気になる職業

前から気になっている仕事がある。別に転職するつもりはないのだが、とにかく面白そうな仕事なのだ。

「立山黒部アルペンルート」というのをご存じだろうか。文字通り、立山連峰と黒部ダムなどを突っ切る観光ルートだが、自家用車は通行できない。トロリーバスやケーブルカーやロープウェイを乗り継ぎながら、途中の自然やらダムやらを観光するのである。

ルートの起点となる長野県扇沢駅と富山県立山駅は、そこまではマイカーで行きたくなるようなところにある。立山駅までは富山地鉄が通っているが、トロリーバスの扇沢駅は、そこまで鉄道がないので、普通の路線バスかタクシーしかない。

しかし、マイカーで扇沢駅まで行ったとしても、アルペンルートを踏破した後、車を取りに戻ってこなくてはならない。いくら観光名所とはいっても、今見てきたルートを戻るのは嫌だろう。

そこで、観光してる間にマイカーを運転して運んでくれる「回走サービス」をやってる会社がある。扇沢駅から立山駅へ。あるいはその逆方向に。

勘のいい読者諸兄はもうお分かりであろう。この仕事は、色んなクルマを、かなり長時間（具体的には5時間超）、とっかえひっかえ運転することが出来るのだ。回走サービスは、自動車評論家以外で、試乗（じゃないけど）でお金をもらえる唯一の職業であろう。その中でも、国内ではおそらく群を抜いて運転時間が長いのが、この立山黒部アルペンルートだ。試乗好きな僕は、この仕事が前から気になっているのだ。転職する気はないけど。

これやってるのは5社あり、料金は普通車で27000～30000円。走行距離は約200kmで、所要時間はだいたい5時間。左ハンドルだと1000円高い会社もある。

もちろん、運転して楽しいクルマばかりじゃないだろう。というか、好きじゃない車を運転することが多いと思う。ヴェル●ァイアとかアル●ァードとかを運転するのは苦痛かもしれん。変な癖がついてる車もあるだろうし、中が清潔じゃない車もあるだろう。しかし、ありとあらゆる車を1回5時間も運転できて、お金がもらえるというのは、運転好きにはたまらないのではないか。稀にポルシェとか運転できるかもしれんし。


雑な図で申し訳ない。扇沢と立山駅は直線距離では大して遠くないが、険しい飛騨山脈が南北に長いため、このような大迂回ルートを回送しなくてはならないのだ。

立山黒部アルペンルート公式「マイカーでお越しの方」