映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

モンテーニュ通りのカフェ

2009-02-22 | 映画 ま行
最近アメリカ以外の映画に魅かれています。

かつてはフランス映画、イタリア映画の全盛期があり、
ドロンやベルモンド、ドヌーブにジャンヌ・モロー、マストロヤンニにカルディナーレ、ローレン
などのヨーロッパ俳優が毎月映画雑誌の表紙を飾っていたものです。
何せフランスは映画を発明した国、60年代にはヌーヴェル・ヴァーグ。
イタリアでは、社会派映画やコメディーに、マカロニウエスタン。
豪華絢爛のビスコンティ映画も人気だったのに・・・、
一体いつからハリウッドに席巻されてしまったのでしょうか?

評判の良さそうな非アメリカ映画が公開されても、東京のミニシアターだとなかなか行けませんが、
横浜東口で品揃えの良いレンタルショップを見つけてからDVDでぼちぼち鑑賞中です。

ハリウッド映画のような派手さはないし、
誰もが知ってる俳優さんたちという訳ではないけれど、
だからこそ、ほんわか心が温まるような、胸に染みる映画になるのかもしれません。

こういう映画が良いなぁ~と思えるってことは、私も成長した(歳をとった?)ってこと?
(流石にもうわからなアカン!いや、わからんでどないする?って歳でした。)



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  モンテーニュ通りのカフェ  FAUTEUILS D'ORCHESTRE

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 < ストーリー >
田舎からあこがれのパリに出て来たジェシカ(セシール・ドゥ・フランス)は
モンテーニュ通りの「カフェ・ド・テアトル」でギャルソンとして働くことになった。
カフェには、著名なピアニストや自分の生涯のコレクションを競売にかける美術収集家、
舞台の初日を迎える女優ら有名人が客として現れる。
成功を収めながらも人生に迷いを感じている彼らの姿を、ジェシカを軸に描く。

 
チラシのイラストがおしゃれ~
このチラシと、「地上5センチの恋心」に出演していたアルベール・デュポンテルに魅かれて
本作を鑑賞。
ジェシカを演じるセシール・ド・フランス(フランス人のフランスさん?フランスのセシールさん?)が
「勝手にしやがれ」のセシール!(ジーン・セバーグ)のようなベリーショートのヘアスタイル
(セシールカット)でとってもチャーミング


フランスに行ったことはありません。
パリ8区、モンテーニュ通りの一画って有名ブランドが建ち並ぶ豪奢なエリアだそうです。
映画の舞台になったカフェは実際に存在し、
まわりにはコンサートや演劇、オークションなどが開催される劇場、スタジオが隣接し、
美しく聳えるエッフェル塔が花の都パリの雰囲気を盛り上げます。

ジェシカはそれぞれの場所に出前を配達し、
著名なピアニスト、ジャン=フランソワ・ルフォール
昼メロの有名女優、カトリーヌ・ヴェルセン
タクシーの運転手から身を起こし富豪になった男性、グランベールらと出会う。
       
 富豪グランベール       ギャルソン姿のジェシカ   ピアニストのジャン=フランソワ

     
引退直近の管理人クローディ   ジェシカの祖母ちゃん    女優のカトリーヌ

映画出演に賭ける昼メロの女王は、欲しいものは手に入らないと嘆き、
ピアニストは形式ばったクラシックに嫌気が差し、妻との関係に苦悩する。
他人がうらやむような成功を修めていても、現状に満足できず満たされない二人。

富豪は癌で余命を悟り、身の回りを整理する為オークションを開く。
息子やピアニストに経験から身に着けた人生訓をさり気な~く話す。
このおっちゃんの台詞、深いなぁ~。

そんなところへ、太陽のように明るいジェシカが現れ、彼女と触れ合うことで何かが動き出す。

女優が漏らしたこの言葉、
観客は、舞台のより良い席を求めて少しでも前の席を取ろうと頑張る。
ところが照明が落ちてから、近すぎると何も見えないことに気づくのよ
は、劇場の座席の取り方に生きるヒントを重ね、原題「オーケストラ・シート」のもとになってます。

人間って、どんなことでも慣れて飽きてしまう欲深い生き物なんでしょうか?
でもそれこそが、上昇志向というか、進歩・向上しようというエネルギーですよね。


「しあわせ」ってとっても主観的なもの、
毎年幾つかの団体が「世界幸福度調査」なるものを実施していますが、
昨年夏のある調査で日本は97カ国中43位。一位はデンマーク。
他にも、どう見ても幸せ度が高いと思えない国々が日本より上位にランクイン。
何せ43位だもんなぁ・・・
他の国に比べれば、かなり便利で生活水準は高いと思うけれど、如何せん満足度は低いようです。
日本人は悲観的?
もっともっと、と強欲なのか?
物質的な豊かさは幸せには繋がらないのか?
はたまた、
「幸せですか?」と問われた時、大した不満が無くても気恥ずかしくて「幸せです」と答えられないのか?
勿論、今年の調査ではどの国の幸せ指数もかなり落ち込むことになりそうです

ジェシカは「近すぎず、遠すぎず」の場所を探すと言う。
そう言うジェシカに、な~るほど、流石「おフランス~」と思わせる粋な台詞を返すクランベールの息子。

他にもアメリカ映画には出ないなぁ~?と思われるようなシーンがあちこちに。
「見てると恋をしたくなる」石像や、ジェシカ流、携帯に見る人間の分類法。
「ボーボワールとサルトル」の関係についての斬新な解釈 などなど。

引退直近の劇場管理人の女性、クローディはええ味出してます。彼女が聞く音楽もいいですよ。

ジェシカのお祖母ちゃんの言葉で始まり終るこの映画。
幸運の女神に微笑まれようが、疎まれようが、結果はどうあれ、人は現状に満足はしないもの。
でも『恐れずに前に一歩踏み出すことが大切よ。それで私の人生は輝いたのよ』
とお祖母ちゃんに背中を押される映画でした。


この映画の監督ダニエル・トンプソンは
「シェフと素顔と、おいしい時間」の監督さんだったのねー
「シェフと素顔・・・」はジャン・レノとジュリエット・ビノシュ二人の舞台劇のようなお話で、
本作同様、と~っても素敵な映画でした


昨年亡くなった監督シドニー・ポラックが俳優として出演しておられます。
また、ジェシカのお祖母ちゃんを演じられたシュザンヌ・フロンさんも亡くなられたそうです。
御冥福をお祈りします。



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