温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

野沢温泉 げんたろう屋(後半 お風呂)

2023年10月16日 | 長野県
前回記事の続編です。


お風呂は1階へ下ります。1階エレベータホールには上画像のような小上がりが設けられていますので、湯上がりのちょっとした休憩に使えそうですね。


こちらのお風呂は宿泊客のみ入浴可能。つまり立ち寄り入浴は不可です。
男女の暖簾替えは無いらしく、私の宿泊時は男女が固定されていました。


浴室はご覧の内湯のみ。室内には白いタイルが多用されている一方、換気性と目隠しを両立させていると思しき格子の窓が印象的です。なおもう一つの浴室(女湯)は総檜造りなんだとか。


洗い場にはシャワー付き混合水栓が4つ。


浴槽にはちょっと熱い無色透明のお湯が張られており、しっかり掛け流されています。お湯は綺麗に澄んでおり、湯中で浮遊する湯の花は少なかった一方、黒い繊維のような湯の華の沈殿が目立っていたように記憶しています。


お宿の案内を見ますと自家源泉を謳っているようですが、分析表によれば滝の湯源泉とのこと。湯口から注がれているお湯をテイスティングしてみますと、燻したような硫黄の香りがふんわり漂い、口にするとその風味とともに、弱いタマゴ味、そしてしっかりとした苦味が感じられました。
心身がシャキッと冴える熱さと、お湯そのものが有する優しさという、一見すると相反する特徴を同時に体感でき、とても気持ち良く入浴することができました。


滝の湯
単純硫黄温泉 73.4℃ pH8.3 溶存物質894mg/kg 成分総計897mg/kg
Na+:205.1mg(75.72mval%), Ca++:50.9mg(21.56mval%),
Cl-:113.5mg(26.69mval%), HS-:33.3mg, SO4--:286.5mg(49.79mval%), HCO3-:89.5mg, CO3--:8.6mg,
H2SiO3:87.4mg, H2S:1.9mg,
(平成18年6月30日)

長野県下高井郡野沢温泉村豊郷9539
0269-85-2256
ホームページ

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野沢温泉 げんたろう屋(前半 お部屋など)

2023年10月11日 | 長野県

(2022年6月)
2022年6月に野沢温泉を訪ねた際の記録を連続して記事にしておりますが、その時に一晩お世話になったお宿は、前回取り上げた「松葉の湯」の斜前に位置する「げんたろう屋」さんです。


こちらのお宿は、外壁に描かれた大きなアートが印象的。
壁一面に描かれ、しかも鮮やかな色遣いなので、通りを往来する人は間違いなく立ち止まって見上げてしまうでしょう。


小規模なお宿ですが鉄筋PC造の4階建で、館内にはエレベーターも設置されていますので、館内の上下移動がとても楽。なおフロントは2階です。


今回私が案内されたお部屋はこちら。6畳の和室で、エアコンやテレビなどひと通りの設備は揃っており、心地よく一晩を過ごすことができました。今回私は地獄釜のように暑かった東京の猛暑から逃れるために野沢温泉へやってきたのですが、その目的に相応しく、日が傾いた頃から窓を開けておけば涼しい風が室内に入り、エアコンをつけずに心地よく安眠することができました。
なお部屋の鍵はタッチ式のカードキー。小規模旅館でカードキーは意外でしたが、いちいち鍵穴に挿して回して…という手順を踏まずに済むので楽ですね。


お部屋の窓から外を見ると、目と鼻の先の「松葉の湯」があり、そのまわりに野沢温泉の温泉街が広がっています。外からこの窓を見ると、ちょうど外壁の大きなアートに開いた窓から私が顔を出して温泉街を眺めていることになりますね。


夕飯は別室へ移動していただきます。
山の幸をメインにした献立で、特にネマガリタケが柔らかくて美味でした。


メインディッシュはこの鍋。
煮えた豚肉や野菜を白いご飯の上に一旦置いてから口へ運びます。すると出汁がご飯に染み込むので、ご飯がすごい勢いで進み、気づけば動けなくなるほど鱈腹に食べていました。

さて、肝心のお風呂については次回の記事で取り上げます。

次回記事に続く。
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野沢温泉 松葉の湯

2023年10月06日 | 長野県

(2022年6月訪問)
前回記事に引き続いて野沢温泉の共同浴場を巡ってまいります。
今回訪ねるのは「松葉の湯」。小規模な旅館が軒を連ねる温泉街の中にあり、スキー場へ上がる坂道の途中に位置しています。この浴舎は2階層になっており、道路に面した1階部分は・・・


地元の方が洗濯など日々の生活で使用する洗濯場。当然入浴は出来ません。野沢温泉ではこの「松葉の湯」のほか、「熊の手洗い湯」にも洗濯場があります。


洗濯場内部の様子。その名の通りに温泉のお湯を使って洗濯するほか、野沢菜を洗う時にも洗濯場のお湯を使うそうです。さすが歴史ある温泉地らしく、温泉と生活が密接に結びついているのですね。


階段を上がった2階がいわゆるお風呂。男女別に分かれた出入口のドアを開けて脱衣室へ上がります。野沢温泉に計13ヶ所ある共同浴場の多くは、脱衣場と浴場との間に仕切りが無い一体型の構造が採用されていますが、この「松葉の湯」は脱衣室と浴室の間がサッシ類で仕切られており、野沢温泉の共同浴場では珍しいスタイルです。
浴室には黒御影石の縁が印象的な浴槽が一つあり、壁に沿って水栓がいくつか設けられていますが、シャワーやお湯が出る水栓は設けられていませんので、体を洗う際のお湯は湯船から直接汲むことになります。


私はこの「松葉の湯」を何度か利用したことがあるのですが、湯船のお湯は、ある時は無色透明で白い湯の花が浮遊していたり、またある時は上の画像のようにはっきりと白濁していたりと、その時々によって見え方が異なっていました。硫黄泉ですので、時間・気温・水温などいろんな要因によって姿を変えるのでしょう。こちらに引かれているのは大釜源泉と御嶽源泉のミックス。湯口から出るお湯を口に含んでみますと、ふんわりと優しく硫黄の香りや味が感じられました。アルカリ性に傾いていることや炭酸イオンが多いなど滑らか要素をたくさん兼ね備えているためか、湯中ではツルスベの心地よい浴感が楽しめ、ちょっと熱めですが大変良いお湯です。

なお浴場内に掲示されていた平成30年分析の分析表によれば溶存物質0.998g/kgとのことですので、あと0.002gあればアルカリ性単純硫黄温泉ではなく、含硫黄-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉という泉質名を名乗っていたでしょうし、この程度はほとんど誤差みたいなものなので、分析するタイミングによっては明確に含硫黄-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉であるのでしょう。


大釜及び御嶽の混合泉
アルカリ性単純硫黄温泉 76.0℃ pH8.5 160.0L/min 溶存物質0.998g/kg 成分総計0.998g/kg
Na+:189.4mg(64.35mval%), Ca++:86.8mg(33.82mval%),
Cl-:89.1mg(18.67mval%), OH-:3.9mg, HS-:15.7mg, SO4--:456.1mg(70.52mval%), CO3--:20.4mg
H2SiO3:119.4mg, H2S:0.5mg,

私の好み:★★★
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野沢温泉 真湯 2022年6月再訪

2023年10月03日 | 長野県

(2022年6月訪問)
当たり前かもしれませんが、自分が気に入っている温泉は何度入っても気持ち良く、いつでも何度でも感動出来ちゃいます。私は野沢温泉に数ある源泉の中でも「真湯」が特に好きで、当地を訪ねる度に必ず立ち寄って入っています。道祖神の隣に立つ石柱に「天下乃名湯」と刻まれている通り、その言葉に異論は全くありません。


拙ブログで記事にするのは2回目ですが、私個人としてはいままでこの「真湯」に何度入ったことか。


いつも変わらないお風呂の様子。
他の共同浴場と地元の方にも愛されており、とても綺麗に維持されています。
客としてもありがたく大切に使わなければなりませんね。


野沢温泉を訪れる観光客とこのお風呂で何度も会うのですが、皆さん異口同音にお湯が熱いと仰います。でもこの熱さが私には心地よいのです。熱さのみならず実際の浴感も素晴らしい。炭酸イオンが20.4mgも含まれており、後述する硫黄感のほか、これが極上の浴感に一役買っているのでしょう。


湯口の傍に季節の山野草が活けられているのもこの「真湯」らしいところ。
湯船のお湯は淡い緑色を帯びた白濁で、白や黒の湯の花がたくさん浮遊しています。硫黄の香りも味もはっきり。分析表によれば意外にも総硫黄量は2.1mgしかなく、ギリギリ硫黄泉を名乗れる量ですから、他の硫黄泉と比べて硫黄量は決して多い方ではありません。しかも湧出温度は48.0℃ですから、麻釜に比べればはるかに低い。それにもかかわらず、硫黄感が強くて熱いということは、それだけ湧出してすぐに浴槽へ注がれているという証なのですね。温泉も食材も鮮度が命!


真湯1号及び2号・3号の混合泉
アルカリ性単純硫黄温泉 48.0℃ pH8.5 湧出量記載なし 溶存物質0.612g/kg 成分総計0.612g/kg
Na+:135.8mg(77.83mval%), Ca++:29.8mg(19.58mval%),
Cl-:80.7mg(27.49mval%), HS-:2.1mg, SO4--:218.5mg(54.97mval%), CO3--:20.4mg,
H2SiO3:81.8mg,
(平成30年12月1日)

長野県下高井郡野沢温泉村大字豊郷8852-2

私の好み:★★★
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野沢温泉 麻釜の湯

2023年09月25日 | 長野県

(2022年6月)
今回から連続で、温泉ファンにはお馴染みの野沢温泉に点在する共同浴場を取り上げます。既にご存知の方も多いかと思いますので、いつもより文量を少なめに致します。
まずは「麻釜(おがま)の湯」から。その名の通り麻釜からお湯を引いている浴場ですね。
それでは早速おじゃまします。


更衣ゾーンと入浴ゾーンの間に仕切りが無い一体型の構造。
男女別の浴室に湯船がひとつずつ設けられ、それぞれに麻釜から引かれた熱い温泉が注がれています。
入浴の際、あまりに熱すぎたら水を入れることになりますが、下手に加水すると普段からこちらに入っている地元の方に失礼ですので、多少熱い程度でしたら我慢して入っちゃいましょう。


お湯は無色透明で、溶きタマゴのような白い湯の花が浮遊しています。
湯口のお湯を口に含んでみますと、軟式テニスボールのような硫黄風味が感じられました。
ツルスベ感を伴う滑らかで気持ち良いお湯です。
言わずもがな放流式の湯使いです。


「麻釜の湯」から坂をちょっと上がると、野沢温泉名物の「麻釜」に到着です。


このブログをご覧の方には申し上げるまでもありませんが、「麻釜」は野沢温泉に数ある源泉の一つであり、源泉から湧き出たほぼ熱湯状態の温泉が5つの湯だまりを作っています。湯溜まりによって温度が異なり、あけび細工に使われたり、当地の台所として食材のボイルに使われたりしています。
上画像は「丸釜」。いまでこそ四角い形状ですが、以前は名前の通りに丸かったそうです。


こちらでは温泉たまごを作っていますね。


この「大釜」は2つの湧出口を有し、90℃以上にもなるんだとか。


丸釜・茹釜・竹伸し釜・下釜・御嶽の湯混合
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 77.0℃ pH8.8 湧出量記載なし 溶存物質1.059g/kg 成分総計1.059g/kg
Na+:203.7mg(65.87mval%), Ca++:87.0mg(32.27mval%),
Cl-:86.5mg(17.02mval%), OH-:0.1mg, HS-:5.2mg, SO4--:529.0mg(76.78mval%), CO3--:15.0mg,
H2SiO3:104.1mg,
(平成26年11月5日)
加水あり(源泉温度が高いため)
加温循環消毒なし

6:00~23:00
無料(気持ちを入口横の賽銭箱へ)
貴重品用ロッカーあり、その備品類無し

私の好み:★★★
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