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アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「コズモポリス」

2014-01-27 14:11:47 | 映画とドラマと本と絵画
   デヴィッド・クローネンバーグ監督の「コズモポリス」を見ました。クローネンバーグは、「ザ・フライ」も「裸のランチ」も「クラッシュ」も衝撃的な作品だったので、できれば、作品をすべて見たいと思っている監督です。

   主人公は、天才的な能力で巨大な冨を築いた若い投資家。映画はおおかたの場面が、彼が事務所代わりに使っている、ハイテクの装備を備えたリムジンの中で展開されます。

   しょっぱなは、磨かれたリムジンの車体がじっくりクローズアップされ、その美しい形と色が強調されます。   

   リムジンの外では、大統領の訪問を知った市民達のデモが繰り広げられています。リムジンは、デモの参加者や野次馬、主人公を憎む人物たちなどなどによって、どんどん傷つけられ、汚されていきます。

   そのうち、車内での主人公と相棒の男らしい人物達との会話で、主人公が人民元の動向を読みあやまったことで、莫大な金額の損失を招いたことがわかってきます。

   リムジンの内外で、彼のボディガード、運転手、大富豪の娘である妻、成り上がりものの彼を子供の頃からよく知っている床屋の親父、愛人などなどが次々に彼とかかわっては、去っていきます。

    画面も速度も会話も描き方もすべて、緊張を強います。息を継がせない感じです。難しくて、理解しがたい会話や言葉や展開もたくさんあるのですが、おもしろい! なんというか、「これが先進国の現代だ」といいたくなる映画です。極端に無機的なリムジンの車内も、最後の場面に出てくる汚らしいアパートも、孤立と格差が当たり前になりつつある現代を象徴しています。

    「がり勉したのではなくて、いろんな先端的な学問をうんと勉強して、自分のものにした頭のいい人たちが、欧米にはたくさんいるのだな」ということを、よくよく感じさせる作品です。観賞後、「舌をまく」という言葉がごく自然に出てきました。   
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ザ・タイガース2013LIVE in 東京ドーム

2014-01-27 11:14:50 | 映画とドラマと本と絵画
  先週金曜日、NHKBSプレミアムで、「ザ・タイガース2013LIVE in 東京ドーム」を放映しました。前から楽しみにいていた番組です。

  ザ・タイガースのメンバーで、昔わたしが一番好きだったのは、加橋かつみ(トッポ)でした。数あるグループサウンズの中で、ザ・タイガースはハーモニーがとても美しかった。その中でも、「花の首飾り」のあのトッポの声は忘れられない。

  でも、いつごろだったか、トッポは突然、グループから姿を消しました。

  芸能ニュースにうとかったわたしは、彼がほんとに行方不明だったのかどうか、またなぜメンバーを降りたのか、なにも知らなかったのですが、そのことでいっそう魅力を感じたものです。

  解散してから、私はジュリーもなかなかいいなと思うようになり、岸辺一徳は、好きな俳優の一人になりました。ずっとあとになって、もっとも目立たなかったピーが大学入学を果たし、高校の漢文の教師になって第二の人生を歩んだとききました。

   トッポもタローも、音楽業界でそれぞれ活躍しているとは、これもずいぶんあとで知りました。スリムでいたいけな美少年だったジュリーは、だいぶ肥満しはしたものの歌手を続け、コンサートはずっと開いているようです。

   数年前、ザ・タイガースのコンサートが何十年ぶりかで開かれ、ピーは教員を辞めて参加しました。でも、そのおりトッポの姿はなく、ジュリーが、「今度はぜったい彼といっしょのコンサートを開く」と聴衆の前で約束しました。

   そして、昨年その約束が実現しました。全員がそろったコンサートを全国8箇所でおこない、その最後を飾ったのが、この舞台だそうです。

   一徳は髪が薄くなり、他のメンバーは皆白髪。ジュリーだけでなくトッポも、いささか肥満気味でした。観客はほとんどが団塊の世代かその少し下のようでした。

   車椅子の岸辺シローも登場し、「イエスタデイ」を歌いました。あまり出ませんでしたが、いい声でした。

   メンバーも往年のファンもすっかり年をとったのですが、会場はすごい迫力でした! 孫のいる世代の人たちが大ノリ。どちらも涙ぐんでいました。こんなこと、彼らの前までの世代では考えられなかったと思います。

    ジュリーは昔より声が良くなったみたい。わたしの思いいれも大きくなったいるせいもあるのでしょうが、彼の声が心に染み入る感じがしました。久しぶりに聞いたトッポの声に、つい泣いてしまいました。

    メンバーもファンも「お互い、がんばって生きてきましたよね」と言い合っているような、切実でまじめなコンサートでした。しみじみしました。

   当時は、「長髪だから」という理由で、NHKはグループサウンズを番組に登場させませんでした。唯一、短髪にしているあるグループのみ、出ていたと記憶しています。

   コンサートに行くこともエレキギターを弾くことも、不良あつかい。でも、クラスのほとんどの女の子は、どのグループにどんなメンバーがいて、どんな歌を歌っているか、知っていたのだろう思います。わたしは、そういうことにあまり関心がなかったのですが、それでも、いま当時の歌を聞くと、ほとんど耳になじんでいたことにおどろいています。

   コンサートは2時間ほどで終了。数あるザ・タイガースの曲は数曲しかなくて、もの足りませんでした。来年もまたやってほしい。会場に行くほどのファンではありませんが、十分楽しみました。 

      

   

   
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オルチョ・サンニータとジュゼッペ・ジュスティ

2014-01-25 11:31:52 | たべもの
   昨年10月から、アンティマキの焼き菓子を置かせてもらうようになった、やまのぶ梅坪店。わたしがこのお店にときどき買物にいくようになったのは、そのしばらく前でした。

   数年前から手に入れたいと思っていたオリーブ油、オルチョ・サンニータをやまのぶ梅坪店で扱っていると聞き、近くまで用事があるとき、ときどき訪れていたのです。いつもあるとは限らないようで、見つけたのは、だいぶん何度か訪れてから。やっと買えたこの油は、期待にたがわない味でした。

   この油は、福島に住む朝倉玲子さんという方が、イタリアで見つけてほれ込んだもの。アサクラという名前の輸入会社を立ち上げ、この油の販売をはじめたそう。

   瓶に貼られたラベルには、「イタリア南部・ベネヴェント郊外で栽培。手摘みオリーブの風味を最高に引き出すため、搾油後フィルターを使わず、3ケ月かけて果肉とオイルを分離させました」と書かれています。

   写真左が、このオルチョ・サンニータ。750ml3600円くらいだったとおもいます。高いけれど、長いこと使えたし、それだけの値打ちは十分あります。青っぽい新鮮な風味が特長。わたしは、パンにも豆腐にもじゃがいもにも、なんにでもかけていただきました。

   さて、右の瓶は、大阪空堀商店街にあるこんぶの土居さんの店内にある、「よい食品を作る会」コーナーで売られている、ジュゼッペ・ジュスティという名のバルサミコ酢です。

   昨年6月頃、ちえ流マクロビオティック料理教室の講師・森ちえこさんと、彼女が懇意にしている土居さんのお店にうかがったとき、ご主人のお父様が味見させてくださったのが、このバルサミコ酢。紙コップに注いでくださったこの酢があまりにおいしくて、ふたりとも指でなめ続けました。

   普通のバスサミコ酢の、たぶん2,3倍は濃厚そうで、どろっとしています。甘味とすっぱみとこくがあいまって、お店を出てしばらくしてからも、心地の良いあと味が舌に残っていました。 

   実は、このとき、お店のご主人たちはまだこのバルサミコ酢の取り扱いを決めかねていたのですが、わたしたちのようすをご覧になって、お店での取り扱いを決意。その後、ちえさんが来稲したとき、買って来てもらったひと瓶です。

   瓶には、「北イタリア、中世の都市モデナに古くから伝わる芳醇なる黄金の酢」と書かれています。こちらも、いろんな食べ物にかけてみました。オイルと違って、このこくに負けるような淡い食べ物にはあわなくて、チキンカツとかアイスクリームなどそれ自体がきつい味のものにあうようです。とくにアイスクリームは抜群にあいます。

   こちらも250mlでたしか3600円。とても高価なものですが、あくまで調味料なので、使う量はわずかです。こういうのを使うと、ごくシンプルな素材が豊かな味に変化するのが、うれしいことです。

     
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いなぶの玄米おかき、新作明日発売します。

2014-01-24 01:30:42 | アンティマキの焼き菓子とパン
   あした、やまのぶ梅坪店で、いなぶの玄米おかきの新作を発売します。黒ゴマ入りなのですが、塩を少しきつくしてみました。

   わたしのおかきをはじめて召し上がった方が、「もう少し塩気があるほうが好み」とおっしゃったのでおもいついた取り合わせです。いつものおかきの1.5倍、塩を入れました。

    辛すぎはしませんが、塩のせいで砂糖の甘さもひきだされ、ゴマのコクもくわわって、いつものおかきとは異なる味のお菓子になりました。

    あしたは、黒砂糖入りのおかきも一緒に納品します。こちらは、次回しこむときは、もう少し黒砂糖の量をふやし、甘くするつもりです。
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NHK「足尾から来た女」

2014-01-21 00:11:30 | 映画とドラマと本と絵画
    先週土曜日に第一回目が放映された「足尾から来た女」。足尾銅山鉱毒事件の関連ドラマなので、勉強になるかもしれないとおもって見ました。今週土曜日に二回目が放映されます。

   主人公は、鉱毒の流出によって土も水も汚された谷中村出身のサチ。彼女たちは、作物がとれなくなった村で、餓死寸前の生活を余儀なくされます。

    事件を追及し、政府と鉱山の会社を告発するもと国会議員の田中正造は、彼女に、東京の社会主義運動家・福田英子の家の家政婦になるよう、勧めます。

    サチの上京を知って、彼女に接近したのは警察上層部。福田の家に集まる幸徳秋水、堺利彦、石川三四郎、大杉栄などなど、当時の社会主義運動家や無政府主義者の活動をサチに探らせるのが目的です。

    文盲のサチは、居丈高な警察官の態度に抵抗できず、スパイの仕事を引き受けます。一方、田中正造は、鉱山操業の即刻停止を求めますが、日露戦争後の日本にとって、銅の発掘と精錬は要のひとつ。到底聞き入れられるはずはありません。

    村人たちは、県の口利きで他の土地を斡旋され、次つぎに離村。サチの家も取り壊しの憂き目にあいます。

    村を銅山の鉱毒を捨てるため池にし、周辺の村々への流出をとめる場所にする、というのが国と県の方針だと知り、サチは怒りにふるえます。

    福島や青森の六ヶ所村を髣髴させるドラマ。NHKは、朝の連ドラ「ごちそうさん」でも、この鉱毒事件のことをすこしだけ織り込んでいます。

    どういう話かというと、主人公の義父が、足尾銅山を思わせる精錬所の技師として働いていたことがあるのです。彼は、「国のために大事な銅の精錬に携わっている」と信じて仕事に心血を注いでいたのですが、鉱毒に侵された村人達の必死の抗議にたじろぎ、現場から逃げるようにして去った経験を持っています。

    「ごちそうさん」では、主人公の夫がちかぢか、父の勤めていた鉱山のその後の様子を見に行くことになっています。たぶん、この「足尾から来た女」第二部と連動しての放送ではなかろうか、とおもいます。どんな話になるのか気になるので、今週は昼間見られないときは、忘れないで夜見ることにします。
      




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猟師さんを囲んで、イノシシ鍋を食べる会に参加しました。

2014-01-20 19:42:37 | たべもの
   昨朝は、稲武では1,2センチほどの雪が積りました。一日低い気温が続き、道路の凍結が気になりましたが、夕方、隣の集落まで、大野瀬町の猟師・大石俊幸さんのお話を聞きながらイノシシ鍋を食べる会に出かけました。

   場所は、野入町の中乃屋。しし鍋で有名なお店です。会を開いたのは、Miki-Co-Laboの三木和子さんたちが主宰する地球子屋(てらこや)。子供6名、大人8名が集まりました。

   きれいなお肉です。牡丹鍋といわれるだけあって、赤くて花びらのようです。いろりにかけられた鉄鍋には、中乃屋さん特製の味噌仕立ての汁が煮えています。味付けは、味噌と砂糖、それに生姜などの香辛料。酒もみりんも入れないのでそうです。

   薄切りした肉はすぐに煮えます。火が通ったらすぐに引揚げいただきます。臭みはまったくなくて、濃いあじがします。おいしい。

   わたしがしし肉を食べたのは、これで5度目。最初は通販で手に入れたしし鍋セットでした。汁つきだったので、ただ煮ただけなのですが、おいしくなかった。臭かったのです。それで、先入観ができてしまったのですが、なにかの会合で、この同じ中乃屋さんでしし鍋をいただき、偏見が取れました。

   その次は、冷凍肉。解凍して味噌漬けにして焼いて食べました。これはおいしかった。その次は昨年。友人が作ったイノシシジャーキーです(コチラ→)。

   さて、大石さんはほぼ20年近く、稲武の山を歩いて猟をしておられます。猟をするときはいつもだいたい朝の6時半に家を出て、めぼしのついている山へ。たいてい十人ほどの猟師仲間と無線でやり取りしながら、獣の足跡を辿るのだそうです。

   雪のときは足跡が明瞭ですが、そうでないときは、鼻先で地面をつついたあとを追いかけるのだそうです。

    使うのはライフルか散弾銃。しとめたらその場で心臓を突き、血抜きします。「血抜きさえしておけば、肉がくさくなることはない。一日でしとめた分を軽トラにのせて、山をおります」と大石さん。中当町ので解体し、参加した猟師さん全員で平等に山分けします。

    「いまどきのメスで、三歳くらいのやつが一番うまい」とおっしゃる大石さんは、おじいさんの代から猟師をなさっていた家に生まれ育っているので、子供の頃から猟についていきました。

    数年前は、しとめたとおもったイノシシが生きていて猟師仲間を襲い、重傷を負わせたこともあるそうです。「あいつらは、ふだんは人間なんか襲いたくはないので、山で出会っても知らん顔して通り過ぎれば大丈夫だ。でも、あのときは、自分が襲われた、と知っているから必死だったんだろう」

    でも、最近は、稲武ではイノシシが減っているそうです。4年前ころまでは、11月15日から2月15日までの猟期に10頭以上しとめたそうですが、今年は、猟期があとひと月もないのに、まだ4頭しかとってないとのこと。

    数年前、田畑を荒らすイノシシが急に増えたようですが、その後、駆除や電気柵が功を奏してか、かなり被害が減ったそうです。

    猟師さんたちはイノシシのほかに、害獣である日本鹿やタヌキ、アナグマ、ハクビシンなども撃ちます。鹿はイノシシより皮に脂がないので、解体しやすいのだとか。タヌキ汁も食したことがあるそうです。感想は、「まずいということもなかったよ」。
    
    いま、稲武の猟師は30人くらいいるそうですが、銃の免許を持っているのは13人だけ。しかも、平均年齢は60いくつか。一番若い方で40代だそうです。ここでも、後継者不足が悩みです。

    中乃屋の店内にかけられているイノシシの剥製。こうしてみると、牙が恐い。
    
    小さいイノシシの剥製もあります。これくらいならいいけれど、80キロも100キロもあるヤツには、いくら、向こうが襲う気がなくても、できれば会いたくないものです。

    大石さんの派手ないでたちは、誤って撃たれないように目立たせるため。同じ猟師を誤射するだけでなく、近頃は山歩きの人をまちがって撃つ事故もおきているそうです。

    獣は、わなでも捕まえます。こちらも、人間がかかることがよくあるそうです。わなの置いてあるところには、ピンクの標識がちゃんと立っているそうなので、よく見て、気をつけて歩かなくちゃ。

    
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りんごケーキ、ちょっと変えました。

2014-01-17 00:42:01 | アンティマキの焼き菓子とパン
   昨年暮れに発売した「生リンゴケーキ」のつくり方を、ちょっと変えました。

   前回は、生のリンゴをたっぷり入れたのですが、今回は、生ではなくて少しの塩を入れてさっと煮ました。水気が出る前に火を止め、ケーキの材料の中に加えました。リンゴの量はほぼ同じです。

   このようにしたわけは、消費期限を伸ばすため。生だと期限を短くしか設定できないので、お店においても、売れ残るとすぐに値引きしなくてはならなくなるからです。

   試食したところ、味にほとんど変わりはありません。おいしくできました。

   このケーキ、名前は、「りんごいっぱいCAKE」と名前を変えました。あした午前中にやまのぶ梅坪店に、スコーン、おからのガトーショコラといっしょに納品します。ただし、数は5個だけ。お早めにお求めください。

 

   
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霧社事件を扱った、映画「セデック・バレ」

2014-01-16 15:07:34 | 映画とドラマと本と絵画
   「セデック・バレ」は、日本統治下の台湾を舞台にした台湾映画。昭和初頭に実際におきた、台湾の先住民による抗日事件「霧社事件」を題材にしていて、第一部と第ニ部、計4時間半ほどの長編映画です。

   台湾が日本の植民地になったのは日清戦争後のこと。当時すでに中国人によって徐々に山地に追いやられていた先住民は、中国本土の人からは「高山族」、日本人からは「高砂族」と呼ばれていました。

   映画では、かれらのうちで霧社地域に住んでいたセデック族の、ひとつきあまりにわたる抗日暴動を描いています。セデック・バレとは、現地の言葉で「真の人」という意味。首狩りの風習を残している彼らにとっては、英雄とは狩場を侵略する敵の部族の首を、ひるむことなく狩りとる男のこと。この映画の主人公、セデック族の一集団マヘボ社の頭目モーナ・ルダオは、彼の属する集団のだれよりもたくさんの敵の首を切り取った英雄です。
  
   農耕と狩猟で昔ながらの生活をしていた彼らは、中国人同様、日本統治下に入ることを余儀なくされます。狩場として大事な場所である森は、町を作るために伐採されます。それらの仕事を、彼らはきわめて安い賃金でこなすことを要求されます。子供たちは日本人として教育されますが、日本人教師からひどく差別的な扱いを受けます。

   彼らの不満と怒りは、現地駐在の日本人警察官のきわめて悪質な仕打ちによって爆発します。モーナ・ルダオは他の社とともに、近辺に住む日本人がほとんどすべて集まる、秋の運動会の日を蜂起の日と定めます。

   そしてその日、彼らは計画通り、日本人のほとんどを殺害。山に引き上げゲリラ戦を展開します。しかし、日本は次つぎに警察隊や軍隊を投入。山の細部まで知り尽くしているセデック族を相手に、日本側はかなりの苦戦を強いられますが、弓矢や石、せいぜい古い型の銃しか持たない先住民は、近代的な装備の前で惨敗を余儀なくされます。

   男達の足手まといになるからと、年寄りや女子供たちは集団自決します。男達も、ちりじりになり、最後は自決したり山に入って行方不明になったりします。とはいえ、抵抗の期間は約1ヶ月。日本側はそうとう翻弄されたようです。

   私は子供の頃、大正生まれの父から、「朝鮮の人たちは日本の統治に抵抗したが、台湾の統治はうまくいった。先住民の高砂族出身の兵隊を知っていたが、たくましくて勇敢で、人懐っこかった」と聞いていました。歴史の教科書でも、朝鮮の三一運動のことは学んでも、霧社事件のことは学びませんでした。考えてみれば、朝鮮や中国から抵抗されているのに、台湾だけ統治がうまくいったなんて変な話なのに、父たちはそう叩き込まれていたのでしょう。

   映画を見終わってから、かなり分厚い、高校の日本史の参考書の索引を調べましたが、案の定、霧社事件は載っていませんでした。これほどの事件なのに無視されてきたとは、どういうことでしょうか?

   それにしても、韓国ドラマ「済衆院(チェジュンオン)」でもそうでしたが、明治以降から戦中までの日本人は、朝鮮や中国の人たちに対してたいへん侮蔑的な、威張った態度をとっていたようです。とくに政府や警察官・軍人の態度がすごい。ほんとはどうだったかということを調べるのも大事ですが、そういう態度をとる人間として、日本人のことを見ている、という事実は知っておくべきことだと思います。

  この映画を見て、昔見た、ある映画を思い出しました。「カウラ」という、石田純一主演のオーストラリアの映画です。

   太平洋戦争で日本はオーストラリアとも戦ったのですが、オーストラリアのカウラという場所にあった日本人捕虜収容所で実際にあった、日本兵の脱走事件をドラマにしたものです。

   この事件は、収容所生活にはなんの問題もなかったのに、「生きて虜囚の辱めを受けず」という軍人勅諭を金科玉条とする軍人たちが、部下をなかば威すようにしてともに脱走し、二百何人という大量の死者を出しました。アメリカ映画「大脱走」とは大違いの、悲惨な顛末です。オーストラリアの人たちから見た、日本人の特殊な心性を丁寧に描いています。

   かつての戦争を反省するのに、格好の資料の一つだと思うのですが、事件のあったことさえ、ほとんどはしらないでいるとおもいます。名前だけでも知ってほしいとおもって、書き添えておきます。

    

   

   
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今年の薪ストーブ生活

2014-01-15 12:00:02 | アンティマキ風自然的生活
   「今年の稲武のお天気は、なんか変だ」と、最近会った何人かの稲武在住の知人たちが言いました。雪がほとんど降らないのです。なのに寒い。

    昨年、豊田市旧旭地区の森づくり会議のメンバーから、広葉樹の薪材を何度か購入しました。今年は、その薪のおかげで、ストーブのある部屋とその周辺は、なんとか暖かく過ごせています。ただし、あちこちからたくさんいただいた廃材や枝をちゃんと乾かす暇がなくて、露天に放置したまま冬を迎えたので、焚きつけにする木がかなり少ないのが難点です。

    それで、しばしば裏山に行っては杉の葉や枯れ枝を拾い集め、大量にストーブに投入して、固い薪を入れています。

     このあたりの山にしては、比較的間伐がなされているので、適度に光が入るため、杉の葉はとてもよく乾いています。家のすぐ近くに拾わせてもらえるところがあって、幸せです。

     さて、薪ストーブは、暖かいだけではありません。その周辺はとても乾燥いているため、格好の干し場になるのです。

     先日までストーブ下で干していたのは、リンゴの薄切り、リンゴの芯、ユズの皮の千切りに種です。干しリンゴは端からラム酒につけ、ケーキの具材の一つに加えます。芯のほうはハーブティーの材料に。ユズ皮は漬物などにつかい、種は化粧水にします。

     こちらはニ、三日前から干しているブルーベリー。友人が生の実をラム酒に漬けて、漉したかすです。期待したラム酒味のブルーベリーとは程遠い、固くて渋みまで少し感じる実でした。右はとりあえずそのまま干しているところ。左は、粗糖と白ワインを加えてかなり煮たものを干し始めたところです。

     左のほうは、日が経つにつれ、しだいに食べやすく、あじわいのある実に変わりつつあります。マフィンに入れてちかぢか焼いてみようと思います。右は、なかなかおいしくならないので、左の実を煮た汁の中に漬けていっしょに干しました。まだ数日かかりそうです。

     ストーブの上に石板や陶板をのせて者を焼くとよいと聞いたので、ずっと前にいただいたほうらくを出してきました。落花生は、このほど始まったグリーンママンの朝市インタキソウで買った、徳八農園のものです。半日ほどほうっておいたら、おいしくてこうばしい状態になりました。

    落花生が調子よくできたので、次に生ゴマを広げてみました。でも、一日ほどようすをみなかったせいで、下のほうが黒焦げになってしまいました。

    こちらは、冷凍庫にしまいっぱなしになっていたジャム。ナシとリンゴとイチジクです。全部あわせてストーブ下にしばらく広げ、乾燥させました。そして水気がだいぶ飛んでから、ラム酒を注ぎました。たぶん、寝かせておけば、これもいいケーキ材料になってくれることでしょう。

     稲武12年目の冬。寒さにはまったく慣れません。雪のためいけなくなるのが心配で、イベントにはしばらく出店しませんが、家の中では、こんなふうにいろいろ忙しくしています。



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おかきと穀物クッキーの新バージョン、あしたから試験的に発売します。

2014-01-13 18:17:54 | アンティマキの焼き菓子とパン
   昨年まで「冬のオカキ」の名前で販売していた、稲武産の低農薬栽培もち米で作ったおかきは、今年から、「いなぶの玄米おかき」と名前を変えて、昨年暮れから販売開始しました。

    暮れに作ったのは、玄米もち米と粗糖、塩だけのプレーンでしたが、先週作ったこの冬2回目のおかきは、黒糖入りにしてみました。昨日ほぼ乾燥が終わったので、きょうはじめて焼きました。

    形も前より少し小さめにしました。こちらのほうが食べやすいし、袋にも入れやすい。さて、味なのですが、黒糖の量をプレーンの場合の粗糖と同じ量にしたため、黒砂糖の味は、最後にふわっと残る程度です。

    お米をしみじみ味わって頂きたいので、砂糖も塩気も控えているのですが、せっかく黒糖を入れるなら、もう少し主張させてもいい気がします。今度はもう少し、黒砂糖を増やして作ろうかな、と思案中。ただし、砂糖を増やすとそれだけ焦げやすいので、焼き方に注意が必要になりそうです。

    こちらは、いつもの穀物クッキーに緑茶を入れたもの。昨年秋、足助香嵐渓のイベントで一緒に出店していた、岡崎市旧額田地区の茶園・宮ザキ園の無農薬有機栽培の緑茶の粉を使いました。

    ほうじ茶クッキーの姉妹品です。ほうじ茶の香ばしさはないのですが、緑茶の甘みが生きています。ほうじ茶クッキーに入れるほうじ茶の量よりも、緑茶の量は減らしましたが、こちらはちょうどよさそう。

    どちらも、とりあえず試験的に販売します。販売は、やまのぶ梅坪店の「ママンのお気に入りコーナー」で。あしたの午前中には店頭に並ぶ予定です。みなさんの忌憚のないご意見・ご感想をお寄せ下さい。

    さて、きょう、もうひとつ試験的に製造してみたのは、おかきのゴマと塩入り。塩は他のおかきにも入れているのですが、こちらは少し増やしてみました。塩を増やした分、甘味も強くなったようです。来週、たぶん販売できそうです。

    
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