ヌマンタの書斎

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ギャンブル依存症

2016-12-12 12:48:00 | 社会・政治・一般

私がギャンブルの怖さを知ったのは、高校生の頃だった。

私服で通えた高校なので、放課後はかなり遊び放題であった。もっとも私は週二回の部活と、週三回の塾通いがあったので、それほど遊べた訳でもない。それでも空いた日には授業を終えると、電車組と私ら自転車組に分かれて下北沢に向かい、そこで遊び呆けた。

下北沢は若い人、特に大学生が数多く遊んでいたので、私服ならば私たち高校生も目立たずに遊べた。遊ぶといっても可愛いもんで、喫茶店でコーヒーを飲みながら煙草を吹かし、夕方のゴールデンタイムとなるとパチンコ屋に赴く。

ゴールデンタイムとは、行きつけのパチンコ屋でのサービスの一つで、玉の出を良くしてくれる時間帯のことだ。そこで、数時間粘ると、大概数人稼ぐ奴がいる。

勝つコツは、出やすい台を見抜いて、そこで踏ん張ること。ただ、それだけなのだが、不思議と稼げる奴と、そうでない奴が出る。勝つのは私とMが常連で、SとIは時々。他数人は負けのほうが多かった。

勝った奴は、明日の種金を残して、後は居酒屋に赴き、みんなの酒のツマミを奢ることになる。酒代は自腹である。もっとも一杯150円の酎ハイか、200円のビールのジョッキなので安いものだ。

つまみは、ボリュームがあって安いホッケと、後は唐揚げ、お新香でお終い。悪酔いすることもなく、小一時間で終える実に健全な高校生らしい飲み会であったと思う・・・。そこで、よく話題に上がったのが、パチンコの勝ち方であった。

それは同時に、負けない打ち方の話題でもある。パチンコをやっている方なら分かると思うが、パチンコは打つ方よりも、台の選び方である。玉の出やすい台を見つけ出して、その台に徹する。ただ、それだけだ。

パチンコで勝てない連中は、それが出来ない。だから、台を頻繁に移り、結果的に損をしている。一日中、パチンコ屋にいるならともかく、高校生としては夕刻から夜までの短時間での勝負だ。可能な限り無駄打ちは避けての短期決戦に徹する。

比較的、勝つことの多かった私とMは、それを徹底していただけだ。今日はダメだと思ったら、あっさりと撤退して無駄をしない。パチンコ屋の中をうろつき、出玉の良い台を見つけておき、観察して次の勝負に備える。

冷静に勝負に徹する、それが勝つための秘訣だと思っていた。だが、この時点で私は気が付いていなかった。私は既にパチンコにはまっていることを。当時の私の生活は、高校と部活、塾そしてパチンコであった。

他の選択肢をまるで考えていなかった。真っ当にアルバイトをすることは考えず、ただパチンコで勝って換金して稼げは良いと思い込んでいた。ギャンブル依存症の二歩手前ってところであったと思う。

一歩手前ではなく、二歩手前なのは、パチンコのために借金はせず、あくまで手持ち資金を回していたからだ。ただ頭の片隅に、パチンコに集中している時の異常な心理状態に警戒心を抱いていたのも事実だ。

パチンコに限らないが、賭博にはまっている状態は、あきらかに異常な状態にある。脳が興奮していて、正常な判断が難しくなっている。パチンコにはまっていた私は、呆れたことに現役での大学合格に失敗し、浪人していたにも関わらず、一日中パチンコ屋に入り浸っていた。

代々木にある某著名予備校に通っていたが、受講している時間よりも、パチンコをしている時間の方が長かった。いや、パチンコの合間に勉強している不埒な受験生であった。

そのことは分かっていたが、パチンコを止める決断は、その年の年末になるまで出来なかった。それも受動的であった。朝からパチンコをやっていた私は、代々木の地元のパチンコ屋の常連たちに疎まれていた。なにせ、あの頃は一日5万近く稼いでいたので、いささか勝ち過ぎであったからだ。

その常連と、彼らと仲がイイ店員に裏の倉庫に連れ込まれ、少し焼きを入れられた。幸い、受験仲間が表で騒いでくれたので、特段怪我はしなかった。それでもパチンコを辞める決断をするには十分な体験であった。

あのことがなかったら、私は大学受験に失敗を重ねて、浪人を重ねて挫折の人生を歩んでいたかもしれない。ギャンブル依存症は怖い。自覚があっても、自分では辞められない。

私はカジノ法案に賛成ではあるが、ギャンブル依存症の怖さを思えば、実効性のある対策を講じるべきだと思います。具体的にいえば、個人の自由を制約し、強制的な教育入院なども入れた是正措置です。

ギャンブルの依存症あるいは熱中は、他者からの強制なくして、辞めることは出来ない。稀に自身の意志で辞められる人もいるでしょうが、大半はそれが出来ない。敢えて個人の人権を制限しても、ギャンブル依存症に対する強制的な是正措置は必要だと確信しています。

コメント (1)
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