仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

メリトクラシー・損か得か

2010年12月01日 | 現代の病理
いじめが原因による自殺。2度ほど「少年少女の自殺はいじめが引き金かもしれないが、もっと大きな傲慢無知なマイナスのベクトルがあるはずだ。」と書いた。

そのマイナスのベクトルについて、多少のコメントです。一昨日『現代と親鸞』第21号(親鸞仏教センター)が送られてきました。その本の中に「親鸞と教育―化身の大地―」と題して広島大学名誉教授の松田正典氏が“メリトクラシー 科学技術文明の本質”という文を書いておられた。

メリトクラシ-とはイギリスのマイケル・ヤングさんという方がつくった造語だとのこと。その意味は、すべてを「メリットか、デメリットか」という単純な“ものさし”ではかることであり、現代の科学技術文明の本質を言い当てた言葉だとありました。

この文章を読んでいて、科学技術文明とは、人を幸福にするために客観的な物事を、損か得かで裁いて行き、機械化と合理化によって、最大限の利益を追求してきたが、人間関係や主観的な営みまでが、損か得かで推し量る感受性を培ってしまったと思った。

そして現代の個人主義化によって「メリットか、デメリットか」は、“私にとって”という出口のないブラックホールに陥っている。

いじめを受けた人もいじめをした人も、ともにこの犠牲者なのだと思います。つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする