仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

3.000円の勲章

2010年12月13日 | 現代の病理
今朝「入仏法要をあ勤めしてほしい」とのご依頼で、先ほど来院されました。ご本尊はたまにお見かけするレリーフ式の阿弥陀如来像でした。

ご一緒にお勤めしながら、お経中に思ったことですが、阿弥陀如来は慈しみの仏さまです。浄土真宗の教えは、無条件に救うという阿弥陀さまを告げることに極まります。無条件に救うということは、無条件でなければ救われない私という闇を明らかにして下さる如来さまです。それは“おれが”“わたしが”という自分を唯一絶対とする意識そのものが、私を苦しみにいざなう闇そのものであるということです。

その闇が明らかになるということは、稀なことですが、“自分を唯一絶対とする意識”や社会の常識という価値観を相対化させることは、浄土真宗から発信される文化として重要なことだと思っています。自分の価値観を気軽に相対化させることができれば、自殺者も減るのではないかとも思います。

中国の民主活動家、劉暁波氏に対するノーベル平和賞授賞に対抗して、急遽(きゅうきょ)設立された「孔子平和賞」の授賞式が9日と報道にありました。これも良否はともかくとして、ノーベル平和賞を、相対化してしまおうとする試みです。

今月5日付の報道に、「コンビニが葬儀仲介 ファミマ、参入検討」という記事がありました。大手コンビニエンスストアのファミリーマートが葬祭業への参入を検討しているということでした。09年9月にはイオンが葬儀斡旋に参入したことを受けたものです。

一企業が独占的に注目を浴びる「イオンのお葬儀」といった扱いを相対化させることは、企業の戦略としてはも頷けます。

昔、父が存命の頃、京都北野天満宮の市に誘ったことがあります。車いすの父は、露天商が並べる骨董品をみていき、3.000円の太平洋戦争か日露戦争のときの勲章を買い求めました。なんであの勲章が欲しかったのか不明ですが、価値観を相対化させるためには、もってこいの品物です。その勲章は父の遺品の中にもなかったので、いまはどうなっているかわかりません。
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