温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

飯坂温泉 伊勢屋 前編(客室と大浴場)

2018年07月03日 | 福島県
 
2018春の某日、東北地方へちょっとした所用のあった私は、福島の飯坂温泉で一泊することにしました。今回お世話になったのは「伊勢屋」。2015年に長い歴史を幕を一旦下しましたが、その後、いわゆる旅館的なサービスを省いた素泊まりを原則とするリーズナブルなお宿として再出発しました。私が一人で泊る時、極力余計なサービスはご免こうむりたいので、こうした割り切った営業方針のお宿は大歓迎です。しかも自家源泉を有しているらしいので、どんなお宿が興味津々、一晩お世話になることにしました。

広い敷地にお城のような古風な建物がドンと構えるこちらのお宿。以前は外観に見合った豪華なサービスを売りにしていたのかもしれませんが、外観と釣り合っても時代の趨勢とは合わなかったのか、あるいは震災の影響が大きかったのか、いずれにせよ営業方針を大きく変えることにより、起死回生を図ったのですね。



建物は以前のまま使われており、草臥れた感を否定できない館内は昭和な雰囲気たっぷり。余計な装飾に拘らず、無駄を省いてコストダウンを図り、以てリーズナブルな宿泊料金を実現させているのでしょう。帳場で丁寧な応対を受け、客室へと向かいます。


 
この晩のお部屋は4階の禁煙室。8畳でトイレや洗面台が付いています。古いものの、よく手入れされており、快適に過ごせました。なお布団は予め用意されているものの、セッティングは自分で行います。また、広縁の洗面台にはなぜか飲用不可の張り紙がありました。


 
客室の窓からの眺め。
上述のように原則素泊まりですから、私は夕食・朝食ともに宿の外で調達しました。ちなみに夜は温泉街のお店で円盤餃子を食べ、朝食はコンビニのお弁当で済ませております。なお私のように食事を外へ求めずとも、館内には食堂があったり、お弁当が調達できたりと、外へ出かけず館内にいても何とかなるサービスが用意されているようです。


 
さて、お目当てのお風呂へと参りましょう。
館内には大浴場の他、貸切の個室風呂や露天風呂などがありますが、ひとまず今回記事では大浴場を取り上げ、次回記事で露天風呂をご紹介する予定です。
大浴場は男女がそれぞれ別のフロアに分かれており、女湯は1階、男湯は2階(フロントと同じ階層)にあります。男湯の大浴場には「常滾泉」というネーミングが付けられているんですね。常に滾っている泉・・・思わず期待に胸が膨らむ素敵な名前じゃありませんか。
なお浴場入口付近には、お水のサービスが用意されていました。


 
天井が高く広々とした浴室。たまたま私が利用した時は他にお客さんがいなかったため、独り占めして優雅に湯浴みさせていただきました。さすがお風呂は温泉宿の要だけあり、しっかりお手入れが行き届いているようです。
室内の奥まったところには、デッキチェアーが2脚置かれていました。湯船でちょっと逆上せそうになったら、ここで横になってひと休みするのもいいでしょうね。


 
洗い場は二手に分かれており、計6基のシャワー付きカランが設置されています。この洗い場はブース毎のスペースが広く、かつミラーが大きいので、使い勝手が良好でした。


 
浴室の中央に堂々と構えながら滔々とお湯を湛える浴槽は、不規則な曲線を描いており、なんとなくハマグリのような形にも見えます。20人以上は余裕で入れそうな容量を擁しているとても大きな浴槽。一部には島のような出っ張りがあり、この島にもたれ掛りながら湯船に浸かると、自然で且つ安定した姿勢で湯浴みすることができました。


 
大きな湯船にお湯を注ぎ続ける湯口。上から覗いてみるとこの湯口には配管が3本来ています。館内表示によれば、新鮮源泉を投入しながら循環装置も併用しているそうですから、この3本は源泉のお湯・循環湯・加水用の水道の3種ではないかと思われます。できれば源泉100%の掛け流しを望みたいところですが、源泉の湧出温度が高いためそのまま供給することができないのでしょう。それゆえ、お湯の一部を循環させたり加水させたりしているのかと推測されます。お湯は底面から吸引されているほか、上述のデッキチェア付近から少量ながらオーバーフローも視られました。循環装置を使っているからといって、お湯の管理をおろそかにしているわけではなく、むしろ湯加減のチェックを厳しく行っており、私が入浴している時にも湯守の方がお湯を確認なさっていました。おかげで実に良い心地。つい掛け流しを礼賛したくなる私も、この時ばかりは循環併用も良いもんだと認識を改めました。

次回記事では露天風呂を取り上げます。










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