朝日新聞 2012年3月29日1時41分
杞憂(きゆう)は杞憂ではなかったらしい——。天が落ちてくると古代中国の人が無用の心配をしたことを思い起こさせる異変が起きていることが、米航空宇 宙局(NASA)の地球観測衛星テラの観測でわかった。落ちているのは雲だが、地球温暖化を減速させる効果があるかもしれないといい、そんなに悪い話でも なさそうだ。
ニュージーランド・オークランド大のチームが、テラの観測データから雲の高さの平均を計算したところ、2000年から10年間で約1%に相当する30~ 40メートルの低下が判明した。チームは「原因はわからないが、何か重要なことが起きていることを示しているのかもしれない」という。
雲が下がると、地球から宇宙空間に対して熱が逃げやすくなる。今回見つかった現象は、地球温暖化の進行に歯止めをかける「負のフィードバック」機構の可能性もあり、チームは20年ごろまで続くテラの観測を注意深く分析することにしている。(松尾一郎)