の資料がケースの中に収蔵されており、声を掛ければ見せてくださるそうです。この先もいくつか暖簾をくぐります。


一旦屋外に出た後、再び自動ドアを開けて建物に入ると上画像のような小さい休憩室の前に出ます。お風呂上がりにひと息つくには良さそうなお部屋ですね。さて、この休憩室の手前で2階と1階の二手に分かれており、それぞれに浴場があります。1階と2階は男女入れ替え制になっており、私が訪ねた日は1階のお風呂に男湯の暖簾がかかっていました。


脱衣室は比較的コンパクトな作りですが、さすが老舗旅館だけあって手入れが行き届いており、とても綺麗で使い勝手も良好です。


1Fの浴室は奥行きが深い横長の造りで、その真ん中に浴槽が一つ据えられており、奥に洗い場が配置されています。


洗い場にはシャワー付きカランがL字形に8基並び、それぞれに仕切り板が取り付けられているので、隣客との干渉を気にせず利用できます。


窓に面して設けられた浴槽の大きさは、目測で1.8m×6mほどでしょうか。浴槽に張られたお湯は、洗い場側の湯尻よりしっかり溢れ出ていました。おそらく加水された上での放流式の湯使いかと思われます。以前は循環していたようですが、今はかけ流しですので、湯使いが改善されたんですね。なお浴槽の縁はアイボリー色に染まっていますが、おそらく元の素材(黒いタイルか石材)に温泉成分がコーティングされることで、このような色合いになっているのではないかと思います。


浴槽中央の窓側で立ち上がっている湯口から、温泉が滔々と注がれています。湯口のまわりは温泉成分の析出がコテコテにこびりついており、ビジュアル的にお湯の濃さを湯浴み客へ伝えていました。このようなコンモリ且つトゲトゲな析出を目にすると、私のようなマニアはつい興奮してしまいます。

そんな析出がたくさん現れるこちらのお湯は、後述する自家源泉から湧出しており、ほぼ無色透明ですが少々笹濁っているように見えます。いわゆる塩化土類泉であり、お湯を口に含むと薄い塩味と塩化土類泉によくある土気味、そしてカーボンを思わせる炭みたいな焦げ味が感じられます。塩化土類泉はパウダリーで引っ掛かる浴感が一般的ですが、こちらのお湯は意外にもツルスベの滑らかな感覚がしっかり得られ、同時並行でその中に引っ掛かりも含まれているような浴感でした。食塩泉と土類泉の双方の良いところが上手く組み合わさって活きているような感じでしょうか。


内湯の左側にあるドアを開けると、このような露天風呂が設えられています。この露天の浴槽は3~4人サイズの5角形で、内湯の浴槽はタイル貼りでしたがこちらは木造です。頑張ってスペースを捻出したような猫の額みたいな空間にあり、塀の向こうはちょうど玄関の角に当たる場所かと思われ、簾が下げられているものの、露天入浴中は向かいの建物から見えてしまう状態です。もっとも、見られる機会はほとんど無いかと思いますが、お湯も若干鈍り気味だったように思われたので(偶々そのようなタイミングに当たってしまったのか)、お宿の方には申し訳ないのですが、私個人としては内湯ばかりに入っていました。


先ほど申し上げましたようにこちらのお宿のお湯は自家源泉なのですが、その源泉井は玄関の前にあるため、お宿に入る際には誰しもが否応なく目に触れることでしょう。上画像がその源泉であり・・・


しかもこの源泉では、自噴する温泉の姿を目にしながら、飲泉することができるんです。もちろん私も飲泉させていただきました。当然なのですが、湧出したてのお湯からは、お風呂の湯口でテイスティングするよりはるかに強くはっきりとした味が感じられました。このように湧きたてのお湯を飲泉できる施設はたいへん珍しいので、こちらを訪問の際は是非体験なさってください。

江戸時代から続くこちらの老舗旅館は、その連綿とした歴史のみならず、温かい接客、そして良質な自家源泉という複数の誇るべきものを兼ね備える魅力たっぷりのお宿。今回は入浴のみの利用でしたが、次回訪問時は宿泊でお世話になりたいと思います。


上会津屋源泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 65.1℃ pH6.8 59L/min(掘削自噴) 溶存物質1.82g/kg 成分総計1.99g/kg
Na+:309mg(60.05mval%), Mg++:27.0mg, Ca++:110mg(24.53mval%), Fe+++:0.4mg,
Cl-:440mg(54.24mval%), Br-:0.7mg, I-:0.3mg, HCO3-:588mg(42.13mval%),
H2SiO3:232mg, HBO2:33.3mg, CO2:164mg,
(平成20年4月4日)

栃木県那須塩原市塩原745
0287-32-2734
ホームページ

日帰り入浴時間不明
800円 
ロッカー、シャンプー類、ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント
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