読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『全員悪人』

2022年03月24日 | 作家マ行
村井理子『全員悪人』(メディアハウス、2021年)

滋賀県の琵琶湖のほとりで家族と暮らす翻訳家の村井理子さんの日常エッセーで、今回は夫の母が認知症になって、まわりの人間に敵意を剥き出しにする様子を描いている。

認知症の現れの一つでけっこう多いのが、まわりの人に自分のものを盗まれたというやつである。その「犯人」が嫁、婿、世話をしに来てくれているワーカーさん、施設に入っている場合には世話をしてくれている担当者だということが多いので、厄介だ。うちのかみさんの母親も同じパターンだった。ただこの人の場合には施設を変わったら、治った。

村井理子さんの義理の母親の場合には、ものを取られたが、夫を取られたになった。ワーカーさんが夫(90才前で、脳梗塞をやって足腰がおぼつかない)に色目を使って、夫が籠絡され、不倫をしているという妄想を持つようになったという。

うちのかみさんの母親も同じパターン。ただうちの場合は夫(つまりかみさんの父親)が亡くなったので、この妄想もなくなった。

村井理子さんのエッセーの面白さは、彼女の対人関係の処し方の面白さ(もちろん文章力が前提であることは言うまでもない)から来ているので、今回のエッセーのように、義理の母親の視点から描くと、村井理子さんの文章の面白さが半減してしまう。ただただ怒りまくっている年寄のぐちを読まされていることになって、残念だった。

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