のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

集団的自衛権に抗議して焼身自殺を図った男性

2014-06-29 | Weblog
新宿駅南口で男性が焼身自殺図る? 集団的自衛権の行使容認に抗議か【UPDATE】

BBC News - Japanese man sets self on fire over military rule change

Man sets himself on fire in Japan in defence protest - witnesses | World | Reuters

Man self immolates in Shinjuku in protest at PM Shinzo Abe government’s collective self-defense law changes | Trends in Japan - Tokyo's latest Lifestyle, Culture and Innovation

Selbstverbrennung in Tokio: Tragischer Protest gegen Japans Sicherheitspolitik - International - Politik - Handelsblatt

上記のように、ハフィントン・ポストでもBBCでもロイターでも、ドイツの経済誌ハンデルスブラットでも報じられています。
ところが皆様の、いやアベ様のNHKは、この事件を7時のニュースでも8時45分のニュースでも、一言も取り上げなかったそうです。
新宿の駅前で起きたこの焼身自殺、海外のメディアも取り上げているこの事件を、NHKが知らないはずがありません。

つまり黙殺したのです。

「公共放送」という看板はもう捨てたのですね、NHKさんは。
間違う人がいるといけませんから、これからはきちんと「大本営放送」と名乗っていただけないでしょうか。





新☆マネキン活用法

2014-06-25 | Weblog
これは素晴らしい。

【天才かよ】中国のスーパーのマネキンの使い方が斬新すぎる:キニ速

もはや芸術を名乗っていいと思います。
そのままファッションショーに出ていけそうなトイレットペーパーのドレスや、乾物の使い方もすごいのですが、ワタクシとしては夏向けのマットを鎧に見立てたもの(特に下から3番目)にぐっときましたね。このまま三国志映画のエキストラに使えそうです。ぜひとも同じ素材で金縷玉衣も再現していただきたい。

『上村松篁展』

2014-06-23 | 展覧会
クローゼおめでとう!
ひゃっほう!
と朝の5時から1人で大騒ぎだったのは昨日のこと。

それはそれとして

実を言いますと上村松篁氏の作品にはあまり心惹かれないのでございますが、同僚に「金魚の絵がいいから」と薦められましたので、やや重い腰を上げて上村松篁展 へ行ってまいりました。

近美のトイレが劇的に改善されていたのに感動したのはさておき、金魚を描いた作品は、確かにどれものろごのみでございました。他の花鳥画のように装飾的な方向へは持って行かず、写実に徹しているのが、ワタクシにはずいぶん好もしく思われました。

それから所々に展示されているスケッチが、たいへんよろしかったのですよ。
スケッチというものは、せめぎ合いのような所がございます。描く対象がよく動くものである場合は特に。
描こうとする者にはおかまい無しに、かたちをどんどん変えて行く対象、それを捉えようとする眼差し、そして紙の上に定着させようとする手。眼差しは対象のかたち、構造、動き、表情を必死で追いかけるわけですが、手には眼差しが捉えたもの全てを再現する時間がないため、「白紙」と「完全な再現」の妥協点として、少なくともこれだけは絶対にはずせない、という線だけを引いて行かねばなりません。手はその「絶対にはずせない線」を引くために、対象の本質を的確に捉えることを眼差しに要求しますし、眼差しは手に対してスピードと正確さを要求します。そうしたせめぎ合いの軌跡が、松篁氏のスケッチには臨場感満点で現れており、実にエキサイティングでございました。

翻って本画の方は、やっぱりあんまり心惹かれるものがございませんでしたけれども、前半の、いわば「インド体験」前の作品には、のろごのみな作品も散見されました。
例えば花咲くモクレンと雀たちを描いた『鳥影趁春風』。全体はほとんどグレーのモノトーンに押さえられた色調で、その中にすっきりと現れる白いモクレンの花も、静謐な画面にごく慎ましく動きを添える4羽の雀も、たいへんよろしうございました。
それからご自身のお子さんたちを描かれた『羊と遊ぶ』(モチーフはどうも山羊のようでしたが)。立った少女を中心に、片側に山羊、片側にしゃがんだ少年を配して三角形を形成する、安定した構成といい、てらいのない、おっとりとした描写といい、たいへん心なごむ作品でございました。ちなみにここに描かれている少年は敦之さんでございまして、御本人を知る人によると、激似なんだそうです)

というわけで、華麗な花鳥画より、こういう方向に進んでくれたらよかったのに、と無い物ねだりなことをつらつら考えた展覧会ではあったのですが、敬遠していた画家の別の側面を見ることができたのは、まことに有意義なことでございました。




『Closer to the Moon』の背景

2014-06-12 | 映画
前回の記事の最後で、マーク・ストロング主演の新作映画『Closer to the Moon』をご紹介しました。実際にあった銀行強盗事件を下敷きとしたお話ということですので、今回はその事件について取り上げようと思います。

以下の情報はおおむねWikipediaのNational Bank of RomaniaおよびIoanid Gangの項に基づいております。

1959年7月28日、ルーマニアの首都ブカレストで、国立銀行の輸送車が6人の武装集団に襲われ、現金160万レイが奪われます。この金額は当時の米ドルに換算すると25万ドル、円に換算すると9千万円となります。
事件の捜査にあたった同国の秘密警察「セクリタテア」は2ヶ月の間に容疑者たちを逮捕。夜間の急襲によって逮捕された6人はアレクサンドルとパウルのイヨアニード兄弟をはじめ全員ユダヤ人であり、独裁政権であったルーマニア共産党における幹部や党員でもありました。6人の誰1人として、事件の目撃者(とされる人々)から直接にこの人物だと同定された者はいなかったものの、裁判によって全員に死刑判決が下されます。
翌1960年、政府はこの銀行強盗事件を題材とした党員向けのプロパガンダ映画「Reconstituirea(=Reconstraction)」を公開。映画の中では強盗犯を演じていたのは俳優ではなく、イヨアニード兄弟ら自身でした。
死刑囚である彼らが本人役で映画に出演するというグロテスクな企画に協力したのは、減刑を期待したためであったと考えられますが、その年のうちに、6人のうちただ1人女性であったモニカ・セヴィアヌを除いてみな処刑されます。彼女は母親であったため終身刑に減刑され、1964年に恩赦により釈放されたのち、1970年にイスラエルに移住しました。

以上がこの事件の表向きの顛末でございます。
表向き、と申しますのは、この「顛末」には、今も解消されない矛盾や疑惑がいくつもあるからでございます。

まず、当時のルーマニアは秘密警察が跋扈し、盗聴や密告が日常茶飯事の監視国家であったことから、6人ものグループが誰にも知られずに強盗の計画を立て、実行に移すというのは非常に難しいことでした。容疑者の1人は事件に先立つ数ヶ月の間、自分がセクリタテアによって尾行されている上、自宅向かいの建物から監視されていることに気づいておりましたし、6人の電話はやはり事件の数ヶ月前から盗聴されておりました。上に名前を挙げましたアレクサンドル・イヨアニードは自身がセクリタテアの幹部でしたから、国家による水も漏らさぬ監視体制を知らなかったわけがありません。

動機も矛盾しております。容疑者たちはイスラエルのシオニスト団体に送金するために強盗を働いた、というかどで訴追されましたが、当時ルーマニア・レイは世界のどの通貨にも換金できませんでした。つまり外国に送った所でしょうがないお金であったわけです。一方、容疑者らが犯したとされる他の様々な罪状は、イデオロギーに関するものばかりで、いずれも強盗事件とは関係のないものでした。
ちなみにそうした罪状のひとつに、セクリタテアの長官であったアレクサンドル・ドラギーチの暗殺計画がありました。アレクサンドル・イヨアニードは、上司にあたるドラギーチの妻の妹と結婚しておりましたが、事件の少し前に離婚しており、そのためにドラギーチの恨みを買ったという説もあります。

事件後、容疑者たちは奪った金で贅沢三昧を楽しんだということになっておりますが、この時代のルーマニアにおいて、派手に金を使って当局から睨まれずに済むわけがないというのは、誰しも分かっていることでした。なんともおかしなことに、映画の撮影時には「贅沢な暮らしぶりを再現」するために、撮影現場である容疑者の自宅に、わざわざ家具や絨毯やカーテンを運び入れなければならなかったのです。つまり、実際は贅沢な暮らしなどしていなかったということです。容疑者の1人であったイゴール・セヴィアヌだけは事件の後で金回りがよくなったようですが、これは事件当時、容疑者の中では唯一無職であった彼に、当局が金を掴ませたためではないかとも疑われております。

以上の矛盾点、および当時のルーマニアにおける冤罪の多さから、この銀行強盗事件は当局による自作自演だったのではないかとの推測が成り立ちます。考えられる目的はいくつかあります。

・政府によるセクリタテア幹部のパージを正当化するため。(事件を速やかに解決できなかったかどで、担当者を罷免できる)
・政府や党の高位からユダヤ人を排斥するため。
・処刑されたと偽って5人の履歴を消し、海外でエージェントとして活用するため。

容疑者は秘密警察幹部の他、ジャーナリスト、歴史学教授、物理学者というインテリ揃いで、全員が自国の状況をよく認識していたであろうこと、そして家族の証言や当時の政治状況から鑑みて、容疑者たちが家族の安全を質に脅迫されていた一方、犯行を認めるのと引き換えに、減刑や国外への移住を約束されていたという見方もあります。(その場合、政府側の約束は果たされなかったことになるわけですが。)
強盗事件の直後、ルーマニア国外に出ることさえも難しい時代であったにも関わらず、セクリタテア幹部の1人であったユダヤ人で、容疑者たちの「友人」とされている人物が、家族とともにブラジルに移住するというたいへん稀なことが起きていることから、この人物は容疑者たちと政府との連絡役であり、その報酬として移住を許されたのではないかという説もあります。


とまあ、これが「共産圏で最も有名な銀行強盗」とされる事件の概要であり、この事件に基づいた映画が『Closer to the Moon』でございます。マーク・ストロングが演じるマックス・ローゼンタールは「警察幹部」といいうことですから、おそらくアレクサンドル・イヨアニードをモデルとしているのでございましょう。実際の事件は喜劇的とは言い難いものですが、映画の方は「ブラックジョークのきいたコメディ・ドラマ」と紹介されておりまして、あまり身構えずに楽しめる作品となっているようです。
今のところ、評判も上々。予告編を見るかぎりソーターさんは文句なくカッコいいことですし、今後の拡大公開が待たれる所でございます。
ワタクシの目下の最大の懸念は、超有名ってわけでもない俳優陣と超有名ってわけでもない監督によるルーマニア映画が、果たして日本で公開されるのかという点でございますの。...

マーク・ストロングばなしもろもろ(最後に追記あり)

2014-06-03 | 映画
「ジンロ・ミクスト レッドペッパー」にはまっております。
常温ストレートでちびちびといただきます。

それはさておき
ソーターさんことマーク・ストロングの新作『キングスマン ザ・シークレット・サービス』の予告編が公開されました。



去年公開された『Mindscape』(北米でのタイトルは『Anna』)の紹介をいまもってスルーしておりますのは、マーク・ストロング主演とはいえ、予告編を見るかぎりではいろんな映画の寄せ集め&焼き直しのような印象で、あんまり心惹かれないからでございます。一方この『キングスマン』、ソーターさんの出演は少なそうですけれども、映画としてはなかなか期待できそうです。
ところでうちのMacさんは「きたいできそう」を「北出徽宗」と変換なさいました。実際に徽宗さんが辿った運命を考えると、何やらもの悲しい変換でございます。

徽宗忌 - のろや

閑話休題。
出演者はソーターさんの他、コリン・ファース、サミュエル・L・ジャクソン、マイケル・ケイン、そしてルーク・スカイウォーカーもといマーク・ハミル。バットマンおよび『裏切りのサーカス』繋がりで、ゲイリー・オールドマンに友情出演していただきたい所です。
監督と原作者が『キック・アス』と同じマシュー・ヴォーンとマーク・ミラーというのが、ワタクシにとっては不安材料ではあります。しかし同じヴォーン監督作品でも『スターダスト』はワタクシの大好きな映画であって、つまり監督との相性が徹底的に悪いというわけではないはずですし、少なくとも本作は10歳の少女が人を殺しまくるような話ではなさそうですから、あまり予断を持たずに公開を待ちたいと思います。

↓の映像では『キングスマン』の他、ベネディクト・カンバーバッチが暗号解読者アラン・チューリングを演じる新作『Imitation Game』についても語っておいでです。

Mark Strong on 'The Imitation Game', spies and 'The Secret Service' - Video - Digital Spy

蝶ネクタイ着用のマーク・ストロング。うーむ、何て似合わないんでしょう笑。
背景からして、おそらく今年4月の映像かと思われます。『Imitation Game』の撮影は完了し、現在は編集の最終段階であるとのこと。ソーターさんはチューリングを抜擢したMI6長官スチュワート・メンジーズを演じてらっしゃるそうで。『ワールド・オブ・ライズ』、『ゼロ・ダーク・サーティ』に続いて、諜報機関の司令塔を演じるのは3回目になりますね。(いつかフランシス・ウォルシンガムを演じてくれないかなあ!)「いわば全てのカードを手のうちに持っている男」ですって。ワクワクしますね。

そしてこちらはニコール・キッドマン主演の『Before I Go to Sleep』のポスター。
HOLLYWOOD SPY: FIRST POSTER FOR 'BEFORE I GO TO SLEEP' THRILLER WITH NICOLE KIDMAN, MARK STRONG & COLIN FIRTH!

脇を固めるのはソーターさんとコリン・ファース。コリン・ファースとは『僕のプレミア・ライフ』、『裏切りのサーカス』、そして上記の『キングスマン』に続き、4回目の共演となります。キッドマン演じるクリスティーンは、一晩寝て目覚めると前日までの記憶を失っているという特殊な記憶障害を持った女性で、自分がどこの誰なのかを毎朝彼女に説明して聞かせる夫がファース、彼女が記憶を書き留めておくのを密かに支援する医師がソーターさん。それにしてもニコール・キッドマンって、幸福な女性を演じることがめったとないような気がしますな。

お次はコメディ。なんとまあ、サシャ・バロン・コーエンのお兄ちゃんの役でございます。

Sacha Baron Cohen will be bros with Mark Strong in Grimsby - Movie News | JoBlo.com

Mark Strong To Play Sacha Baron Cohen's Brother In Spy Comedy 'Grimsby' - CinemaBlend.com

ええ、『ボラット』のサシャ・バロン・コーエンでございます。ワタクシはこんな名前ではありますが「どっきりカメラ」的なものが嫌いなもので、以前はサシャ・バロン・コーエンと聞いただけでもう敬遠したくなったものでございます。しかし『ヒューゴの不思議な発明』での意外な好演を見てから、ちょっと評価を改めました。
この映画、時代設定などの詳細はまだ分かりませんが、マーク・ストロングが演じるのは英国特殊部隊のエージェントで、長い間音信不通だったサッカー狂の弟(コーエン)と一緒に逃避行をするはめになる、というストーリーとのこと。「ボンド映画のパロディ」と言われますとちょっと不安がつのりますけれども、どんな色合いの作品になるのであれ、ソーターさんに尾籠なギャグをやらせるのだけは控えていただきたいものと思っております。

最後に、投票式の「マーク・ストロング出演映画リスト」。誰でも投票できるようです。
Mark Strong Movies List: Best to Worst

『Sunshine』というタイトルのものが二つありますが、片方はダニー・ボイル監督による秀作SFの『サンシャイン2057』、もう片方はハンガリーを舞台とした史劇『太陽の雫』(アイコンの予告編は間違い)でございます。

ワタクシはとりあえず『スターダスト』を上げて『キック・アス』を下げておきました。しかしこれがもし「マーク・ストロングが演じたキャラクターリスト」だったら、『リボルバー』のソーターと『ロックンローラ』のアーチーおじさんと『ワールド・オブ・ライズ』のハニと『スターダスト』のセプティマスの間でどう序列をつけようか、大いに悩む所でございます。スピンオフ作品を作ってほしいキ
ャラクターということでしたら、迷わずソーターに一票投じますけれども。



と、ここで一旦記事を投稿したわけですが、その後『Closet to the Moon』の予告編を見つけてしまいました。



『The Long Firm』のハリー・スタークスを彷彿とさせる粋なファッションのマーク・ストロング。いや~カッコイイですねえ。
お話の舞台は1959年、一党独裁体制の警察国家であったルーマニア。首都ブカレストの国立銀行で、白昼堂々、映画の撮影を装った強盗事件が起きます。首謀者であるユダヤ人、マックス・ローゼンタールを始めとした5人の下手人たちはのちに全員逮捕され、処刑を待つ身となってしまいますが、政府のプロパガンダ映画のために、カメラの前で自分たちの犯行を「再演」するよう命じられ…というもの。
こりゃあ面白そうです。しかも驚いたことに、実話に基づいているとのこと。
どのくらいどんなふうに基づいているのかしらん、と思って、実際の事件についてWikipediaを覗いてみました所、政府による陰謀説や裏取引き説が載っておりまして、これまたたいへん興味深いものでした。せっかくですので、別の機会にきちんとご紹介しようと思います。