曖昧批評

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金田一耕助 踊る!第3話「犬神家の一族」の感想

2020-02-04 07:05:00 | テレビ・映画
NHK BSで、金田一耕助の短編を原作に忠実に再現した、という触れ込みのシリーズ第二弾「金田一耕助 踊る!」の第3話「犬神家の一族」を見た。僕はうっかりしていてシリーズ第一弾を見ていないのだが、今回は第1話、第2話共に見た。

第1話の「貸しボート十三号」は名作が長編に偏る金田一耕助シリーズにあって、評価の高い中編である。が、僕は未読だったので興味深く試聴した。原作に忠実というわりに時代が新しいというか、現在ある普通の倉庫や風景を使っていて「?」となったが、謎解きはまずまず本格的だった。

第2話「華やかな野獣」はぶっ飛んでいた。道化のようなジプシーのようなファンキーな格好の金田一耕助。他の男性キャラは一部女性が演じている。全員メイクが濃い。前衛的な舞台演劇のように事件が描かれるが、謎解きはさすがにちゃんとしていた。

そして第3話が「犬神家の一族」。さすがにこの頃になると僕も「原作に忠実」は突っ込まれたい気満々のボケなんだなと気付いている。でも犬神家は短編じゃないじゃん。ボケじゃなくて、もうこれ嘘じゃん。

しかし、良くも悪くもかなり省いた市川崑の映画でも2時間超の長編を、どうやって30分に圧縮するのか。いきなり若林さん死体で登場。佐兵衛さん死んで遺言状発表。キャスト全員奇妙な服装で道化たメイクだった。語彙が貧弱なものでうまく形容できない。金田一耕助はチューリップ帽含めて全身黒ずくめ。


話はほとんど座敷の中で、全員立ったままで進む。佐清のマスクが白いアレではなく肌色で、目や口がちゃんと描かれ、髪まで生えている。なにげに原作に近いかも? 少なくとも、珠世に好かれるために佐清に似せて作ったという松子夫人の意図は感じられる。映画版よりも遥かに。


手形取り拒否。からのマスクめくりーの、顎が見えーのして、口から血が染み出してきた。ひえー。三姉妹の罵り合いとか結構長い。そこは原作通りにしなくていい。時間がない。

突然佐武死亡…というか、もう菊人形として座敷にいた。手形オッケー。ようやく場面が切り替わった。けど同じ座敷セットの照明違いだ。佐智の珠世さん襲撃未遂。佐智の死体は椅子に縛られていた。原作通り。ほとんどどの映画、ドラマでもまともに原作通りにやった試しがないのに。


脇から神主の大山が顔を出して珠世が佐兵衛の孫だと告げ、逆さ佐清登場。桶に模型?の足が突き出ている。ここでスケキヨを逆さにし、上半分を消してヨキという史上初?の絵解きが行われた。原作に忠実だ!


真・佐清登場。顔が予想通りマスクの縮小版だった。旅館に潜伏していたという話がなく、序盤に出てきた柏屋の主人の意味があまりなかった。


死体が突然現れる形式なので殺害方法について説明する必要がない。意外にも謎解きは時間内で普通に収まった。説明はほぼ動機のみ。青沼菊乃が琴の師匠・宮川香琴だという話はまたしてもなし。必要ないからだけど。

僕の説明でどこまで理解されたか分からないが、ビジュアル的にも演出的にもめちゃくちゃぶっ飛んでいるし、事件を人間関係に絞った脚本なので、映画版やドラマを見たことがない人はやめたほうがいい。変な第一印象が記憶に刻まれそうだから。

一度でも映画やドラマを見た人ならお勧めする。今まで誰もやらなかった佐智の死体処理とスケキヨの絵解きは絶対に原作通りにやる、という制作者の意地を感じた。ファンにとってはもう、それだけで見る価値ありだ。
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