温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ニセコ湯本温泉 月美の宿 紅葉音

2019年10月24日 | 北海道
久しぶりに北海道の温泉を取り上げます。
とはいえ、今年(2019年)の北海道旅行は温泉巡りが目的ではなかったため、スケジュールの合間を縫って片手に収まるほどの浴場を訪ねることしかできませんでした。ご期待に沿える内容とならないかもしれませんが、ご了承ください。



まず取り上げるのは、私が大好きなニセコ湯本温泉にある旅館「紅葉音(あかはね)」です。場所としてはニセコ湯本温泉を代表する施設「雪秩父」の道路を挟んだ向かい側で、別荘地の並びです。
こちらはかつて「ちせの湯」という名称でしたが、2006年頃に現在の姿および名称へリニューアルし、1日に12組の宿泊客しか受け入れないスタイルにより行き届いたおもてなしを実現させているんだとか。その一方で日帰り入浴利用も受け付けていますので、私は日帰り利用でお邪魔させていただきました。
駐車場に車を停めると、和服姿の仲居さんが玄関から出てきてくださり、日帰り入浴をお願いしたいと伝えると、笑顔で対応してくださいました。



建物の外観こそ地味ですが、館内は落ち着いた民芸調の設えです。帳場で料金を支払い、玄関や帳場の左側に伸びる廊下をまっすぐ進んで、突き当たりにある浴場へと向かいます。なお帳場の奥には上写真に写っているような休憩場所(囲炉裏?)があり、有料(300円)ながら日帰り客用のコーヒーが用意されています。



館内には浴場内の撮影を遠慮してほしいという旨の注意書きがございましたので、ここからは公式サイトの写真を借用しながら記事を進めてまいります。

館内のお風呂は2室あり、私が訪問した日は手前側に女湯の、奥に男湯の暖簾が掛かっていたのですが、暖簾替えはあるのでしょうか? 脱衣室はコンパクトな造りで3~4人同時利用したらいっぱいになってしまうそうな感じですが、綺麗にお手入れされており、少人数でしたら使い勝手に不満はありません。

浴室(内湯)は総木造のようなつくりで落ち着いた雰囲気です。旧「ちせの湯」時代の内湯はタイル貼りと石板貼りの組み合わせだったようですから、リニューアルに伴い大きく内装を変えたのでしょう。洗い場にはシャワー付きカランが5基取り付けられており、各水栓は硫化して真っ黒に変色していました。硫黄の温泉ならではの光景ですね。内湯の浴槽もまた木で作られており、そこに張られているお湯はグレーに濃く濁っています。そして底には湯泥がたくさん溜まっています。私が湯船に入ると底に沈んでいた灰色の湯泥が舞いあがって、湯中に波状の雲のみたいな模様が描かれました。なお湯加減は誰しもが寛げる絶妙な湯加減でした。



内湯のドアを開けてステップを下ったところには露天風呂が設けられています。全て屋根掛けされていますが、そこそこ広く、また塀越しに周辺の景色を眺めることもできます。こちらも「ちせの湯」時代は屋根が無かったので、リニューアルの際に屋根を新設したのですね。
このお風呂でちょっとユニークなのが、壁に貼り付けられている大きな絵地図です。周辺の様子をイラストで描いた観光案内図なのですが、湯船に浸かるとちょうど目線の先にこの地図が掲示されているので、自分の旅程をなぞったり、あるいはまだ足を運んだことが無い場所を探したりと、ついつい夢中になって地図上の道や拠点を追いかけてしまいました。
こちらの湯船も適温に調整されており、底には湯泥が溜まっていますが、外光の影響か、同じ源泉ながら内湯よりも明るく且つ白っぽく見えます。なお湯口ではぬるい温泉と熱い温泉をミックスさせた上で湯船へ投入させていました。



こちらのお風呂に引かれているのは、ニセコ湯本の大湯沼のお湯である雪秩父源泉。イオウ泉らしい臭いや味を有する他、酸味もあり、またクレゾールのような刺激臭も少々感じられます。更には粉っぽい感覚も得られます。上述したように浴槽のお湯は適温なのですが、温泉に含まれる硫黄の血管拡張効果が発揮されることにより、大変よく温まり、途中でクールダウンしないと長湯できないほど、比較的短時間で体の芯までしっかりあたたまります。

今回は日帰り入浴でしたからお宿時間のおもてなしやお料理を体験することができなかったのですが、もし機会があれば再訪して宿泊し、お宿の魅力をじっくりと堪能したいと思っております。


施設内に分析表が見当たらなかったので、参考までに「雪秩父」にて掲出されていた分析表データを抄出します。
単純硫黄温泉(硫化水素型) 56.8℃ pH3.9 湧出量未記載(自然湧出) 溶存物質0.161g/kg 成分総計0.557g/kg 
H+:0.1mg, Na+:8.5mg(25.17mval%), Mg++:5.7mg(31.97mval%), Ca++:8.4mg(28.57mval%), Al+++:0.4mg, Fe++:0.6mg,
Cl-:4.3mg, S2O3--:1.0mg, SO4--:64.2mg(90.54mval%), HSO4-:0.3mg,
H2SiO3:65.4mg, CO2:380.7mg, H2S:14.6mg,
(平成20年11月10日)

北海道磯谷郡蘭越町湯里680-13
0136-59-2881
ホームページ

日帰り入浴10:00~17:00
800円
貴重品用ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント
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