読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『村井さんちの生活』

2021年07月15日 | 作家マ行
村井理子『村井さんちの生活』(新潮社、2020年)

ネットを見ていてたまたま見つけた『考える人』というサイトの文章―義理の両親をコロナワクチン接種に連れていく騒動―が傑作だったので―著者が義理の両親に心のなかでつく悪態が面白い―、この人だれと思って調べたら、こんな本を出していることを知った。

この本には2016年から20年までの5年間のことが書かれている。一年は6つか7つの文章になっているので、季節に二つくらずつというテンポだが、いろんな出来事があって、ちょうどそれでいいのだろう。

翻訳家という自分の職業のことを書いた文章が複数あるし、飼い犬の死と新しくやってきた飼い犬の成長、双子の学校の親たちのこと、そして何よりも一番多いのが、当然のことだが、双子の息子たちの成長。

おとなしく、慎重だが、コツコツ派の長男と、お調子者で、言動がはっきりしていて、みんなを笑かすのが好きな次男と、まったく性格が違うのが興味深い。私もうちの子たちの関係で双子を知っているが、ここまで極端ではなかったので、そんなこともあるんだと感心した。

この著者の性格を一番見事に表現している文章は、仕事が詰まってにっちもさっちも行かなくなった時に夫が家事をやってくれるようになったはいいが、冷蔵庫の中の「刻み玉葱メガ盛り」というのを見て、へぇこんなの買うんだと言った言葉に切れてしまったという話。

ネットでも読むことができるが、ぜひ紙の本で読んで欲しい。

『村井さんちの生活』のアマゾンのコーナーはこちら


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