のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

ナポレオン展1

2006-01-17 | 展覧会
本日は 悪名高き
禁酒法発行の日(米,1920)でございます。
なおかつ、
アル・カポネの誕生日(米,1899)でもあります。
ううむ なんとも面白い偶然ではございませんか。

お酒には色々と面白い逸話がございますね。
密造酒 ということで言うなら、のろは My alltime best映画『大脱走』で
捕虜たちがジャガイモで蒸留酒を作り、アメリカ独立記念日を祝った(そして脱走用トンネルが発覚した)
あの一連のシーンが忘れられません。どこまでが実話なのかは存じませんけれども。

ここで問題です。
蒸留酒の銘柄のひとつ、コニャック。
6年以上熟成させたものが名乗り得る等級は、X.O、エクストラ、 さて もう一つは何でしょう?


答えは、





ナポレオン です。

と いうわけで
「ナポレオンとヴェルサイユ展』(神戸市立博物館 3/19まで)へ行って参りました。


絵画はもちろんのこと、家具調度から宝飾品から便座からレジオン・ドヌール勲章まで、
大きなものから小さなものまで
美術的、歴史的に価値あるものが盛りだくさんで、たいへん見ごたえがございましたよ。

「ナポレオンの波乱の生涯を縦軸にして、その時代に花開いた
新しい様式や文化、社会の様子を浮き彫りにしようとする試みです」
という、解説の言葉どおりに
ナポレオンという魅力ある人物について知ると共に、
フランス革命後の かの地の歴史的・風俗的状況の一端を、「もの」を通して伺うことができ、
まったく 一粒で二度からおいしい展覧会でございました。

・・・ぬけぬけと「魅力ある人物」などと申しましたけれども
実のところ、のろは当初、ナポさんにはあまり興味がございませんでした。

ルーヴル宮を美術館として整備した とか
読書家で、軍の遠征にも「マイ図書館」を携えて行った といった
好もしいエピソードも知らぬではありませんでしたが
むしろ好もしくないイメージの方が先行しておりましたので。

百日天下とか。
政略結婚のために長年連れ添ったジョゼフィーヌを離縁したとか。
皇帝就任の報に腹を立てたベートーベンが、交響曲の献辞を取りやめたとか。
(勝手に捧げといて勝手に止めるんだから世話ないですね)

『罪と罰』のラスコーリニコフは強盗殺人を正当化する口実に使うし。
(↑ナポレオンのように偉大な人間には、法を踏み越える行為も許される云々)
横光利一の短編『ナポレオンと田虫』では一晩中カユさにのたうちまわるおっさんだったし。

あ 地の底から 「後の2つは余と関係ないんすけど」ていうナポさんの声が聞こえる。 

ともあれ。
この展覧会を経て、わたくしの中の ナポレオン株 は大幅に上昇いたしました。
堀江社長もびっくりの上昇ぶりです。

まあナポレオンは、絵画を自らのイメージ戦略に活用した人ですから
のろはまんまとその戦略に引っかかった ということになりましょうか。
もっとも、のろが好もしく思ったのは
「寒がりだった」とか
「倹約家だった」とか
「部屋を緑で統一させた」という点なんでございますが。

また長くなりそうですので 続きは後日。