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苦戦する自販機 清涼飲料、工場やオフィスで販売急減

2010年03月03日 18時44分08秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
2010年3月3日16時27分朝日COM

 清涼飲料の自動販売機が苦戦している。スーパーなどでの安売り競争に押されて定価販売に割高感が出ているうえ、金融危機後は工場やオフィスでの販売が低迷し、飲料メーカーの業績にも影を落としている。

 「売上総利益の6割が自販機事業。維持拡大がとても重要だ」。埼玉県や群馬県でコカ・コーラ商品を製造販売する三国コカ・コーラボトリングの椎名幹芳社長は、こう強調した。2009年の12月期は、自販機での販売数量が前期比約8%減。本業のもうけを示す連結営業利益は6.9%減の35億円だった。

 飲料各社の多くが同じ悩みを抱える。西日本を地盤とするコカ・コーラウエストも自販機の販売数量は8.3%減で、連結純損益は1994年の株式上場以来、初の赤字に陥った。

 ダイドードリンコの10年1月連結決算も、飲料販売部門の売り上げの約9割を担う自販機の販売額が5.3%減った。このため、飲料販売の収益の約5割超を稼ぐコーヒー飲料をはじめ、炭酸飲料以外のほとんどの商品で販売数量を落とし、純利益が29.6%減となった。

 苦戦する背景には、工場やオフィスビルにある自販機の販売急減がある。08年秋の金融危機後に企業業績が悪化すると、工場の人員が減り、経費削減の名目で自販機そのものを撤去する企業もあった。節約志向が強まるなか、低価格戦略を強めるスーパーやディスカウント店に客を取られ、ビルやオフィス内に出店するコンビニエンスストアも増え、自販機は異業種との競争にも巻き込まれている。

 それでも、各社が自販機の台数を増やし、効率よく多く売れる好立地を押さえる戦略を強化するのは、自販機が清涼飲料市場の売り上げの4割近くを握る稼ぎ場だからだ。

 国内の自販機は250万台前後で横ばい状態。製造元では、将来的な人口減で自販機の利用者も少なくなるとみて、生産効率化に向けた見直しを進める動きもある。09年の国内生産台数は約27万台で前年比2割減。過去5年で初めて30万台を割り込んだ。

 だが、アサヒ飲料の岡田正昭社長が「関係の深い取引先のオフィスなど、条件のいい未開拓の立地はまだある。年間1万台ペースで台数を増やす」と話すなど、各社とも自販機を強化する手は緩めない考えを示している。

 自社だけの力では限界もあるだけに、サッポロホールディングスとポッカコーポレーションは資本提携。伊藤園も大塚ホールディングス傘下の自販機運営会社に出資。清涼飲料部門での品ぞろえや自販機運営の強化を目指す。(内山修)


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