映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

剱岳  点の記

2009-07-27 | 映画 た行
ここ一週間、がらにもなく風邪をひいてしまいました。
新型とか深刻なものではなく、37℃前後をうろうろ、寝込むほどではなくダラダラ。
やっと時間ができたので部屋の片付けやブログ更新頑張るぞ!の意気込みはどこへやら、
横になってDVD三昧、のつもりが・・・気がついたら寝てた~なんてことの繰り返し。
アッカ~ン。

ちょっと前に見た本作、思い出しながら・・・


                 

       剱岳  点の記

                   



テレビの映画紹介番組に主演の浅野忠信さんと香川照之さんが出演され、ロケの過酷さと、
監督のこの映画に賭ける気迫を篤く語っておられたのを見て、映画館に足を運びました。

原作は山岳小説や歴史小説で知られる新田次郎氏。
エンドロールの最後に「国家の品格」の大ヒットで知られる数学者藤原正彦氏のお名前が。
そうそう、藤原氏は新田次郎氏のお子さんでした。
昔見た映画「八甲田山ー死の彷徨」の原作も、新田氏だったんね~。


こんな険しい山の頂上じゃなくっても、
「よくぞこんな所に舗装道路をつけたもんだ」とか
「ここまでどうやって資材を運んだのかしら?」なんて思うことが間々あります。

なのに・・・前人未到の山の上まで三角点を建てる資材を運んで剱岳の頂上を目指すって
とんでもないことを成し遂げた男たちの記録。
って、まるでNHKのプロジェクトX~(エコーかかってます)そのものです。

人は何故山に登るのか?主人公柴崎芳太郎は問う。
地図を作ることに何の意味があるのか?と。

陸軍の面子の為、「何が何でも成功させろ。失敗は許されん!」と迫る軍上層部。
そんな無茶苦茶な!「気合だ!」ってアニマル浜口じゃないんだから・・・。
また、日本山岳会とどちらが先に登頂するか?と面白おかしく書き立てるメディア。
メディアのあり様は今も昔も変わらなんなぁ。
いったいどれほどのプレッシャーがあったのかと、柴崎氏の心中を思うと胸が痛みます。
   

そんなプレッシャーの中、資料を集め、案内人宇治長次郎(香川照之)と調査し、
「何をしたかではなく、何のためにしたのか」が大事と功を焦ることなく周辺の山々に
三角点を設置しながら登るという従来の手順で一歩一歩歩む柴崎。
山岳会は登ることだけが目標なのに・・・。

今、何気なく地図を使っているけれど、地図を作るということがこれほど大変なことだとは
知りませんでした。

そんな柴崎隊の姿に、外国の最新装備を取り入れ登頂争いに闘志を燃やした山岳会一行も
敬意を表し、山に登る仲間だと感じる。

予告編で雪のシーンを観て、「何で夏に登らんの?」と思った私は愚か者でした
夏でも山頂には雪が残りあのような過酷な状況なのだなと反省していたところ
北海道での遭難のニュースを知り、更に山の、自然の恐ろしさを実感。

     
映画で見る軍の将校たちは何故あれほど意固地で傲慢なんでしょう?
地図を作るのが目的でしょうに。初○○、一番ってのに弱いんやねぇ。
面子?「君に選択の余地はない。何が何でも陸軍の面子にかけても登頂一番乗りせよ」って御無体な。
精神論で何でも乗り切れるってか?
「精神一到、何事か成らざらん」精神一到したって成らんもんは成らんよ。
陸軍参謀本部陸地測量部って今の国土地理院なんですね。


山は神道では信仰の対象。
ましてや、立山連峰で剱岳は死の山。村民にとって、そこは犯してはならない聖地。
案内人長次郎の心中は穏やかではない。一つ間違ったら村八分もんだからね。
息子との葛藤が少し描かれるが、彼のプレッシャーも柴崎同様かなりのもの。

偉そうに「選択の余地なし。登頂一番乗り」と掛け声をかける軍人さん、
「あんたが行ったらええやんか」と心の中で呟いておりましたが、
日露戦争を想定して行われた「八甲田山雪中行軍」もこういう軍体質の結果と言えるのでしょうか。
高倉健さん主演の映画を見て涙した記憶が・・・。
毒舌の大竹まこと氏は凍死する兵士役だったそうですが、過酷な撮影だったとテレビで語っておられました。


CG、空撮一切なし、
実際に測量隊が三角点を設置した山々を忠実に登り、氷点下40度以下で撮影。
徹底したリアリティーを追求「厳しさの中に美しさがある」って・・・
撮影前に監督は「これは撮影ではない。”行”である」とおっしゃったそうですが、
監督さんも無茶言うなぁ。
    
浅野氏、香川氏はじめ俳優さん、スタッフさんたち、よくぞ生還されました。
俳優って、体力ないとでけへんねぇ。


映画の中で、共に剱岳登頂という目標に向かって力を尽くす観測隊と山岳会の友情同様、
出演者とスタッフも映画製作を目指す仲間という連帯感がエンドロールの「仲間たち」という
表記に繋がったんでしょうね。

エンドロールに「佐伯さん」という苗字の方が沢山いらして、何だろうと?と思っていたら、
2度剱岳に登ったことがあるという一緒に映画を見たIさんから、ガイドさんだと伺いました。

シルバー世代が8割ほど、隣に座っておられたご高齢のおばあちゃんお二人は、映画を見ながら
感情移入つうかおしゃべりしておられました。 流石に何も言えましぇ~ん。


カメラマン出身の監督さんだけに、又「厳しさの中に美しさがある」と仰るだけに
山の映像の美しいこと!雲海も見れました。

バックに流れるバッハやビバルディなどのクラシック曲も良かったです。

ただ・・・奥さん役の宮崎あおいちゃんはちょっと若すぎないですか?
小雪さんとかもうちょっと年上の女優さんの方がしっくりくる気がしました。
あおいちゃんの最後の台詞「あなたについていきます」ってのもいらなかったんじゃないかなぁ?

登頂直前にもう一押しあれば、登頂の過酷さが盛り上がった気がします。



浅野忠信氏を最初に見たのは、テレビで深夜放映していた「バタ足金魚 1990」の脇役。
(因みに主役は筒井道隆氏と高岡早紀さんでした。)
当時は背が低く、痩せて坊主頭で、まさか国内外で引っ張りだこの若手人気俳優さんになろうとは
思いもしませんでした。(失礼しました)

香川照之さんは、本当にシェルパやってんじゃないかと思えるほどのなりきり振りに
脱帽です。


ついでに・・・Wikiより
柴崎氏はその後台湾や満州、シベリヤまで測量に出かけ、昭和13年肺炎で死去。

あの、問題の「錫丈の頭と剣の先」は長らく柴崎家に保存されたが、現在重要文化財として
立山博物館の所蔵。

柴崎らは山頂には立ったものの岩場の険しさから重い三角点標石を運び上げることができず
三等三角点の設置を断念し、標石のない四等三角点としたため、「点の記」は作成されなかった。
2004年になってようやく三等三角点が設置され、国土地理院により作成された「剱岳」点の記には
選点日時として「明治40年7月13日」の日付が、選点者として柴崎の名が記載されている。

やっぱり、ええ話やなぁ。


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4 コメント

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こちらにもTB。 (de-nory)
2009-07-28 20:11:27
こんばんは。
こちらにもTBありがとうございます。
CG・空撮なし。俳優人の底力。
これぞ日本映画って感じですばらしかった。

>香川照之さんは、本当にシェルパやってんじゃないかと思えるほどのなりきり振りに
脱帽です。

本当に、そうですね。
彼はすごくいい俳優さんだと痛感しました。
他の映画にもいっぱい出てるし、どれひとつ同じ感じではないし。
すばらしい。
こちらにも、ありがとうございます。 (de-noryさんへ(ryoko))
2009-07-28 23:05:51
監督はじめ、俳優さんたち、スタッフたちも、過酷な撮影だったでしょうねぇ。
CG全盛のいま、ここまでやるか~ですが、だからこその迫力ですね。

コメディーからシリアスまで、香川氏はいつも全力で役柄が憑依してる感じですね。
TBありがとうございました (シムウナ)
2010-02-28 11:12:22
TB有難うございました。
この映画を見ていると、自分の生き方
人生について自問自答してしまいました。
何をしたかではなく、何のために…
映画で語られる言葉も胸に突き刺さりました。

今度、訪れた際には、
【評価ポイント】~と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!
反応が遅くってすみません。 (シムウナさんへ(ryoko))
2010-03-13 16:34:08
映画の主人公達も、本作を作った監督さんもストイックですね。
人生について・・・私も人生の折り返し点を過ぎ、こういう映画を見ると考えさせられます。
反省することが多いです。

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