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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

日本一 心を揺るがす新聞の社説

2020年07月09日 | いい話

平成12年8月12日に、『日本一 心を揺るがす新聞の社説』(ごま書房新社刊)を紹介しています。図書館で、この本は3冊あることがわかり、又借りてきました。それぞれの本から一話だけ選んでみました。最初の一章に、次のような話が出ています。(以下転載)

食肉加工センターの坂本さんの職場では毎日たくさんの牛が殺され、その肉が市場に卸されている。牛を殺すとき、牛と目が合う。そのたびに坂本さんは、「いつかこの仕事をやめよう」と思っていた。
ある日の夕方、牛を乗せた軽トラックがセンターにやってきた。しかし、いつまで経っても荷台から牛が降りてこない。坂本さんは不思議に思って覗いてみると、10歳くらいの女の子が、牛のお腹をさすりながら何か話し掛けている。その声が聞こえてきた。
「みいちゃん、ごめんねえ。みいちゃん、ごめんねえ……」坂本さんは思った、「見なきゃよかった」
女の子のおじいちゃんが坂本さんに頭を下げた。
「みいちゃんは、この子と一緒に育てました。だけん、ずっとうちに置いとくつもりでした。ばってん、みいちゃんは売らんと、お正月が来んとです。明日はよろしくお願いします…」
「もうできん。もうこの仕事はやめよう」と思った坂本さん、明日の仕事を休むことにした。
 家に帰ってから、そのことを小学生の息子のしのぶ君に話した。しのぶ君はじっと聞いていた。
 一緒にお風呂に入ったとき、しのぶ君は父親に言った。「やっぱりお父さんがしてやっ
てよ。心の無か人がしたら牛が苦しむけん」しかし坂本さんは休むと決めていた。
 翌日、学校に行く前に、しのぶ君はもう一度言った。「お父さん、今日は行かなんよ」(行かないといけないよ)」
坂本さんの心が揺れた。そしてしぶしぶ仕事場へと車を走らせた。
 牛舎に入った。坂本さんを見ると、他の牛と同じようにみいちゃんも角を下げて威嚇するポーズをとった。
 「みいちゃん、ごめんよう。みいちゃんが肉にならんとみんなが困るけん。ごめんよう」と言うと、みいちゃんは坂本さんに首をこすリ付けてきた。
殺すとき、動いて急所をはずすと牛は苦しむ。坂本さんが「じっとしとけよ、じっとしとけよ」と言うと、みいちゃんは動かなくなった。次の瞬間、みいちゃんの目から大きな涙がこぼれ落ちた。牛の涙を坂本さんは初めて見た。(以下省略)

図書館で本棚を見ていたら、この本の2.3がありました。借りてきたので、その中から各一遍だけ転載します。

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